【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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27_遺失物

 次の日、商工会支部にて。

 ダンジョンで手に入れた落とし物は一度、商工会に預ける決まりとなっている。

 持ち主が生きていれば、その持ち主から金が払われるし、生きていなければ拾い主の物になる。

 

 あの腕輪と斧がどうだったかを聞きに来た。

 

「えっと、この腕輪の持ち主は不明でしたので……加賀美さまの物になります」

 

「そっか……」

 

 教えてくれるのが光村さんなのは、すごい微妙な気分だ。あそこのダンジョンで命を落とした両親のモノかとぬか喜びさせたりしてしまっただろうか。

 気まずいわ。

 

「……報告はするか」

 

 誰にと言えば当然、トモキだ。

 ただ、今日はここにはいないらしい。

 

「えっと、おにいちゃ──アツシさん達は今日はダンジョンに行ってます」

 

「そっか……どうしようかな」

 

「あの、よろしければ私がお伝えしましょうか?」

 

「それはありがたいけど……」

 

 そこまで客に親身になる必要ってあるのだろうか。

 

「私、アツシさんと一緒に住んでるんです」

 

「そうなんだ!? …………ん? ……ってことは……?」

 

 光村さんとアツシは兄妹ってこと……? 

 ──光村アツシ? 

 

「あ、そうです。光村はおに──アツシさんの苗字です」

 

「普通にお兄ちゃんでいいよ」

 

 誤魔化す意味もあんまり無いし。

 

「お兄ちゃんの影響でここに就職したの?」

 

「はい!」

 

「反対とかされなかった?」

 

「みんなに反対されましたけど……でも、最終的にはお母さん達は賛成してくれましたから!」

 

 この子、まだ学校に通う歳だよな。

 それでも賛成に回るって、よっぽど熱烈にアピールでもしたんだろうか。

 ……アツシが探索者になることの方がよっぽど重いか。

 

「お兄ちゃんはお家に帰ると未だに『今からでも遅く無いから学校行け』とか『ちゃんとしたところに就職しろ』とか言うんですよ。自分だって探索者になったくせに」

 

「そっかそっか」

 

 文句を言っている割には、嬉しそうな顔だった。

 心配してくれる人がいるっていいよな。

 ……俺もミツキに電話掛けてたけど、繋がらなかったんだよな。

 山田家が山すぎるのかもしれない。

 ここならワンチャン……

 

「ごめんちょっと電話するわ」

 

「はい〜」

 

 電話掛けて1コールした瞬間に出た。

 間違えて営業にかけちゃった? 

 

『──おそい』

 

 なんか低音だった。確かにミツキっぽい声なんだけど、こんな声だったっけ……距離離れてるからかな。

 

「よっす」

 

『よっすじゃないでしょう?』

 

「──ミナさん!?」

 

 一拍遅れて気付いた。

 ミツキに電話掛けてミナさんが出るとは思わないじゃん。

 

「なんでミナさんが? ミツキは? まさか怪我とかしてます?」

 

『寝てるわ』

 

「え? …………今、お昼ですよね?」

 

 うん、お昼だ。

 窓から燦々日光降り注いでる。

 

『不貞寝よ』

 

「不貞寝? あ、またコウキさんがなんかやったんでしょ」

 

『アキヒロ……』

 

 ヒヤリと冷たいものが背筋を伝う。

 こういう時、大抵は呆れたような目をしているものだ。

 

「なんすか?」

 

『しょうもないとは思うわよ? 私も』

 

「あー……」

 

『電話、もう少し頻度高くしてあげてね?』

 

 電話は掛けていたことを説明する。

 繋がらなかったとも。

 メールの返信も返しているが、どうにも送られないのだ。

 

『あなた、変なことしてないわよね』

 

「心外です」

 

『うーん……一応あの人には確認してみるけど、無茶するんじゃないわよ?』

 

「はい、ミツキに変わってもらえます?」

 

『あらあら、おばさんにはもう飽きちゃった?』

 

「殺されるんでやめてください」

 

『うふふ、ちょっと待っててね』

 

 コウキさんはいないんだろうけど、冗談でもそんなこと言うもんじゃないでほんま。

 ミナさんまだ若いから、全然イケるし。

 いや、無いけどね!? 

