【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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28_姉の兄、つまりは……

「あ、また鼻血出てる」

 

「……うわっ」

 

 落とし物を受け取った2日後。

 掃除の手伝いをしていた。

 ちょうど早苗ちゃんが台に乗ってパタパタしているのを見上げていた時の話だ。振り返った早苗ちゃんに指摘されて気付いた。

 

「赤ちゃんみたいだね」

 

「???」

 

 赤ちゃん=よく鼻血が出るって、それどこのローカルルールだよ。

 スケベなこと考えてるだろって言われるならわかるけど。

 

「はい、ティッシュ」

 

「ありがとう」

 

 こよりをねじねじとねじ込む。

 俺のこより製作技術の熟練度がどんどんと上がって行く。このままだとレベルアップしてしまうぞ! 

 

「俺、鼻の皮膚薄いのかなあ」

 

「薄いと出やすいの?」

 

「そりゃあ、皮膚が破れて出るわけだし」

 

「ふーん」

 

「焼いちゃえば治るんだけどな」

 

「焼くって……どこを?」

 

「皮膚を」

 

「えっ!? 死んじゃうよ!?」

 

「鼻の穴だけな」

 

「ええ〜……どこの民間療法?」

 

 早苗ちゃんが俺を見る目が、少しだけ変わってしまった。

 スピリチュアルな人を見る目になってしまった。

 

「焼けた鉄串突っ込むわけでも無いから、そんな変なのじゃないよ」

 

 俺はやった事ないけど。

 

「ところで、赤ちゃんが鼻血出るって何? 俺知らないんだけど」

 

「え? 赤ちゃんはよく鼻血出すじゃん」

 

「知らん……こわ……」

 

 ウチの子はそんな事無かったし、茜もそんなこと無かったぞ。

 放射線じゃないよな? 

 …………いや、やっぱり違うよ。

 だって放射線が原因なら同じように早苗ちゃんだって鼻血出すはずだし。赤ちゃんに限った話で済むわけがない。

 怖いなあ。

 

「赤ちゃん以外は鼻血出さないの?」

 

「生まれた時は大体出てて、2〜3歳ぐらいまでは出やすいかな」

 

「なんだそれ」

 

 もしかして、そういう遺伝? 

 

「アキヒロ君は違った?」

 

「俺の周りでそんな話は聞かないけど……」

 

 聞かないだけで実はあったのか? 

 

「変なの」

 

「こっちのセリフだよ」

 

「ここら辺だけなのかなあ」

 

 どうなんだろう。

 生まれた時に鼻血が出やすい……

 俺となんの共通点も無くね? たまたまだろコレ。

 でも、モンスターに顔面どつかれた時ぐらいしか鼻血なんて出ない身体になったと思ってたけど……粘膜は別なのかな。

 

「止まった? 鼻血」

 

「…………止まった」

 

「じゃあご飯の準備しよっか!」

 

「OK」

 

 今日はヒナタ主導で山道を歩き回っているらしい。

 天狗か何かなのか、山田一族の先祖は。

 

 

 ──────

 

 

「すいませーん!」

 

「あ、はーい!」

 

 また次の日、リビングで団欒していたら少しだけ聞き覚えのある声が。

 道場の客だろうと山田が出たけど、なかなか戻ってこない。

 世間話でもしているのか。

 

「何やってるのかな」

 

 妹の様子が心配になったのか、早苗ちゃんも玄関へ向かった。同じくなかなか戻ってこない。

 揉めてたりしないよな。

 

「僕も……ちょっと見てきます」

 

 今日は稽古はお休み。

 昨日一昨日と、ハードだったからな。

 三船君はシエルと並んでグッタリしていたけど、男らしく見に行くようだ。流石だぜグッボーイ。

 

「私も行く」

 

 シエルは多分ノリ。

 三船君の後ろにくっついて行った。

 

「四人も出て行って、なんかなる事ないだろ……」

 

 ノンビリとお茶を啜っていたら扉が勢いよく開いた。

 

「──お前が来い!」

 

「ブフゥ!」

 

「お前に用事があるんだってよ!」

 

「ゴホッ……そうなの? ……アレかな」

 

 どすこいと背中を押されて向かった玄関。

 そこにいたのは幸田智樹。

 光村さんから話は聞かなかったのかな。

 

「腕輪と斧を手に入れたって聞いて……どうやって手に入れたんだ!?」

 

「腕輪は拾って、斧は戦利品だよ」

 

「拾っ……一番奥まで辿り着いたってことか!」

 

「いや、死に道で」

 

「死に道……教えてくれ!」 

 

 答えようとして、身じろぎの音が聞こえた。

 

「──教えてくださいだろうがああ!」

 

「いってええ!」

 

「目上の人間には敬語使え馬鹿タレが!」

 

「…………す、すみません」

 

 いきなりペコペコし出した。

 なに? ヤンキー繋がり? 

