【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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「あ、かっこいい人だ」

 

「なんだそりゃ」

 

 方目さんに、また意味のわからないイジり方をされた。なんだかっこいい人って。

 今更気付いたのか。

 

「メイちゃん助けたんだって〜?」

 

「ああ、生きてたんですね。よかったよかった」

 

 どうやらあの後、無事にここに辿り着くことができたらしい。そんなに帰ってくる時間に差がなかったのかもな。俺たちは数時間歩いた後すぐ帰ったし、あの子も同じくらいの時間休憩してから出発したのかもしれない。

 気持ちのいいスタートを切れそうだ。あそこまでして帰ってこなかったら、寝覚が悪くて仕方ないからな。

 

「うっす! 反応うっす! 子供じゃないと本当にあれだねえ!」

 

 別に子供だろうがこんなものだが。

 そんな、子供に狂ってるような姿を見せたことないだろ。ちゃんと喜んでるし。

 

「今、後ろにいる男の子の顔を見て同じことが言えるかな?」

 

「言えますけど」

 

「もうー……照れちゃって! 可愛いんだから〜」

 

「方目さんの方が可愛いですよ」

 

「えっ」

 

「それで報告なんですけどね」

 

「えっっ!?」

 

「報告」

 

「今、なんて!?」

 

「報告だよ」

 

 なんだこいつ、難聴か? 

 

「三船くん頼んだ」

 

「へ」

 

 今回の主である三船くんにお任せすることにした。今回は付き添いだからな、あんまり前に顔を突き出しておく意味もない。

 

「レイトくん、どんな感じだったの?」

 

「えっと……」

 

 辿々しく状況を説明していく三船くんと、それを頷きながら聞く方目さん。なんだかんだでこの子のことを気にかけてるのは方目さんも同じだからな。最初に三船くんのことを押し付けてきたのがそもそも彼女だし。

 暇つぶしも兼ねて、??(不明)の外に出ることにした。

 まだ何かを食べる気にはならないから酒場に座る気もない。

 露店を流し見していると、知らん物が売っていた。

 紋章……みたいな? 

 銀髪の姉ちゃんが、統一感のある意匠の施された銀細工のアクセサリーを木の台に載せて売っている。少なくとも俺は、この世界でこういうものを見たことがない。

 厨二病的なアクセサリーとはまた違うけど……あれかな、鍛治師見習いとかなのかな。

 周囲の人間も、珍しそうに見てはいるけど中々手を出さない。

 

「nglpkpgtpd?」

 

「??」

 

「ygmpgw!」

 

「なんて?」

 

「?」

 

「いや……なんだって?」

 

「──xgaaqdgjgv?」

 

「…………」

 

「gwbjgmpjh?」

 

「ごめん、何言ってっかわかんねえや」

 

「lqagzkd!?」

 

 どうやら外国の方らしい。

 ……んん!? 

 もしかして、天命山脈超えてきたの!? 

 それ、すごくね!? 

 うわメッチャ話聞きてえ! 

 ──何で言葉わかんねえんだよお! 

 

「おい兄ちゃん」

 

「え?」

 

 後ろから肩を掴まれたかと思ったら、知らんおっさんがいた。口くさい。

 

「意地悪はやめな」

 

「意地悪?」

 

 もしかして、俺が何も買わずに話をしていることを言ってるのだろうか。そんなこと言われても、まだ買う買わない以前に話の段階だったわけで……外国差別とかじゃないのに困るな。むしろ、わけわからん言葉で話しかけられて困ってる俺を助ける場面じゃなかろうか。これが三船くんだったらよくわからないからっつって2、3個買わされてた可能性もあるぞ。

 

「う……探索者か……いや、探索者だとしてもそういう事はしちゃいかんぞ!」

 

「はあ」

 

 よく分からんけど、それは言ったもん勝ちの反則ワードじゃなかろうか。何もしてないのに俺へのヘイトが確実に高まってるぞ。周囲の奥様方がヒソヒソ喋ってるし。

 

「んじゃ!」

 

 言いたい放題言ってから逃げやがった。気持ちは分かるけど……何の話かだけは教えてから消えてほしかったなあ。俺が一体、何の意地悪をしたってんだ。ほれ見てみい、姉ちゃんも気まずそうにこっち見てんじゃねえか。

 ──まあ、とりあえずは一個買ってくか。なんか意地悪したらしいし。

 

「3個ちょうだい」

 

「jgljpivg?」

 

「…………」

 

「はぁ……」

 

 今のは分かったぞ、ため息だ。

 ため息つきたいのは俺の方だけどな。何でこんなヒンドゥー語みたいなわけわからん言葉を話す奴がまともに商売できてんだ。

 ……ボロい商売でんなあ!? 

 

「…………」

 

 お代と引き換えに受け取ったアクセサリーを空にかざす。やはり、精緻な技術が用いられていた。相当な冶金技術、あの若さでこの領域に──んなわけないか。あの子は売り子だな、明らかに。

 顔は良かった。

 だからこそオッサンも助けに入ったんだろうけど、

 

「微妙に違うんだな」

 

 三個ともがそれぞれ、形が微妙に違う。

 どれを誰にあげるかによって反応が変わる気もするし、ちゃんと考えないとな。

 

『──!』

 

『──?』

 

 振り返ると、あの姉ちゃんは他の客と楽しそうに話していた。

 …………やっぱり話せるんじゃねえか! なんだよ! 

 何が目的だったんだよ! 