 幼馴染の母親に手出すとかありえない──以前に、気配を察知したコウキさんにぶち殺される未来が確定してしまう。

 

『…………浮気したでしょ』

 

「はいはい、電話してなくてごめんな」

 

『私のメールも無視したでしょ』

 

「繋がらなかったんだよ、メールも送ろうとしてた」

 

『山田ちゃんとエッチなことしたんだ……』

 

「妄想は口に出すもんじゃ無いぞー」

 

 端末越しにジメーッとした声が耳を濡らす。

 なんかもう、キノコ生えそう。

 不可抗力だからなあ。

 言い訳しかできない。

 

『……アキ』

 

「なに」

 

『なんか喋って』

 

「雑なフリやめてもらってもいいか?」

 

『アキは女の子とイチャイチャしてて楽しかったからいいよね!』

 

「分かったよ……」

 

 地下にはナメクジ帝国があるから気をつけた方が良いと伝えた。

 

『貝殻の洞窟ねぇ〜、多分お父さんは行ってないだろうなー』

 

「確かに。行ってたら壊してそうだな」

 

『怪我してないよね?』

 

「鼻血が出たくらいだな」

 

『おたんこなす!』

 

「──」

 

『──』

 

 やっぱり俺の幼馴染は最高だ。

 俺のことを心配してくれるやつがいると確認したところで電話は終わり。

 端末をしまい込むと、視線を感じる。

 

「──加賀美さん、今話してたのって友達ですか?」

 

「まあそんな感じ」

 

「か、彼女とか……?」

 

「幼馴染」

 

「ほへー」

 

「光村さんも、幸田君とかとは幼馴染なんでしょ?」

 

「えっと…………違いますね」

 

「あ、そうなの」

 

「トモキ君達は、お兄ちゃんが中学生になってから知り合った人たちです」

 

「違うセクターの子達なんだ?」

 

「セクターも同じなんですけど、たまたま会わなかったみたいな」

 

「あー……」

 

 確かに、同じ市内に住んでても会わないやつとはとことん出会わないからな。そういう偶然もあるのだろう。

 

「それにしても人来ねえな」

 

「そうなんだよ」

 

「……おはようございます」

 

「おはよう」

 

 えーと……確かこのおじさんは……

 

「山市です」

 

「あ、すみませんそうでしたね」

 

「いやいや、名乗って無いですから」

 

「そうでしたっけ?」

 

「聞かれて無いですからね」

 

 なんじゃい! 忘れたかと思ってちょっとビクビクしてたのに! 

 

「そうそう、人が少ないって話でね」

 

「なんかやってないんですか? 呼び込みみたいなの」

 

「いかんせん何も無いからなあ」

 

「山田道場は?」

 

「あ、知ってるんですか」

 

「知ってるっていうか、娘さんいるじゃないですか」

 

「おお知ってる知ってる! 早苗ちゃんね!」

 

「そうそう、一応妹の方がね。高校の同級生でして」

 

「あ、へえー!」

 

「早苗ちゃんとも知り合いではあります」

 

「そうなの! 凄いねえ!」

 

 知り合いがすごいとすごい理論。

 たまに湧いてくるよね。

 権威主義というか。

 

「あれ、そうしたら友達の家に泊まりに来たっていうのは……」

 

「山田家ですね」

 

「あらら! あららららら!」

 

「ははは……」

 

 おっさんが口に手当ててるの、いつ見ても面白い。

 

「ああでも中里の奥さんが言ってたな! お友達がどうのって……君のことだったんだねえ」

 

 ナカザトさんって誰だよ。

 

「何人か連れてきたんだっけ?」

 

「二人ですね」

 

「兄弟?」

 

「いや…………なんだろう」

 

 あいつらと俺の関係って何? 

 毎度これ聞かれてうまく答えられないんだよな。

 パッと思いつくのは、先生と生徒なんだけど。これってアリサのお父様達が俺とアリサの関係をそう呼んでるから思考が引っ張られてるだけだよな? 多分。

 

「友達?」

 

「……そうですね! 友達です」

 

 絶対違う。

 よく話すし遊びに連れて行くこともあるけど、二人がいる時に友達か聞かれたら三船君も首を傾げるだろうし、シエルに関しては普通に否定しそう。

 

「──どうなの? 実際」

 

「実際?」

 

「コレなの?」

 

 小指。

 そのジェスチャーこそ無くせよ。

 なにしてんだ。

 

「違います、仲は良いですけど」

 

「何だよつまんないなぁ」

 

「つまるもつまらないも無いから……」

 

「この街は本当に……娯楽が薄すぎる」

 

「だからみんな道場に来るんでしょうね」

 

「あの姉妹もね、可哀想ですよ。早くにお父さんを亡くして──って、私より詳しいか」

 

「どうでしょう」

 

「……ああすみませんね、長話しちゃって。人が来ないから仕事も無いもんで、暇なんですよ」

 

「良いじゃないですか暇な方が」

 

「昔はもうちょいいたんですけど、いかんせん例の件がね……」

 

 例の件。

 ドラゴンの出現。

 一時期ニュースになっていたし、人口の流出に繋がっても何らおかしいところはない。

 彼は逃げようと思わなかったのだろうか。

 

「あはは……それでも私はこの街が好きなんですよ」

 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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