【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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60_ダンジョン?まあ、なんとかなるっしょ!(左腕切断)

 

「ダンジョン化……本当に、この町で起こったんだな!?」

 

 やっぱりそこに気付くか……

 せっかく私たちが頑張って隠していたのに、四門の親父さんが努力をぶち壊すだけぶち壊して帰って行きやがった。もし、これで神様から何かの罰とかがあるならマジで勘弁だ。

 

「わふっ」

 

「ほっ……」

 

 幸いなことに、まあ仕方ないね……というような仕草を見せている。良かった。あれでダメって言われたら、私たちにはどうすることもできなかった。

 

「おい日向、何で隠したんだよ」

 

「…………」

 

「日向? おーい、聞こえてるかー、日向―」

 

 うっせえな、無視してんだよ。そもそも私に聞くな。

 

「日向」

 

「っ……」

 

「お、目合ったじゃん……教えろよ、良い加減往生際悪いぞ?」

 

「…………私たちもあんまり知らねえよ、ほとんど家に居ただけなんだから」

 

「ダウト、ダンジョンに行ったって言ってたよな」

 

「お前が全然出てこないから行っただけだよ! 一瞬な! ……それもコマちゃんに着いて入り口まで行っただけだ」

 

「…………そうか?」

 

 何やら訝しむように顔を傾げている。やめろ、それ以上突っ込もうとするな! こっちは色々ギリギリなんだよ! 

 

 信じてた神様は邪神で、姉ちゃんが成長しなかったのはアイツのせい。『気持ち悪い』っていう意味不明な理由で明宏を殺そうとして、ついでにこの街全体を滅ぼしたかけた。

 しかも明宏の飼い犬のコマちゃんは神様だし、文字通り格が違った。

 よく分からないうちにアイツは斃されたし、姉ちゃんと母ちゃんも良くなった。

 

 …………どうしろと? 

 私たちはただ慎ましく、日々を順調に過ごしてさえ居られれば何の文句も無かった。それが何でいきなりこんな事になってるんだ。下げるのか上げるのか、はっきりしてほしい。

 

「結局、ダンジョン化ってどういう起こりからどうなったんだ? 今俺、ダンジョンにいるの? どういうこと?」

 

「…………知らねえよ! なんかあったんだろ!」

 

「……ちっ」

 

「っ……!?」

 

 心臓に氷柱を突き入れられたような気分だった。

 舌打ち。

 明宏が私に舌打ち。

 信じられなかった。

 言葉遣いが多少荒くなることはあっても、舌打ちなんて。なんでか、周囲の光景に置いてけぼりにされたような気がした。

 スリッパを履いてるはずなのに、足が冷たくなった。

 

「あ、あきひろ……」

 

「…………ふぅ……ごめん、ちょっと色々飲み込めなかった。今のは無かったことにしてくれ」

 

「…………」

 

「そんな顔すんなって! 別にお前に怒ったりしてねえから!」

 

「……そ、そうだよな…………うん……」

 

「…………ごめんって、本当に」

 

「べ、別に何も思ってねえし……」

 

 嘘だ。

 明宏のあんなところを真正面から見せられたことは、これまでほぼ無かった。

 ダンジョン化、それを聞いた途端に目の色が変わった。一瞬、血走っているようにすら見えた。

 そして舌打ち。

 怖気付いてしまった。

 親友のはずなのに。

 ────のはずなのに。

 

「ダンジョン化……コウキさんが嘘をつくとは思えない、例えば………………起こった後で元に戻ったなら……」

 

 ブツブツとつぶやいている明宏は、口の端が持ち上がっている。まるで狂気に冒された異常者のようですらあった。その姿を見ていると、知らない人間に変わってしまったみたいで…………すごく嫌だった。

 

「……明宏?」

 

 袖を引く。

 一人でつぶやくのはやめて、話をしようと言いたかった。せっかく無事──ではなかったけど家に戻ってきて、こうして元気になったんだから。

 だけど──

 

「あっ……」

 

 私のことなんか気にも止めずに、廊下へ出て行った。

 こちらの方が人数が多いはずなのに……置いてかれたような気分だった。

 

「──き、きっとダンジョン化のことをすっごく心配してるんだよ! ね? お母さん!」

 

「そ、そうね……もしもダンジョン化していたら日向が危ない目にあってたかもしれないのよ? それが許せなかったんじゃないかしら」

 

 気休めを言ってくるけど、私にはわかる。アレは……明宏があまり見せない本心の部分だ。

 

 ──明宏がダンジョン探索部を作った時のことを思い出した。

 

 

 ──────

 

 

「──おい! マジでやめろって!」

 

「やめない!」

 

「ふざけんな!」

 

 止まらない。

 腕を掴んでも、声をかけても脚が止まらない。

 それは否応なしに、コイツが本気でダンジョン探索なんてことをやろうとしていると分からせた。

 ──ふざけるな! 

 

「馬鹿野郎! 目ぇ覚ませ!」

 

「…………」

 

 頬に一発、拳を食らわせてやった。バカなことを考えて実行に移そうとしている、我らが生徒会長を止めるためだ。心配とかそういうのじゃない。

 一昨日創部して、今日ダンジョンへ行く。

 もう少し準備とか、トレーニングとか、そういうのがあるだろうが。

 自殺行為をしようとしている奴を止めるのは当たり前のことだ。

 

「どうしてもやりたいんだ」

 

「────はぁあ!?」

 

「人にはそれぞれ、やらなきゃ行けないことがある。俺にとっては、今、ダンジョンに行くことこそがそれだ」

 

「…………ばっ、バカッ! 良い加減にしろ!」

 

「山田…………俺は、同じような事をしていたんじゃ生きていられないんだ」

 

「何の話だよ!」

 

