【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「ただいま」
「わんっ」
やっとこさ戻ってきた我が城。ひと足先にどっか行ってたコマちゃんが出迎えてくれた。
4人とはすでに別れた。
早苗ちゃんたちは荷物を置いたら来るそうだ。
「変なことはあったか?」
「わふっ」
「……まあ、うん」
ミツキたちがブチギレていたらしい。
怖すぎて顔を合わせたくない。
そして今日はちょうどミツキが来ているようだ。
靴が置いてあるからわかる。
「ミツキー……」
声を抑えめに、恐る恐ると進んでいく。
リビングの扉をぶち破って突っ込んでくることまで想定済みだった。ついでにコウキさんが来るかもしれないことも。
しかし、どうにもそんな様子はない。
なんなら、リビングに入っても誰もいなかった。
「ん?」
「…………」
コマちゃんがチラチラと見る方向。
それは俺の寝室。
──ああ、寝てるのか。
「ミツ──」
『はぁ……あっ……』
「……」
扉を開けるのを、寸前で押し止まった。
危ない、危うく幼馴染のメンタルを崩壊させる所だった。しかし、俺の思い違いかもしれない。風邪をひいている可能性も。
もう一度聞いてみよう。
『──アキ……っ……ぅぅっ……あっ! そこっ……!』
うん、ノックしなきゃダメだね。
「ミツキ、いるのか?」
『────!』
中からブワサブワサと音が聞こえてくる。
何やら慌てているようだ。
よく分からんけど。
「入って良いか?」
『ちょ、ちょっと待って!』
「はいよ」
自分の部屋に入るのにわざわざ許可を取るという不自然さに目を瞑れば、完璧なフォロー作戦だ。
少しして、何の気ない顔をして扉を開けた幼馴染。
頬が紅潮している。
口元にかかっていた髪を退けた。
「あ、ありがと……」
「ただいま」
「お、おかえり…………ハッ! ひ、人連れてきてたりしないよね!?」
廊下に顔を出し、左右を確認する。
しかし当然、俺は1人だ。連れて帰ってきたやつは1人もいない。隣の家には山田姉妹がいるけど、そういう話でもないのだろう。…………結局、その件は話せてない。ここからやばいぞお!
それにしても……
「はぁぁ……安心する……」
「ふわっ!? ちょ、ちょっと!?」
「すぅぅ」
「……もぉ〜」
抱きしめると、ミツキの匂いがした。
いつもよりも濃い匂い。
カッパがどうとか神様がどうとか俺の記憶がどうとか、途中から三船くんそっちのけで大変なことになってしまった。
「疲れた…………」
「……怒っちゃってごめんね、大変だったのに」
「俺もごめんな、すっかり連絡忘れてた」
「ひゃっ!」
抱きしめたままベッドに運ぶ。
「あ、ちょ、ちょっと……そこは……」
「…………」
ベッドにドサっと横たわると、背中がなんか湿った。
構わず、ミツキの匂いを嗅ぐ。
「うぅ……変態……」
「それはお前だな?」
「…………」
観念したのか、腕を回してくる。
最初からそうしてりゃ良いんだ。
「…………ぐすっ……」
「お、おい。どうした?」
「わかんない…………」
何やら気分が弛緩したのか、泣き出した。
「よしよし」
「うぇぇぇん……!」
「ああもう、しょうがない」
「ばがああああ! 連絡じろ゛よ゛ぉぉぉ!」
「そうだな、ごめんな」
「わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
赤ちゃんモードに入ってしまったのであやしていると、余計に涙を溢れさせる。シーツに続き、シャツもちゃんと洗わなきゃいけなくなった。
まさか猫ちゃんパンチまでしてくるとは。
「…………ずびっ」
「はい、ちーん」
「ふびっ…………」
「……どした?」
「…………」
鼻を噛みたいのかと思ってティッシュを差し出した。
実際それは間違っていなかったけど、それだけじゃないみたいだった。どんどん顔を近づけさせてくる。
「ミツキ?」
「その……」
「うん」
言い辛そうにしながら、顔を逸らしながら、目を彷徨わせながら、とんでもないことを言いやがった。
「…………エッチしたい」
「え」
──────
「え」
「…………」
分かってる。
ずっと前から分かってる。
このどうしようもない加賀美明宏って男は、なんかおかしいって。
子供のくせに子供好きだったこともそうだし、男のくせにイケメンを見て^^←こんな顔をしていることもそう。
モテたくせに全く彼女を作ろうともしなかったし、なんなら助けた可愛い男の子に告白された事もあった。全てが合わさった年下のイケメン女子に告白されていたこともあった。
全部に対し『ごめん……俺、間に合ってるんだ』と断っていた。
