【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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74_告白

 

「ミツキ!」

 

「すんっ……うぐっ……うぇっ……」

 

 連絡を受けてから20分でミツキを見つけ出した。こんな何のギミックも無い地上で探すなんてのは、余裕だ。

 だけど、見つけ出したミツキは涙囂々で、またかよと反吐を吐きたくなった。

 明宏に泣かされたのだ。

 いつまで経っても懲りない。

 

 しかし、いつもと様子が違ったこともある。具体的に言うと、明宏が自分から連絡してきたこと。話の内容は抽象的で、具体的に何をしたかは分からなかった。だけど、俺もそこまでバカじゃない。要するに、いつもは勝手に泣いてるけど今回はちゃんと泣かされたという事だ。

 

 酷い言い草だけど……美月はちょっと泣き虫なところがある。事実を捻じ曲げるわけにはいかない。ミツキは割と自分勝手に泣く。その上で明宏をぶん殴ることは多いが。

 何で今回みたいなことになったのかはわからない。話も聞いてないしな。

 ただ、あまりにも明宏の様子がおかしかったのは確かだ。

 

 後で一応は明宏の様子も見に行こうと決め、ミツキを回収。自宅でミナに任せて、自分はどのタイミングで会いに行こうかと悩んでいたら……連絡が来た。

 まだ前回の連絡が来てからあまり経っていない。

 来るとしても明日だと思っていた。

 なんだろうか。

 

「もしもし?」

 

『光輝さん、ミツキいますか?』

 

「家にいるけど……」

 

『すぐ行きます』

 

 それだけだった。

 もう全く分からない。

 

『もう、アキなんか知らない』

『話したく無い』

『関係ない』

 

 ミナと話しているミツキの声は本当に冷め切った感じで怖い。そんでミナも、今回はちょっと……みたいな顔をしていた。

 終わりなのか? 

 あの2人の関係。

 だけど……来るって言ってるんだよ。

 

「──コウキさん!」

 

 待つこと30分。

 ゼーハー言いながらやってきた。

 玄関で息を整える明宏と対面する。

 

「み、ミツキは……」

 

「…………その前に聞かせろ。お前、何やったんだ? 何があってミツキを泣かせて、何があってここにきたんだ?」

 

「……ちょっと待ってって、また、待たせるようなことを──っ!?」

 

 気づいたら殴っていた。

 扉を吹き飛ばし、外の柵を薙ぎ倒してすっ飛んだ明宏の胸ぐらを掴む。

 通行人の目などどうでも良かった。力加減を少し間違えていれば殺すところだったとか、そんなの関係ない。

 

「お前良い加減にしろよ」

 

「…………」

 

「俺が前になんて言ったか答えてみろ」

 

「……ちゃんと2人を見ろ」

 

「それでこの体たらくか? お前、何がしてえんだ」

 

「…………やっと……整理がついたんだ」

 

「はぁ?」

 

「もう逃げない」

 

 明宏は、爛々と目を輝かせていた。

 

「コウキさん、ミツキと話をさせてくれ」

 

「おま──」

 

「頼む」

 

「……ちっ」

 

「一回だけ、頼む」

 

 整理がついたとコイツは言った。

 なら、相応のことをしてもらわないと困る。

 これが最後だ。

 

「でっ!」

 

 ケツを蹴り上げる。

 

「早くしろ」

 

 吹き飛んだ扉を無理やりはめ直す。

 戻ると、リビングは今まさに修羅場だった。

 興味なさげに冷たく言い放つミツキに、アキヒロが必死に言い募っている。

 

「頼む、話を聞いてくれ」

 

「別に話すことなんてないから」

 

「俺はあるんだ」

 

「あっそ」

 

「ミツキ」

 

「…………」

 

「ごめん、俺が悪かった」

 

「……そうだけど?」

 

「もう一回チャンスが欲しい」

 

「なにが?」

 

「理由を話すチャンスだ」

 

「なんの?」

 

「俺が……色々、後手に回ってた理由。何もして来なかった理由だ」

 

「…………興味ないけど」

 

「そうか……なら、勝手に話す」

 

「あっそ」

 

「──俺は既婚者だ」

 

「「「!?」」」

 

 興味無いとかそういう上っ面を保てるレベルの話じゃなかった。なんかいきなり、ヤバいことを言い出した。

 俺たちが知らない間にこいつ、結婚してたらしい。

 当然、ミツキは動揺している。

 俺も動揺している。

 ミナも動揺している。

 しないわけがない。

 

「はあ!? ちょっ──ど、どういう事!?」

 

「子供もいる」

 

「いや、だから……説明してよ!」

 

「おい、どういうことだ明宏! 結婚って……子供ぉ!?」

 

 何を言っているのかと頭がおかしくなりそうだった。

 子供がいる。

 見たこともない。

 聞いたこともない。

 相手もだ。

 

「説明して!」

 

「説明しろ! 早く! 俺が正気を保ってるうちに!」

 

 

 ──────

 

 

「ゆ、夢……」

 

「夢ってお前……」

 

「…………そういう事だったのね」

 

 子供の頃、長い夢の中で結婚して子供までいたらしい。

 ミナだけは納得している様子だったけど……今ので納得できるか? 

 そんなこと……あるか? 

 

「だって、そうじゃないと色々説明つかないもの」

 

「それはそうだけどよお……」

 

「…………」

 

 ミツキは難しい顔をしている。

 そうだ。結局、ミツキが納得しなきゃ意味がない。どれだけアキヒロが言い繕ったところで、この子が嫌と言ってしまえばそれまでだ。

 

「ミツキ……」

 

「………………………………教えて」

 

「はい」

 

 長く長く、深く考えた末に、ミツキは質問を出した。

 

「その人と私、どっちが大事なの?」

 

「……俺にも分からない」

 

「じゃあ……その人が今、目の前に現れたらどっちを選ぶ?」

 

「…………お──」

 

「やっぱ良い!」

 

「……」

 

「んんっ……告白を断ったりしてたのは、そのせいなの?」

 

「そうだな」

 

「子供が好きだったのも?」

 

「うん」

 

「……もしかして私とかアリサちゃんのこと、子供みたいに思ってた?」

 

「…………はい」

 

「だからあんな感じで終わらせたの?」

 

「…………はい」

 

 あんな感じが何か非常に気になったが、今は我慢しよう。

 

「アキは……女の子は好きなんだよね?」

 

「もちろん」

 

「だけど、私たちと付き合う気……なかったんだよね?」

 

「……うん。ミツキ達だけじゃなくて、誰とも」

 

「今もそうなんでしょ?」

 

「いや、今は……違う」

 

「じゃあなんなの」

 

「ミツキ達のことが好きだ。そこはハッキリしてる」

 

「じゃあなんでさっきは…………」

 

「っ……」

 

 明宏は、苦悶の表情を浮かべた。

 

「アイツの顔が、頭から離れないんだ……どうしても、忘れられない……ずっとそうなんだ……」

 

「…………じゃあ、チャンスとかないじゃん」

 

「それは……違うんだ、ミツキ」

 

 頭を勢いよく下げた。

 

「──ごめん!」

 

「っ……」

 

「お前に甘えてた!」

 

 なりふり構わない大声だった。

 

「いつまでも関係は変わらなくても良いだろうって! 何もしなきゃ、何も変わらないはずだって! 自分で自分に言い訳してた!」

 

「…………」

 

「でも、さっき気付いた! 俺、お前がいなきゃやっぱダメなんだ!」

 

「…………」

 

「ミツキがいないと寂しいし、ミツキが泣いてると俺も悲しい! 飛び出して行ったお前を見て、何にもできなくなった! ──そういうのは嫌なんだ! 本当に!」

 

「……そ、それで?」

 

「だから、その…………この気持ちが全部吹っ切れるかは分かんないんだけど…………それでも、一緒にいてほしい! 酷いこと言ってるとは分かってる! それでも、ミツキと一緒にいたいんだ! 一緒にいて欲しい!」

 

「ふ、ふーん……それで?」

 

「そ、それで? …………それで、ええと──」

 

 俺たちは多分、邪魔だった。

 ここから先は必要ない。

 子供の……いや、あいつジジイだけど。クソがつくジジイだったけど。

 ミツキの為、子供の為の時間だ。

 子供が大人になる時間だ。

 

 美那と一緒に、家を出た。

 

「アキヒロ……これからさん付けしたほうがいいのかしら…………アキヒロさん……」

 

「いらねえよ、あんなクソジジイ」

 

「そのクソジジイに子供を預けてるくせに何言ってるの」

 

「ジジイのくせにいつまでも昔の女引きずってんのが悪いだろ」

 

「……じゃあ、私が死んだらあなたはすぐに別の女を見つけるのね」

 

「そ、それは話が違うだろ……」

 

「あら、何も違わないじゃない」

 

「…………」

 

 なんで美那はこんなに物分かりがいいのか。

 怒りとかないのだろうか。

 

「うふふ、素敵な話ね」

 

「え……何が?」

 

「亡くなった後もあの世で思ってくれる旦那さんなんだから」

 

「まあそうなる……のか?」

 

「あなたはそうなのかしらね」

 

「あ、当たり前だろ!」

 

「さっきはいつまでも引きずるのは何とか言ってたけどな〜」

 

「うぐぐ……」

 

 クソジジイ! 

 お前のせいでこっちもちょっと気まずいんだよ! 

 後で一発分殴らせろ! 

 あと、ソレができるなら最初からやっとけ! ぐだぐだ長引かせてんじゃねえ! 後始末を俺にさせんな! 

 

「ミツキも、やっとね」

 

「けっ」

 

「アキアキアキアキって……はぁ、ほんとう長かった」

 

「長すぎだよ」

 

「それにしても…………老成してるんじゃなくて、お爺さんだったのね」

 

「どういう事だよ本当」

 

 精神年齢だけなら俺たちより上と来た。

 夢の中でのことだからどこまでカウントするかは分からねえが……おおかた、どっかの神様にやられたのだろう。

 可哀想……いや、なんかあんまり可哀想って思わねえな。娘を泣かされてるからだろう。泣かされてるし、年上だ。自分のケツは自分で拭け。

 

「でもまあ……これで、私たちも孫の顔が見れるのかしら」

 

「…………」

 

「……ねえ」

 

「ん?」

 

「もう1人欲しいなぁーって……」

 

「1人? …………ハッ!? そ、それは……いや、でも……」

 

 ミナがミツキを産む時、難産だった。

 死にかけたくらいだ。

 だから、もう子供はいいと思っていた。それは俺だけじゃなくて、ミナもだとばかり。

 

「…………ダメ?」

 

「ダメ……じゃない」

 

 でも、ミナが欲しいというなら是非もない。言われると、俺も途端に欲しくなってくるし。

 頑張るか……歳の離れたきょうだいになっちまうけどな。

 俺もミナも魔素の影響で若いから、多分子作り自体は問題ないんだろう。

 今度はきっちりと準備をすれば良い。

 

「でも、家はアレだし……」

 

 家には明宏と美月がいる。流石に今戻るのは空気が読めていないどころの話ではない。

 

「…………こっち行きましょう?」

 

 人通りの少ない路地裏。

 

「……」

 

 ムクムクッ↑

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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