【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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66_もしかして:クズ

 

 帰るまで1週間になった。

 俺には一つ、やらねばならぬことがある。

 そう……それは事後報告である。

 俺の借家の隣に姉妹が丸ごと引っ越してくるという前代未聞の出来事。普通に一人暮らしをしているだけなら特段の問題はないのだけど、普通の一人暮らしとはちょっと違うから問題なのだ。

 俺の家には通い幼馴染と通い生徒(?)がしょっちゅうやってくる。可愛い奴らだけど──割と思考がアレというか頭真っピンクというか。暴走するのが趣味です、みたいな奴らなのだ。

 

 早苗ちゃんと日向が隣に越してくるのは正直、クソ嬉しい。嬉しくないわけなくない? そんな奴いないだろ。引っ越してきたら「カレー作りすぎちゃったんだけど食べる?」が出来る。是非してみたい。それに、俺の地元に早苗ちゃんを連れて行きたい。こんな田舎に住んでるせいで娯楽をあまり知らない早苗ちゃんに、タールのように文化を流し込んでやる。ベトベトになりやがれ。

 

 んでまあ、嬉しいんだけど……あの2人とこの2人の相性がいいかってのはまた別問題だよね。俺もさ、バカじゃねえから色々想像はしてるわけよ。出会い頭に喧嘩になったらこうしようとか、どうやって紹介しようとか。

 少なくとも確定なのは、ミツキとアリサに先に連絡しておかないと面倒なことになるという事だ。

 ……先に連絡しても面倒臭くなりそう。

 それでも、一応あの2人には話をしておくのが筋なんですよ。家のこととか頼んであるんだし、当たり前だよね。

 

 端末は元々使ってた奴はぶっ壊れてたからデータ結晶を取り出して、本体交換をしてもらった。大事なもの(写真)がたくさん入ってるからね、破棄はありえない。

 確認した受付の光村さんはドン引きしてたけど、人の大事なものにケチつけちゃあかんよ。趣味は人それぞれなんだから。

 さて、じゃあ連絡しようって段階になって……指がなかなか進まない。あとは通話を開始すればいいだけなのになんでこんな──まさか、誰かが俺の脳内をジャックしている!? そ、そうだ! そうでなきゃこんなに気が進まないなんあり得ない! アルミホイル巻かなきゃ……! 

 

「いつまでやってんだよ、早く連絡しろよ」

 

「お前たちのことなんだけどなあ……」

 

「だからこそ早くしろって言ってんだよ」

 

「…………そもそも、俺があっちにいる時にお前らが連絡してくれりゃよかったんじゃないのか?」

 

「もういいから連絡しろよ」

 

「……ええい!」

 

 ポチッとな。

 

『…………もしもし』

 

 もう、この時点でおかしい。

 声が低いこと低いこと。

 

「ミツキ、俺だけど」

 

『俺なんて人は知りません』

 

「アキヒロだよ」

 

『…………アキヒロ? アキヒロってもしかして1週間以上も連絡するの放ってメールにも反応しなかったあのアキヒロ?』

 

「……そ、そうです」

 

『ヘェ〜……心配して何度も連絡したのに自分からは連絡返さないあのアキヒロ君が何で私に連絡してきたの?』

 

「…………」

 

 めちゃめちゃブチギレてる……ここ数日は連絡できてないのが原因だろう。替えの端末が用意できなかったから仕方ない。

 半ばわかってたけど、少なくとも顔を合わせて謝るまで許してくれないなこりゃ。

 

「た、端末が壊れてて……」

 

『山田ちゃんの端末借りればいいよね?』

 

「色々事情があって……」

 

『事情って何? 言ってみなよ』

 

「…………」

 

『もしかして……浮気してたとか?』

 

「うわき!? い、いやいやそういうのじゃ……」

 

「っ……」

 

『本当?』

 

「ほ、本当だって!」

 

 誓って手は出してない。

 ……うん、手は出してない。

 

『本当の本当に?』

 

「本当だよ」

 

『女の子連れて帰ってきたりしない?』

 

「し…………」

 

『し?』

 

「……その事なんだけどさ」

 

『────』

 

「あれミツキ? ……ミツキー? …………ミツキちゃーん?」

 

 通話が切れていた。

 慌てて光輝さんに通話をかける。

 

『よう、どうした』

 

「ミツキ、家にいます?」

 

『今日はお前んちだよ。もしかしてお前なんかや──』

 

 アリサに連絡してみた。

 

『ヒロさん、何やったんですか? ミツキさんが部屋の隅っこで不貞寝しててうざったいんですけど』

 

 開口一番これだ。

 信用ねえ〜。

 

「まだ何もしてないんだけど……」

 

『コレから何かするんですね…………で?』

 

 声が低い事低い事(3分ぶり2回目)。

 

「…………連絡しなくてごめんなさい」

 

『他には?』

 

「他……」

 

『浮気したんでしょ』

 

「してないしてない!」

 

 気にするところ2人ともそこ!? 

 

『だって最後まで────だし……どうせ山田さんとエッチなことしたんでしょ!』

 

「何を言ってんだ!?」

 

「な……な…………」

 

『あ、やっぱり隣にいるんだ! 出てこい泥棒猫!』

 

「ちょ……落ち着けって……」

 

『これが落ち着いていられますか! 私という者がいながら女の子の家に泊まりに行くとか、普通許されるわけないですからね!』

 

「それは許してほしいかな」

 

 真面目な理由だったし、そもそも事前に伝えていたはずなんだけど。

 

『仲が良いなんて聞いてないです!』

 

「仲良くない人の家に泊まりにいかないと思うんですけど」

 

『屁理屈だ! やっぱりエッチなことしたんだ!』

 

「ええ……」

 

 無茶苦茶すぎる。これが獣の本能ってやつか……やはり猫耳は何とかしなきゃ……! 

 

「帰ったら全部説明すっから、うん」

 

『約束ですよ! …………でも、無事みたいで安心しました』

 

「ごめんな、心配かけて」

 

『許しません! ──』

 

 捨て台詞が不安すぎる。

 許されないまま通話が終わってしまった。

 

「いやもう……お土産買ってくしかねえな……」

 

「…………」

 

「なんか良いの知ってる?」

 

「い、いや……」

 

「うん?」

 

 少しだけ違和感を覚える返事だった。横を見ると、顔が真っ赤だ。確かに鼻面や耳が赤くなる程度には寒いけど……そんなに? 

 なんか妙だね。

 しかし、日向は突っ込むと爆発するタイプの地雷なのでそっとしておくことも大事である。道を外れそうになったら積極的に爆発させないといけないけど、今日のはそういう感じはしない。

 

 アリサ達に通話をかけたのは散歩の途中だったので続きだ。ベンチから立ち上がり、林の中を進む。

 少しだけ積もった雪。

 さすが田舎、高校じゃ雪なんてほとんど見なかったのに。

 

「…………」

 

「あれっ」

 

 バカにしてんのか! というツッコミ待ちだったのだけど反応が来ない。どこか上の空で俯いている。そんな風に歩いてたら車に轢かれるぞ。車とか通ってないけど。

 

「おい下向いてたら──」

 

「お、お前ってさ……!」

 

「はぁい」

 

 立ち止まったかと思えば、肩を怒らせる。何だか一生懸命な様子だ。何をそんなに気合入れる必要があるのか分からずに言葉を持っていたら、

 

「よ、四門と付き合ってるんだよ……な?」

 

「え…………」

 

「どうなんだよ」

 

「付きあ……まあ……いや、分かんねえ……」

 

「……嘘とかいいから」

 

「嘘じゃなくて」

 

 あいつに告白した覚えが無い。

 なし崩し的に退廃的なことをしてしまったが、結局そこんところは曖昧なままだ。

 アリサも同じく。

 というかアイツらなんなの……なんで片方がエッチなことしたらお知らせが入るの? 量子もつれみたいな感じ? 

 

「わ、私が何も分かんねえと思ってんだろ!」

 

「なんなんすか……」

 

 意味分からなさすぎて怖いです。

 でも──怖いけど、こっちに来てから日向の様子が全般的におかしいのは気づいていた。

 だって、以前の日向なら抱きついて来るとかなかったもん。あまつさえあの夜──

 

「何であんなことしたんだ?」

 

「あ、あれは…………」

 

「うん」

 

「…………わかん……ない……」

 

「そっかあ」

 

 分かんないけどああいうことをしてしまったらしい。

 あと、そんな顔をするのはやめてほしい。俺がいじめてるみたいで罪悪感がすごい。

 

「でも……多分、神様のせい……?」

 

「それ以上はいけない」

 

 神をも恐れぬ振る舞い(ガチ)はやめてください。俺みたいな奴がやるならともかく、眷属であるミツキがやるのは洒落にならない。

 

「心配すんなって」

 

「するに決まってるだろ」

 

「……そうか?」

 

「そうだよ!」

 

 やはり様子がおかしい。

 神様のせいとか……実際そうだけど。

 

 様子がおかしいけど機嫌は良くなった日向と一緒に帰ると、三船君とシエルが稽古をしていた。

 お互いに木剣を構え、5mほどの距離を保っている。

 あれだ、剣道で言うところの中段。

 2人はジリジリと回っていた。

 

「!」

 

 側で審判として見守っていた早苗ちゃんがこちらに気付いて手を振る。すると、その動作がキッカケになったのかシエルが動きを見せた。

 

「やっ!」

 

 気合を吐くと三船君の目に向けて突きを入れた。決まれば恐ろしいことになるのは確定だが、そう簡単には喰らってやらないと剣を軽く振る。

 コツンとのけられ、狙いが外れた切先。

 腕を伸ばして向かってきていたシエルに対して、三船君は後ろに下がりながら袈裟斬りを浴びせようとした。

 

「おわっ!?」

 

 三船君の速さが足りず、シエルがそのまま飛び込んだ。2人のおでこはゴッツンコ。

 

「〜〜!」

 

「あぅぅぅ……!」

 

 地面を2人して転がっていく。

 仲良しだね。

 

「いてて……」

 

「しみる」

 

 2人は早苗ちゃんの治療を受けていた。膝や肘を擦りむいていた。

 ぶつけた頭には回復薬。脳内出血があったらコトだからな。

 どうやら俺が来る前から稽古をしてたらしく、疲れて足がうまく動かなかったようだ。

 

「──おかえりなさい、加賀美さん」

 

「ただいま」

 

「あの……」

 

「なに?」

 

「実は……今度お願いしたいことが……」

 

「え? 今でも良いよ?」

 

「こ、今度です!」

 

「……わかった!」

 

「! …………お、お願いします!」

 

「いや、はええって。話聞いてからな?」

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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