【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「あれ、三船くんは……?」
「寝かせた」
「部屋で?」
寝かせたというのは寝かしつけたという意味に捉えて良いのか。仮にそうだとすると、相当シュールな絵面になる。三船くんに添い寝して、お腹をポンポンするシエル……
「他に寝かせるところないでしょ、何言ってるの」
「風呂で寝落ちした可能性もあるだろ」
「……一緒に入ってないし」
「そうは言ってない」
意外と。
辺見シエル、彼女は他者へ入れ込む性質を持っているのかもしれない。本当に、コミュニケーションが下手なだけで。
だけど、その行動がこの場において本当に正しいかはまた別の話だ。
「まだ飯食ってないのに、何で寝かせたんだよ」
「あ」
完全に失念していたようだ。疲れていたから寝かせるのは、正しいと言えば正しいけど育ち盛りの子供だと話が変わってくることもある。
せめてご飯は食べてからな?
「お前もポカやらかすことあるんだな」
「何言ってるかわからないけど、バカにするのやめて」
「ポカ、通じないのか……」
「あと邪魔しないで」
邪魔。
俺は邪魔なのだろうか。これでも2人のために出来ることはしようと思っているのだけど、それを邪魔と言われてしまうとどうにも立ち回り辛い。
……確かに、よくわからん、パーティーメンバーでもないやつが一緒にいるってすごい変だよな。それならパーティー組めって話だし。
「お互いの面倒見ろって言ったのあなたでしょ」
「覚えてたんだ、それ」
「自分で言ったことなのに、大事にしないの?」
「俺が悪かった」
本当にその通り過ぎる。
「あなたがいつまでもちょっかいかけてくると、やりづらい」
「そっか……」
「私が起こすから邪魔しないでね」
「あ……わかった」
じゃあ俺は何しにきたんだよっていう話である。男の子の寝顔を見にきた大学生? キモすぎるだろ、マジで。
帰ろうかな……でも、せっかくだから見て行くか。
「──すぅ」
大爆睡。横向きで布団に倒れている。
起きるのはきっと四年後のオリンピックの時だ。
起こすには嫌われる覚悟が必要だろう。
シエルはどうやって起こすんだ。
「……」
「え」
スッと。
三船くんの顔に、自分から寄った。
キスか!?
キスなのか!?
眠った王子様を起こすのはお姫様のキスってことだよな! な!
「…………」
ドキドキしながら様子を見ていると、実際のところ唇は当たっていなかった。ただ、額を合わせている。
熱でも測っているのかと見守ると、合わせていた額を外した途端に三船くんがパッと目を開けた。
「──ひまり!」
「う゛っ」
三船くんがひまわりって叫びながらシエルの腹に突っ込むと、2人でもんどり打って俺の足元までやってきた。
これは何ですか?
新手の精神汚染ですか?
2人とも仲良くなったと思っていたけど、実は霊領で頭おかしくなっちゃってた感じ?
早く治さなきゃ……
「目、覚めた?」
ちょっとしたり顔なシエルは、人様にはお見せできない服のはだけ方をしていたので背中を向ける。下着丸見えじゃねえか。
三船くんもパンツ脱げかけてるし、何だよこれ。
来なきゃ良かったかもしれない。そういうのは2人きりの時だけにしろよな、お前ら。別にするなとは言わないから。
「し、シエルちゃん……! ぱ、パンツが……!」
「…………ばかっ!」
「いてっ! ちょ、やめてよ! そんなことしてないで早く服着て!」
いつもの無感情な発言からは想像できない、荒げた声が意味すること。シエルもシッカリと女の子ということだ。
その代わりに三船くんが若干とばっちりを受けていた。
「加賀美さん!? 何でそっち向いてるんですか! ちょ、イテッ、手伝ってください! シエルちゃんが──」
「ばか! ばか! ばか!」
「だから! いてっ! 服着てってば!」
俺も……もっと若い時にこういうのに出会したかったな。
──────
「つーん」
「ぼ、僕は悪くないよ……」
リビングに戻ると、ヒナタから呆れの目で見られた。
シエルが拗ねてるんだもんな。
「何があったんだよ」
「……レイトにパンツ見られた」
「えっ!?」
信じられないと言わんばかりに、三船くんを見つめる。おい待て、俺には呆れた目を向けていたくせに三船くんのことは信じてたってのかヨ!
