【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「ええと、早苗ちゃん?」
「あ゛き゛ひ゛ろ゛く゛ぅぅぅぅん……!」
「おお……」
「せ゛んせ゛っ、お゛、お゛き゛な゛っ……か゛ら゛! し゛っ、し゛ん゛し゛ゃった゛、か゛と゛……ずびぃぃぃ! ……お゛ほ゛った゛ぁぁぁぁ!」
「よしよし」
俺は全く起きなかったらしい。まあそういうこともあるだろ(適当)。大怪我を負ったとか、忘却の霧を浴びせられたとか、精神汚染を喰らったとか。理由を探そうと思ったら枚挙にいとまがない。
「こ゛、こ゛ま゛ち゛ゃん゛っ、か゛っ、ふぐっ、い゛、い゛て゛く゛れ゛な゛っ、な゛か゛った゛っ、ら゛っ」
「不安にさせちゃったな、ごめんな」
「い゛、い゛て゛も゛こ゛わ゛い゛し゛!」
それにしても泣きすぎである。妹の比にならないくらいボロンボロンに涙を流している。こんなに泣いたら、後で目腫れちゃうぞ、早苗ちゃん。
せっかく可愛いお顔をしてるのに……コマちゃんがいなかったらどうなってたんだよ俺。
「わふ」
もう良いから慰めとけよ、だそうです。
はい。
慰めるというか、あやすの部類だったと思うけど……とにかく慰めること数分。
「──すぅ、すぅ」
泣き疲れたのか横になってしまった。今は俺の自慢の太ももに頭を乗せて静かに寝息を立てている。
「…………」
俯いたまま黙りこくっている日向は、あそこまで泣いてはいなかったので寝ていない。ただ、離れないのは同じだ。
……掴まれている腕がすごく痛いです。
なんなら喉も、耳も、鼻も、股間も。
痛くないところを探す方が難しい。
何これ、俺病気なの?
探索者も病気には勝てないのか?
誰か特効薬を発明してくれないか?
とにかく話を──
「ヒナタ、何があったか教えてくれるか?」
「…………覚えてないのか?」
「何にも覚えてない」
「じゃあ、話したくない」
参ったね。
事情があって話せないとかならともかく、話したくないと来た。じゃあ無理じゃん。
俺の記憶はどこいったんだよ。
「コマちゃん、何があったんだ」
「ワン」
「そんなこと言ったってしょうがねえだろ、何も覚えてないんだから」
「ワンッ!」
「だから、反省するも何も覚えてないんだっちゅーの! 省みるものがないんだっちゅーの! もうそこに関してはさっき俺の心の中で整理ついてるから、判断材料をよこせって話をしてんだよ!」
「わふ……」
「このっ……うんこ犬がよお……」
「ガルルルル!」
「いでえ! 噛むな! マジで痛えから!」
こんなやつペット破門にしてやる! 一から修行し直してこい!
「いてて……」
「フンッ」
ソファー独り占めにしやがって、こちとらこんなズタボロの肉体でヒナタにしがみつかれてるんだからな。
…………回復薬使えば良いじゃん!
「いててて、ふぅ」
「……どこ行くんだ?」
早苗ちゃんの頭をゆっくり下ろして、よろめきながら立ち上がったら呼び止められた。
「回復薬を使おうかなって。あ、そういえば俺の荷物ってどこに置いてある?」
俺が寝てたのってナリヒトさん達の部屋だったと思うけど、荷物は置いてなかった。おおかたのところは日向か早苗ちゃんの部屋に置いてあるのだろう。勝手に入るのもあれだし、ヒナタ連れてくか。
「…………多分、ないぞ」
「なんで?」
「全部使っちゃってたし」
「はあ!?」
回復薬を全部使うってなんだよ。早々ないぞ、そんな場面。一回使えば大抵の傷は治るんだから、二回以上使うってことはとんでもない激闘だ。戦闘中に使ったっていう意味でもある。
「マジか……そんな激しかったのか……」
「激しかった?」
「戦闘の話。回復薬を全部使った事ってほぼないぞ」
「本当に何も覚えてないんだな」
「さっきからそう言ってるんですけども、ええ」
回復薬が無いなら──飯食って寝るしかねえか。
「腹減った」
「…………」
「ヒナタ、ご飯作って」
「私はお前の母ちゃんじゃねえぞ」
むしろ娘感強めだ。わがままなところとか茜みたい。少なくもこいつから姉感母感は感じ取ったことが無い。姉御感は感じてるけど。
「怪我人に料理させる気か?」
「ちっ……しゃあねえな」
なんて素直でいい子なんでしょう。
これは加賀美ポイント、略してKポイントを1ポイント付与します。
Kポイント、略してKPが10p溜まるとコマちゃん人形をプレゼントします。50p溜まると一回無料で依頼を受けます。その先は知らん。
少ししてできたのは、簡単な炒め物だった。つまりは朝飯の時間、三船くん達も起こさにゃならん。痛む身体に鞭を打って起きると、日向が慌てて寄ってきた。
「う、動くなよ!」
「痛いからって動かなきゃ、身体がどんどん鈍って最終的には寝たきりになっちまうだろ」
「そ、そういうレベルの怪我じゃなかったんだぞ!」
「どういうレベルだよ」
「…………」
「まあ落ち着け。お前の言うレベルってのがどの程度かは知らないけど、俺は探索者だから大抵の傷は治る。痛みはあるけど……それもいつも通りだ。なんならぬるい」
これは本当。腕を切り落とされると目の奥がチカチカなって耳がキーンして、次の動きが停止する。それに比べたら、全身がジクジクと痛むだけなんて屁でも無い。
……相対的な話だから、痛いのが好きってわけじゃないぞ!