 

 微妙に腹は立ったが、それでわざわざ戻って突っかかるほどヤカラではない。次に出会った時に尋ねればいいだけだ、何の意味があったのかって。

 微妙に時間を食ったし、一旦支部に戻ろう。

 

「うわあ、綺麗……」

 

「だろ? なんか可愛い姉ちゃんが売ってたんだよ」

 

「…………浮気はダメですよ?」

 

「おいおい、客観的な事実を述べただけなのにキツイぜそりゃ」

 

「日向さん達に怒られたくないですから」

 

「俺も怒られたいわけではない」

 

 方目さんに報告を終えて待っていた三船くんに先ほどのアクセサリーを見せたら、ひどい答えが返ってきた。まるで人が浮気常習犯であるかのように……

 

「──これ」

 

 そこへやってきたシエル。

 トイレに行っていたっぽい。

 アクセサリーを指さすと、目を見開いている。

 

「綺麗だろ?」

 

「…………どこで手に入れたの?」

 

「露店で売ってた」

 

「…………」

 

 やはり女の子はこういう綺麗な物が好きなのか。それがシエルみたいな変わり者の女の子であっても。

 用事は終わったし、案内を──

 

「あ、かがみくーん! ちょっと聞きたいことがあるんだけどー!」

 

「……シエル、露店は扉を出て左に進んだ先だ」

 

 一応、露天の場所は伝えておいた。

 行きたいなら行けばいい。

 

「……」

 

「行くんだろ?」

 

「ん」

 

「三船くんも着いていくよな?」

 

「はい!」

 

 スタタタと出ていった二人を尻目に、こっち来いとジェスチャーをする方目さんに着いていく。

 要件とは!? 

 

「最近、どう?」

 

「そうですね……傍目には問題があるようには見えないかな……とはいえ、まだでしょう」

 

「?」

 

「シエルと出会ったのは予想外だったけど、良い刺激になっているというか……」

 

「あ、レイトくんの事じゃないよ」

 

「はい?」

 

「君のこと」

 

「俺?」

 

 俺の調子はすこぶる良い。

 大幅に上がったレベルのおかげで体力も筋力も精力も過去最高だ。…………なんで最近はこんなに精力があるのか、自分でもわからないくらいだ。自分ではそんなつもりはなかったけど……我慢していたということだろうか。

 

「少なくとも、悪いところはないですね」

 

「目が増えたとかはない」

 

「うーん……体内まではわからないですけど、分かる範囲で異形になったりはしていないです」

 

「…………」

 

「それは、報告の?」

 

「うん……」

 

 明らかにシュンとしている。この間、叱ったことを覚えているのだろう。

 

「…………」

 

「で、例の話はどうなったんですかね」

 

「言ってはみたけど……」

 

「けど?」

 

「詳細はいいから、観察を続けろって……」

 

「…………」

 

 呆れた奴だ、その上長は。

 ビビって顔も出さねえなんて、仕事人として風上にも置けないな。

 

「まあ……それくらいならいいですよ」

 

「!」

 

「でも三船くんのことを忘れたりしたら許さないですからね」

 

「わ、忘れないよ! 何言ってんのさ!」

 

「人は──忙しいと勝手に優先順位を変更しますから」

 

「ハタライタコトナイクセニ!」

 

「話してみて、どうです? 三船くんは」

 

「…………加賀美くんの言う通り、だいぶ良くなったと思う」

 

 そうだろうな。

 シエルのおかげで最近の三船くんは安定している。

 やはり、近くに可愛い女の子がいると男ってのは勝手に持ち直そうとする。劇薬だけど、シエルの気質がアレで逆に良かったのかもしれない。

 アリサみたいに元気溌剌! な女の子だとちょっと引き気味になって気まずい関係になっていた可能性もある。

 

「やっぱり、加賀美くんに任せて良かったよ」

 

「さてね」

 

 実際は、もっといい道があった可能性だってある。探索者になるってのは……一般的には幸せから離れる道だ。

 俺が提示したのは、茨の道。やがて必ず、乗り越えるべきものが目前にやってくる道だ。

 というより、俺に提示できる道はそれくらいだった。それ以外では誰かに身請けしてもらうか、また別の保護施設に入るか。

 ……俺は、あまりこの世界の福祉を信用していない。この世界で性的な虐待やイジメが起こっていないなんて……俺は絶対に信じない。

 必ずそれは起こっている。

 俺がほとんど見たことないだけだ。

 想像するだけで胸糞が悪い。

 

「加賀美くん……」

 

「……ああ、なんですか」

 

「──ううん、何でもない! 彼氏が欲しいなって!」

 

「またそれですか」

 

「またって何!? 彼氏を欲しいと思うのの何が悪いの!?」

 

「何も悪くないですよ」

 

 夢を見ているだけでいいなら何も言うことはない。

 がんばれー^^

 

「むっ! 絶対失礼なこと考えたでしょ!」

 

「それは考えすぎです」

 

「…………あのさ、これからどうするの?」

 

 まるで人が根無草であるみたいな言い方だ。

 

「そんなこと聞いてどうするんです?」

 

「ただの会話!」

 

「ふぅん……まあ、コモドドラゴンの討伐ですかね」

 

「えっ」

 

 当然だろう。

 ドラゴンの討伐。

 男なら、探索者なら必ず成し遂げたいと思うはずだ。

 せっかく手が届きそうなんだから、挑戦してみるのは何も悪くないだろう。

 そもそも、ドラゴン──羽の生えたトカゲ如きも倒せないようじゃあそのうち必ず行き詰まる。必ず通る道を、今通るだけだ。

 

「そういう功名心みたいなのあったんだ……」

 

「人を何だと思ってるんですかね」

 

「だって……焼肉のことしか考えてないじゃん」

 

「失礼ですね、俺は結構色々考えてますよ」

 

「ふぅーん?」

 

 差し当たっては、このギンギラギンのアクセサリーを渡さなきゃな。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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