最初のうちは、私がいるからだ! と思っていたけど、そのうちに違うんじゃ無いかと思うようになり、ある出来事で確信に至った。
高校生の時、実は……意を決して誕生日の晩に誘ったことがあった。『今日、一緒にいたい』って。結果は、抱きしめられながら一緒に寝ただけ。
…………頭が真っ白のまま帰ってお母さんに言いつけた。そうしたら話が広がって、お父さんとアキが殴り合いになった。お父さんは半ばふざけていたけど、結局、誰にもアキのことを理解することはできなかった。
お父さんも、お母さんも、私も、オバさん──明美さんも、エリックさんも、理解したようで理解していない。
それは、アキがどこまで行っても秘密主義だからだ。
『焼肉を食べたい』
それは、初めて聞いた人には『ああ、この人は食いしん坊なんだな』と思わせる。
少し関わると『何でこいつ、こんなに焼肉にこだわるんだ』に変わる。
長く関わると『何でこいつ、ここまでして焼肉食べたいんだ』になる。
ずっと一緒にいると──
『こいつにとって、牛肉って何だ』
となる。
そして、それこそがきっと……私やアリサちゃん、他大勢を全くもってそういう目で見てこなかった理由につながっているんじゃ無いかと思う。支離滅裂だけど……アキの支離滅裂具合ならきっと、そうだと思う。
だけど、何故焼肉にこだわるのかを誰も聞けない。
お父さんですら。
怖い。
あまりにも恐ろしい。
深く付き合えば付き合うほどに、側から離れられなくなる。もしもハッキリと聞いてしまえば、暖かな眼差しがどこかに消えてしまうんじゃないかと恐ろしくなってしまう。
優しくてカッコいい私のアキが、どこかにいってしまうんじゃないかって。いつも怖いんだ。
ダンジョンに行くのはモンスターを倒してお金を得るためで、やがてはそれが牛を買うためのお金になるんだということはわかる。
お父さんの力を借りずに自分の力で危ない道をってのも……まあ……ギリギリ許してあげる。
じゃあ、なんで一々誰かを助けるの?
……それもイケメンや可愛い女の子ばっかり。
困ってる子達を助けるのは間違ってないよ? だって、私もそれで助けられた。だけど、それで助けた子たちの事情に1から100まで首を突っ込むのはどうかと思う。ロイスくんやソフィアちゃん、深山ちゃんに関しても、詳しくは教えてくれなかったけど危ないことをしてきたらしい。
……今回もだよね!?
ダンジョン化に巻き込まれた。
それを知った時は、お母さんに引っ叩かれなきゃ飛び出す所だった。
もう確実に、なんかやったよ。
アキは何もしてない時は何もないけど、何かしてる時は何かに巻き込まれるんだから。
完全に遺伝だ。
お父さんのエリックさんも凄いトラブル体質で、それはもう、アキよりも酷い目にあってるとかあってないとか。そんなもの、比較するだけ無駄だけど。
2人とも酷い目にあってる。
よくないけど、それで良い。
…………よりにもよってダンジョン化って! お父さんも驚いてたんだから! 巻き込まれたらまず死ぬぞって!
あのお父さんがそう言うんだから、間違いなく死ぬって思うじゃん! だからお父さんをすぐ向かわせたんだけど……無事だった。
安心した。
脚の力が抜けた。
電話で色々言った。
不安で頭がぐちゃぐちゃになって、上手く話せなかった。
帰ってきたら、面と向かって言いたいことがいっぱいあったのに。
直前まで恥ずかしい事してたのに。
顔を見て抱きしめられたら、涙が止まらなくなった。……暖かくて、生きているって分かった途端だった。この、分からず屋で、誰にも理解できない幼馴染の顔を2度と見られなくなる未来があったかもしれないと思うと、怖くなってしまった。
そんなことすら分からずに『よしよし』とか言ってるのは当事者意識が浅すぎてパンチを食らわせた。
でも、今度はちょっと……あの……私もアキに抱きしめられて、ちょっと汗混じりの匂いを嗅いだら……さっきしてた事の続きがしたくなっちゃった。この間はしてくれなかった、最後まで。
……匂いってエロくない?
あと、アキの胸板にこない女は子宮摘出されてる。
そもそも私がこうなった原因だけど……私は悪くない。私は変態じゃない。私がしてた事なんて精々──する時にいつも、アキがいなくなった部屋で、アキの服でしてただけだ。つまり、私をこういう風に育てたのはアキというわけで……あの時、最後までしてくれなかったのも、さっきしてたのを邪魔したのもアキだ。
だから──
「いい、よね……?」
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない