【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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18_無断飲食、それは即ち

「──ヒロさん、あっちの方で音がするッス」

 

「ん」

 

「──すんすん、いい匂いがするッス」

 

「ふむ」

 

「──あ! チョコレートだ!」

 

「なるほど」

 

「──おいひいっす!」

 

「美味しい、と……ん? ……待て待て食べるな食べるな」

 

 菓子を製造保存する建物らしく、アリサは大興奮していた。

 ただ、不思議なのは……この時代、この世界にこれほど多様なお菓子があったのか、ということだ。

 さてはて一体どういうカラクリなのか。

 

「ヒロさんも食べてくださいよ!」

 

「うーん……一応やめておこう」

 

「えー!」

 

 食べたアリサと食べてない俺。

 何か違いが出るかもしれない。

 

「……ん? 何か近付いてくるッス」

 

「よし、逃げるぞ」

 

 内部はある程度把握した。

 概ね、もらった図面通りの構造だったと思う。

 無尽蔵な食料(ほぼお菓子)は異常だけど、それさえ分かれば一旦は退却だ。

 というか、足音がデカすぎるな。

 俺たちじゃ対処できないような化け物の可能性もあるぞ。

 さっさと──

 

「おぶるぞ」

 

「え? ──あわっ!?」

 

「キェェェェェェェェェ!!」

 

「な、なななななにあれ!?」

 

 ヒヨコ。

 明らかにヒヨコだ。

 何故ヒヨコがここにとか、デカすぎんだろとか、色々と言いたい事はある。

 ただ、肉体に備わった警鐘が大きく鳴り響いている。

 逃げねば。

 

 三級探索者である俺と初級探索者であるアリサでは肉体のスペックが違う。

 それゆえに背負った。

 ……三級程度で逃げられるか分からないけどな。

 

「ひええええええ!!」

 

「キョ────ー!!」

 

 叫ぶアリサを背に、ヒヨコから逃げた。

 狭いところを通ったりしても、ヒヨコが通る瞬間だけそこが広がる。

 つまり、あいつはこのダンジョンを自在に操れるってことか? 

 

「ちゃんとアレの動きを見てるんだぞ!」

 

「ひゃいい!」

 

 なんとかダンジョンから脱出した。

 ヒヨコは外には出てこれないようで、俺たちを憎々しげに睨んでいたが、暫くするとノッシノッシと奥に戻った。

 

「…………」

 

 ブルブルと背中にしがみつくアリサ。

 降りる気配は無い。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい……」

 

 はい、とは答えつつも背中からは降りない。

 

 やっぱりモンスターと対峙するのはキツいらしい。

 調査ならばモンスターと出会わないからと誘っていたけど、こうも直接的に接触してしまうとは運が悪い。

 だけどダンジョンに潜る以上、いつかはこうなるだろうと思っていた。

 それが今日だったというわけだ。

 俺にできる事は──

 

 この世界に生まれて知った。

 以前に培ったスキルは役に立たない。

 学生たちとは兎も角、彼女のような存在とは関わった経験があまりにも少なかった。

 

 命のやり取り。

 俺も最初は体が震えた。

 しかし、俺にとってはこれは仕事だ。

 仕事は辛いものだ。

 だから、なんなく乗り越える事ができた。

 

 アリサはそうでは無い。

 彼女は無垢な子供で、傷付きやすい。

 本来はこんな所にいるべきでは無い……というのは俺の傲慢だな。

 ただ、そういうことなんだよね。

 

 俺に出来ることは……何も無いな。

 このまま帰るか! 

 

「一旦商工会に戻るか」

 

「あ、な、なら降ります」

 

「良いから」

 

「…………はい」

 

 彼女をしっかりと背負い直した。

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