 今日も、昨日も、何度も説得を試みた。

 ……勝手にダンジョンに行ってしまうんじゃないかと不安で。

 私の爺ちゃんは探索者でもあり、師範でもあった。だから、霊領のことも恐れずにバンバン入っていくし、連れて行かれた。あそこは実質的にダンジョンみたいなものらしくて、神様の規律に従わなければ躊躇なくモンスターが襲ってくる。

 私も霊領で修行をした身だから、実際に襲われたことは殆ど無いけどダンジョンがどれだけ恐ろしいかは知っているつもりだ。素人が面白半分で突っ込んで良い場所じゃない。

 だというのに、この男は私の言葉も、殴られたたことさえも微風に過ぎないとでも言うかのように流す。

 

「学校は楽しいか?」

 

「はぁ?」

 

 話題が二転三転して、ついていけない。

 

「無理やり引っ張り込んだけど……どうだった?」

 

「…………べ、別に……」

 

「つまらなかったなら、それは申し訳ないと思う」

 

「そうは言ってねえよ」

 

「はははっ! だよな! 学校ってのは楽しいんだ!」

 

「…………」

 

「友達がいて、彼女がいて、先生がいて、知識を学べる場所。どれだけ恵まれた環境か……みんな、ちゃんと覚えてたんだ」

 

「彼女!?」

 

「それは例えだ」

 

「そ、そうだよな……お前に彼女なんてできるわけねえもんな」

 

「ふふ、そうだな」

 

 私はコイツと同じクラスだ。そんでもって、隣に座るように言われている。うざってえ奴らをぶちのめそうとしてた所をコイツに止められたからっぽい。

 それで……こいつはそれなりにモテる。

 誕生日なんかは靴箱にプレゼントが詰め込まれていた。

 上っ面だけは良い──とも少し違って、人当たりがいいって言った方がいいかもしれない。クラスのやつに話しかけられるととんでもなく嬉しそうに会話をし出す。ゴミ出しの当番の日に誰かと一緒の時も、戻ってくるまでずっと楽しそうにしていた。

 

 しかし、一つだけ難点があった。

 幼馴染の四門がアレなことだ。

 こいつは気づいていないようだが、四門は色々とやっている。

 告るために呼び出そうとした女子がいたら被せるように約束を取り付けたり、弁当をわざわざクラスに持って来て一緒に食べたり。そのくせ、マトモに人と接することができない。

 四門は加賀美と話すときだけは饒舌で、それ以外と話すときは『あ……』とか『ひゃい……』とか発するだけの生き物だった。

 

 しかし、そんな幼馴染のことが可愛くて仕方がないのか。会話にもたつく四門を影から見てはホッコリしていた。正直、意地悪な奴だと思う。

 ……あんな根暗な女のどこがいいのかまるで分からない。

 付き合っているわけではないらしいけど、だったら放っておけと思う。

 彼女すら作らず、あの女にかまけて……

 

「つっても彼女を作ることだけが青春じゃない、俺はダンジョンに青春をかけるって決めたんだ」

 

「…………嘘だな」

 

「うん?」

 

「お前、青春なんて微塵も思ってねえんだろ」

 

「──」

 

「わかるんだよ、そういうの……」

 

 こんな世界で、腐る奴なんて山ほどいる。虫みてえに暗いところに集まって、皮肉な笑みを浮かべて表の世界を皮肉るんだ。

 私も同じだったから良くわかる。

 こいつは私たちとは違うけど……それでも、青春なんて1ミリも感じていないのは間違いなかった。普通がそうだから一応混じっているだけ。本当にやりたかった事を見つけたんだ、こいつは。

 

「やっぱり、お前を会計にしてよかったぜ」

 

「はあ?」

 

「誤魔化しが効かねえからな。向いてるよお前」

 

「嬉しくねえよ……」

 

「──おっ! ほら、見えて来たぞ!」

 

「!」

 

 それは、お目当ての商工会だった。

 職にあぶれた奴らが命を代価に金を得る、業務を受注をする為の場所。

 本当に来てしまった。

 

「…………」

 

「心配すんなって! 今回は討伐じゃないから危険も少ないし、サクッとこなしてきたら飯奢ってやっからさ! ……あ、ミツキが先か」

 

「…………そうかよ」

 

 その日は別れ、二日経って左腕が吹っ飛んだ状態で戻って来たと聞かされた。

 四門が授業をトんで、見舞いに行った。

 どうせ少し怪我したくらいで、実際は大したことがないんだろうと思っていた。戻って来たら、それ見た事かと言ってやるつもりだった。

 だけど、アイツは……

 

「ほら見ろ、魔石だ」

 

 コトリと置かれた、小指の第一関節よりも小さな黄色い石。本当に魔石を持ってきた。

 

「…………腕は?」

 

「もう治った」

 

 教室内がざわついた。

 治ったということはつまり、本当に腕が吹っ飛んだのだ。シャツを捲ると、赤く盛り上がった線が前腕の中程にある。

 

「ここから先がバツンと」

 

「………………」

 

 絶句。

 何を澄ました顔で言っているんだ、とクラス中の誰もが思っていた。

 

「澄ましてねえよ、溶け落ちた時はマジで痛くて気絶したんだから」

 

「と、溶け落ちたって……」

 

「簡単にいうと植物の採取だったんだけど、ツルがこう……腕に巻きついてさ」

 

「…………え? それだけ?」

 

「ああ、それだけで溶け落ちた」

 

 興味本位で観にきた奴らの腰が引けていた。

 腕を溶かすようなツルに手を突っ込んで、得た報酬がコレ? 

 

「ああ、これは違うぞ。たまたま出会したボールバードの魔石だ」

 

「…………?」

 

「まあ色々あったんだよ」

 

 加賀美は職員室に呼び出された。

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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