【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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14_お泊まり会

 心地が良い。

 会話のテンポが良い。

 なにより、俺を恐れない。

 娘の幼馴染、明宏は俺の友となる為に生まれてきたような男児だった。

 

 美月が小学生の時、最初は暗い顔をしていた。

 俺は何もできず、ただ時間が去るのみの無能な男だった。

 しかし何故か、美月は段々と明るくなった。

 美那に聞けば、仲のいい男の子がいるとかなんとか。

 見極めねばと思い、家に招いた。

 

『お邪魔します』

 

 普通の子供だった。

 そう見えた。

 身体能力に特筆したところはなく、学校の成績がオール5というだけ。

 恐怖を与えれば、何かの反応を得られるだろうと思った。

 ……正直、少しおかしくなっていた。

 娘が友達を1人失っていたかもしれない。

 今なら、あの時の俺をぶん殴る。

 子供の目の前で俺は金属球をひしゃげさせた。

 明宏は、笑っていた。

 

『人間が鉄球を……? はは、まあそういうこともあるよな』

 

 そう、口元を歪ませて笑っていた。

 脳内を電流が走ったような感覚になった。

 面白いものを見つけたと楽しそうに笑う子供を見て俺は、娘のことなど忘れていた。

 久しく、同じ立場の人間に出会えたような気がした。

 

 勿論そんなのは俺の幻想だが、明宏は期待通りに育った。

 廊下で盗み聞きしていた娘。

 そんな倒れ込んでいる身体に手を貸すのは、アイツ。

 

「大丈夫かぁ?」

 

「うん……」

 

「盗み聞きなんて、あんまり良く無いぞ?」

 

「分かってるって」

 

 眩しい。

 青春がこうも目の前で繰り広げられているのを見るのは、面映い。

 自分のことじゃ無いのにな。

 一つだけ不満を挙げるなら、枯れたオッサンみてえな価値観が時折見えることだ。

 ……無いのか!? 

 迸るパトスはどこいったんだこいつ。

 いや……美月の事はエロい目で見てるとか普通に俺に言ってくるけど。

 本当に見てるのか? 

 ……なんでこんなことを心配せにゃぁならんのだ。

 

「お父さんはもう良いからさ、寝ようよ」

 

「そうだな、酒も入って良い感じに寝られるな」

 

「おやすみー」

 

「コウキさん、じゃっ」

 

 なんというか……そう、邪念が無い。

 娘と同じ部屋で寝る、なんて父親に対してあんな真っ直ぐに言えないだろ普通。

 ……あいつ以外のサンプルがないから実はあれが普通という可能性も……ねえわ。

 なんだアイツ、怖っ。

 ……どんなことしてるのか気になるな。

 ちょっとだけ聞き耳を……

 

「──アキ、アキ」

 

「なに」

 

「焼きそばパンって知ってる? 大昔にあった、すごい贅沢な食べ物らしいんだけど」

 

 なんか最近聞いた話だな。

 なんだっけ、美那が話してたんだっけ。

 

「……どういうこと?」

 

「小麦で作ったパンに小麦で作った焼きそばを挟んで食べるんだって! バカみたいだよね!」

 

「バカって……当時の人がいたら助走つけてぶん殴られる可能性があるぞ」

 

「だって、今だったら信じられなくない?」

 

「牛肉がこんなに高い方が信じられない」

 

「んっふっふ……なんと! ウチにいればいくらでも食べられますよ〜?」

 

「嘘乙」

 

「嘘じゃないもん」

 

「そんな事したらコウキさんに殺されるわ」

 

 殺さないが。

 

「……ねえ、そっち寄っていい?」

 

 ……ん? 

 寄る? 

 布団に入るじゃなくて? 

 え、どういうこと? 

 もうすでに同じオフトゥンに入ってるの? 

 始まるの? 

 

「ほら」

 

 ファサァって音がした! 

 始まるんだ! 

 姫初めだ! 

 お、俺はこの場にいていいのか!? 

 

「ウチで一緒に寝るの久しぶりだなあ……」

 

「一人暮らししてるしな」

 

「……アキは全然変わってないよね」

 

「はあ? 身長とか大きくなっただろ」

 

「分かって言ってるでしょ」

 

「……ぐぅ〜」

 

「寝たフリするな」

 

 し、心臓ドキドキしちゃう。

 何これ……俺、ボイスドラマでも聞いてるのか? 

 

「明日も早いんだから寝ような」

 

「うん、でもお説教が先ね」

 

「あ」

 

 流れが一瞬で変わって、普通に説教が始まったので俺は寝た。

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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