【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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19_棍棒外交(棍棒は隠すものとする)

 結局、背負われたまま商工会まで戻ってきちゃった。

 もう大丈夫だって言っているのに、良いからと降ろしてくれない。

 ……私みたいなのに関わり続けてくれたのだから、そういう人だとは分かっていたけれど。

 

 ヒロさんとの出会いは、私がまだ13の時だった。

 

 中学校であぶれて行き場が無かった私は自然と不良たちとつるむようになり、自然と探索者になった。

 弱い奴は不良でいることすら出来なかったからだ。

 そこら辺に屯しているだけだと治安維持機構によって排除されると教えられた。

 誘われるまま、4人で登録をした。

 

 主体性のかけらも無い。

 ただ学校に馴染めなかった奴らが傷を舐め合うだけの集団。

 みんながそっちを向いている気がするからそっちを向く。

 でも、その時の私にはそれでも救いだった。

 親に反対されても無視した。

 家に帰る事すらせずに、あちこちフラフラと。

 危険なダンジョンに潜って、小さいモンスターを倒して大喜びしていた。

 少しだけ人間より大きな力を手に入れて……そして…………それ以上のモンスターを倒せなかった。

 烏合の衆が4人集まった所で、乗り越えられるほどダンジョンは甘く無かった。

 ひもじい。

 お腹が空いた。

 でも、家に帰るなんて今更無理。

 どうしようも無くて……気付いたら、周りにいる人間が全員敵に見えた。

 みんなの頭から、獣の耳が生えていく。

 爪が鋭くなっていく。

 しっぽが生えていく。

 理性が抑えられなくて、高級料理店で強盗をしようとした。

 

 そこにいたのがヒロさんだった。

 あの人は、レジにいた。

 

『温めますか?』

 

『激アツで』

 

『激……は、はい』

 

 ゆうに10万はする、チキンフライを買おうとしていた。

 

『そもそも、冷えたフライとかゴミだろ……』

 

 ブツブツと何かを呟いていた。

 そんなヒロさんを無視して1人が店員に近付いた。

 

『金出せ』

 

『へ?』

 

『金出せよ!』

 

 胸ぐらを掴んで、店員を引きずり倒した。

 体格差なんて関係無い。

 普通の人間には抗う事ができない力。

 恐怖に顔を歪めた店員は、震える手でお金を手渡そうとした。

 

『ちょっと待て』

 

 ヒロさんは待ったをかけた。

 フライを指差す。

 

『腹でも減ってんなら、これあげるから』

 

『……ああ!?』

 

 苛立ちも隠さず、詰め寄る。

 その時の私たちには、何の躊躇もなくそんな事をできるヒロさんが金持ちにしか見えなかった。

 

 いけすかない。

 私たちはこんなに苦しんでいるのに。

 

『落ち着け、君たちはまだ子供だ。こんな事をしちゃダメだ』

 

 冷静に悟そうとするその言葉が、ますます癪に触った。

 

『学校に行って勉強しなさい』

 

 全員が全員、その一言でキレた。

 ナイフやバットで襲いかかって──次の瞬間には鼻をへし折られていた、物理的に。

 

『俺は本当に口が下手だな……届くわけないか……』

 

『あっぐぅぅぅ…………!』

 

 顔の中心が灼けているようだった。

 ボタボタと赤いものが床に垂れ落ちる。

 みんな同じ。

 あまりの痛みに、私は怒りを抱くことすら出来なかった。

 

『痛い……』

 

『……病院行くぞ!』

 

 病院に放り込まれ、回復薬で治された。

 待っていたのはみんなの親。

 私の場合はお母さん。

 目を見る事ができなかった。

 

『初めまして、加賀美と申します』

 

『……ご迷惑をおかけしました!』

 

『俺は何も迷惑はかけられてないですよ? では失礼します』

 

『せめて連絡先を!』

 

『──それなら、こちらまでお願いします』

 

 短いやり取りを交わした後にヒロさんは帰った。

 私達はしこたま叱られて、後日再びヒロさんに謝罪と感謝を告げに行った。

 返ってきた言葉は……

 

『気にしなくて良い。ただ、そうだな……勉強はした方が良い。少しだけ長く生きたやつのお節介だけど、間違ってはいないはずだ』

 

『……勉強……苦手です』

 

『なら、俺が教えるよ。中学生くらいなら教えられるから』

 

『え?』

 

『よろしく、俺はカガミアキヒロだ』

 

『あ、はい……え、え……え?』

 

『参考までに、これが模試の成績です』

 

『──まあ! よろしくお願いします!』

 

 お母さんにもあっけなく賛成されて、そういう事になった。

 

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