「明宏」
しかし、それを聞いても日向はあんまり納得がいっていないらしい。どこか仄暗い笑顔を浮かべてソファーを指さした。
「なんだよ」
「お座り」
「俺は犬か?」
「い、い、か、ら、す、わ、れ」
「はぁ……」
やれやれ、女の子は怖いねえ。それにしても……女の子というのは何故、説教をするときに座らせたがるのか。もしかしたら、上から見下ろす事でマウンティングを取ろうとしているのかもしれない。普段は見上げる相手を物理的に下に置く事で支配欲を満たすという、高度なプレイの可能性もある。
「…………」
しかし、少しだけ様子がおかしい。
ヒナタはそういう歪んだ表情では無く、どこまでも純粋に不安げな顔を浮かべるだけだ。見下ろすどころか、隣に座ってオズオズとした上目遣いをしている。
「……明宏」
「うん」
「危ない事はもう……しないでくれ」
「………………」
心に、冷たい風が吹き込んできた気がした。危ない事をしない──それは俺とは相入れぬ言葉だ。道はあまりにも遠く、険しい。多分、安全という言葉が入り込む余地はない。
でも、それを直で言うには日向はあまりにも寂しそうだった。
時間を稼ぐために天井を見上げ、上手い言葉はないかと考える。しかし、結論が出る前に日向は表情を崩した。
「なんて言っても……無理なんだよな」
「…………え?」
日向の精神の不安定さに俺の方が不安になっていると、早苗ちゃんみたいなピッカピカの笑顔で言い放った。
「私が祈っててやるよ!」
「なにを?」
「っ…………い、言わせんな!」
「……ああ、俺の無事とか安全とかか」
「言うなっつってんだろ!」
「だああああ!!?」
これはちょっと許されませんねえ!? こいつ、ご自慢の拳を肩に叩きつけてきやがった! こうして内心で憤っている間も現実の俺は床でのたうちまわってやがるからな! のたうち回った拍子に他のところを机の脚にぶつけて追加で苦しんでるし! ああ、かわいそう……;;
「な、治ったら覚えとけ……」
「ふんっ」
冷蔵庫の方へとズンズン歩いて行く。どこか楽しそうなのは何故なのか。俺はこんなにも苦しんでいるのに、許せねえ……
「あーいてえ……」
「……ちっ」
ノソノソと起きあがろうとしたところで、舌打ちをしながら日向が肩を貸してくれた。『くれた』て……お前のせいで転んだんじゃい!
とんだマッチポンプにビビっていたら、日向が呼びにいくとのことだった。お前は座ってろ、だとよ。
「わん」
「素直ならなあって……いやいや、ときには迂遠な方が良いこともあるぞ?」
「わふ」
「知らん、そんなポンポン具体例なんか出てこねえよ」
「わん!」
「知りたきゃ日向をもっと見るこったな」
人間エアプのコマちゃんには日向のツンツン具合の良さってのがあまり分からないらしい。所詮はこの世に生を受けて10歳未満の赤子よ。わかるようになる頃にはコマちゃんもよぼよぼの…………あー…………
「そういえばコマちゃんって……何歳まで生きるんだ?」
「…………」
考えたことなかったけど、そもそもスコティッシュテリアの寿命とか覚えてない。多分上限で20ぐらいだとは思う、犬だし。
「コマちゃんって、実感として今何歳くらいなの?」
「…………ふぁ〜あぅ」
寝てしもうた。
肉球嗅いでやろ。
「スゥー……ふがふがふが」
「ガルルルル……!」
「んーがわいいねぇぇ! ……ん?」
誰か、日向でも早苗でも無い足音が近付いてきた。来客か?
扉を開けて現れたのは──
「──あら、楽しそうね」
!!!!????
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
-
いる
-
いらない