 あと、目上の人間に敬語使えは昔のお前にブッ刺さる。……まさかこれを見越してあんな振る舞いを!? 

 

「知り合いだったのか」

 

「元々舎弟だよ」

 

「えぇ……」

 

 こんな若い子を舎弟にして何してたんだコイツ……

 

「へ、変なことはしてねえよ! お前と出会ってからは解散したし!」

 

「本当だな?」

 

「……おう」

 

「…………」

 

 目を泳がせてるところを見るに、悪さはしていたようだ。親御さんに代わって俺がお仕置きしてやらねばならないのかもしれない。

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「姐さんとはどんな関係で……?」

 

「こいつは俺の舎弟だ」

 

「ええ!?」

 

「つまり、兄貴と妹だ」

 

「姐さんの兄貴……大兄貴ってことですか!?」

 

「そうとも言うかもしれないんっ!」

 

 グイッと襟が引っ張られて視界が動く。

 至近距離にヒナタの顔が入ってきた。

 耳元の囁き声がこそばゆい。

 

「おい! ややこしくなるようなこと言うんじゃねえよ!」

 

「一々説明するのめんどくさいから……」

 

「ちっ……!」

 

「というかお前、年下の子供にも悪ささせてたのか?」

 

「…………いやっ、それは、その……」

 

 ヒソヒソと話していると、トモキが大声で続けた。

 

「大兄貴とは知らず、すみませんでしたぁっ!」

 

 何デシベルだよ。鼓膜破けちゃうってくらいうるさいんだけど。

 なんとかしてくれ。

 

「トモキ、人の家ではあんまりうるさくするな」

 

「すみませんっ!」

 

「トモキ」

 

「すみませんっ!」

 

「…………」

 

 壊れたラジオになっちゃった。

 逆にヒナタが困っている。

 

「話が続けたいんだけど、いいかな」

 

「はい!」

 

「トモキ、君は本を読んだりするかい?」

 

「読まないです! 高くて買えないんで! あと、面白く無い!」

 

「……そうだね、文字ばっかりだもんね」

 

「はい! お酒飲んでた方が良いです!」

 

「そっか……そっかあ…………」

 

 あれ、詰んだ? 

 ここに永井先生の素晴らしい本があるじゃろ? ってやるつもりだったんだけど。

 流石にタンスの肥やしにされるのは忍びない。

 ……まあ、いいか。

 ダメで元々だ。

 読まないなら返して貰えば良いんだ。

 

「実は、この本を読んで欲しいんだ」

 

「本……」

 

「とある人が書いた本なんだけど、貝殻の洞窟の昔の姿が描かれているんだ」

 

「!? ………………!?」

 

 勢いよく本を受け取り、これまた勢いよくページを捲り始めた。

 何かに驚いているようだ。

 まさか、一瞬で読み終わった……? 

 

「読めません!」

 

「……読めないとは?」

 

「書いてあることの意味が理解できません!」

 

「…………なるほど」

 

 これが識字率の壁というやつか? 

 

「ちょっと私にも貸してみろ………………なるほどな」

 

「なんか分かったのか?」

 

「まあ、こいつには読めないな」

 

「そうなんだ」

 

 じゃあどうするの? 

 1から全部口頭で説明する? 

 それか、もう一度現地に行く? 

 うーんどうしようか。

 現地に行くのは面倒臭いけど、口頭で説明は無茶だ。

 地図に起こすには内部がごちゃごちゃしすぎてるし。

 

「玄関先でごめんね、はいお茶」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「ヒナタちゃんがお世話になったんだよね?」

 

「いえ! 世話になったのは自分です!」

 

 うーん……やっぱり現地行くかあ? 

 俺もあの死に道の一番奥にまで行ったわけじゃないし、行ってみる価値が無いとは言えない。

 でもこの子達、あそこ潜るにはレベル低いんだよな……

 

「行く当てがなかった自分たちに、居場所を作ってくれたんです!」

 

「そうなんだね! それは褒めてあげなきゃ!」

 

「はい!」

 

 ダメだわ、責任持てねえ。

 ダンジョンの感じは掴んでるけど、足手纏いを数人連れて行けるほど自惚れてはいない。

 問題は、そこら辺をどうやって納得させるかだ。

 光村さんの親の形見が玉座の間にあるなんて、それは本人からしてみれば取り返したいものだろうけど……身の丈に合っていない。

 というか、行こうとしてるのは本人ですら無いし。

 

「アキヒロ?」

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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