「ち、ちがいます! 誤解です!」
「五回どころじゃない、ずっと見てた」
「ああもう! そうじゃなくて!」
「…………」
「……か、加賀美さんも見ました!」
「三船くん!?」
嘘だろ?
俺、売られたぞ?
裏切られるってこんな気分だったなそういえば。お試しで組んだやつが魔石をゲットしたら後ろから切り掛かってきた時くらい驚いた。
「おい、てめえ……」
ギリギリと握っている包丁の柄が音を立てている。これはまずい、今日の献立が加賀美明宏の刺身になる前に弁解しなくては。
「いやっ、待てっ! 俺はすぐに後ろ向いたからほぼ見てないぞ!」
「見てんじゃねえか!」
「ほぼ見てない!」
「見えたんだろ! 何色だったんだよ!」
「白だがほとんど見えてない!」
「見えてんじゃねえか!」
「おおお待て待て! 包丁は食材を刻むのに使うものだ! 人に向けちゃいかん!」
「誤魔化してんじゃねえよ……!」
何でこんなキレてんの!? 意味わからんくらいブチギレ出るんだが!?
さ、早苗ちゃん! 早苗ちゃーん!
「はいはい、そこまでにしときなねー」
「でも姉ちゃん!」
「故意じゃないんでしょ?」
「そう! あれは事故!」
おでこくっつけてんなーと思ったら、突進してもみくちゃになってたからな。
呆気に取られて動けなかったわ。つまり俺は無罪。
「磔は後でいいからさ、ご飯食べよ?」
なんでー?
「だいたいお前はいっつもそうだよな! 高校の時も! 突拍子がねえんだよ!」
「なんだよ」
「人手が足りないと思ったら違う学校の奴ら連れてきたり」
「その話はすでに300回はしてるな」
「暇だからっつって路地裏でネビルバグに追っかけられたり」
「その話も400回くらいしてる」
「反省してんのかよ……ったく……」
反省も何も、理由がちゃんとあるんだから問題無い。問題があるのはカツアゲなんてみみっちいことしてたお前だけ。
「私の話はいいんだよ、あーむっ」
その大口にロケットパンチを打ち込んでやりたい。
ぐちぐちぐちぐちとエンドレスで悪口が飛び出てくるこいつの喉には一体どれだけのストックがあるのだろうか。
よくもまあ飯を食べながらそんなに人の悪口が言えるものだ。一体俺が何をしたっていうんだい?
俺も三船くんみたいに優しく諭されてえよ。
「三船君、事情はわかったけど……シエルちゃんにはちゃんと謝っといたら?」
「…………でも……」
「キッカケはあったかもしれないけどさ、シエルちゃん下着見られて恥ずかしかったんだよ」
「…………はい」
見てこれ。
本当に姉妹なのか怪しいよね。
「んだよ」
「いや…………姉妹だなって」
「?」
辛うじて飲み込んだ。
これ以上口に出したら今日の安眠確率が0%になること間違いなしだったな。
──────
「あー、疲れた!」
「おいおい、埃舞うぞ」
今日はヒナタの部屋で寝ることになっている。
しかし部屋の主人であるヒナタは、扉を潜った途端に布団ダイブを決めやがった。
名家の娘がなんてお行儀の悪い……
「うっせーな……姉ちゃんみたいなこと言うんじゃねえよ」
「誰だって言うだろ、埃が舞うのは事実なんだから」
「布団に飛び込んだことねえのか〜?」
「ねえよ」
「楽しいのに勿体ねえ」
少なくともこっちに来てからは布団にダイブなんて一度もないな。向こうでは子供の時にそういうことをしてたかもしれないけど、もう覚えてない。
「ほらっ! やってみろよ!」
バシバシと当て付けのように隣の布団を叩く。
心底から楽しそうだ。
やるかあ?
と、思っていた視界の中。ヒナタが着ていた浴衣の前紐が解けた。
「おまっ……!」
咄嗟に視線を逸らした。
背筋に感じる冷たい線。
先ほど、この件に関しては落ち着いたばかり。
蒸し返されてはとんでもないことに。
「み、見た……?」
「断言します。ほぼ、とかじゃなくて本当に見てない」
「何色か、言ってみろよ」
「見てないからわからない」
「……じゃ、じゃあ、見るか?」
「………………?」
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない