【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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20_誰もが通る道

 約束通りヒロさんと図書館で勉強をしていたら、いきなり見知らぬ女が乗り込んできた。

 どうやら幼馴染なようで、ヒロさんは少しだけ驚いていた。

 

「ミツキ、お前も図書館に用事があったのか」

 

「……この子、なに」

 

 顔を引き攣らせてヒロさんに質問をする。

 私には挨拶すら無し。

 

「この子はアリサ。俺の…………なんだろう」

 

「はっ!? まさか……」

 

「あん?」

 

「つ、付き合って──」

 

「それは違うけど……まあ、成り行きでな? 勉強を教えてるんだ」

 

「わ、私との時間よりもポッと出のこの……この!?」

 

「どうしちゃったんだよお前」

 

 今は勉強の時間なんだけど……

 

「ヒロさんヒロさん」

 

「あぁごめんごめん。じゃあミツキ、お互いの紹介はまた今度な」

 

「その、ここの配列なんスけど……」

 

「これはstgで一括りだから──」

 

 構わず続けたら、なぜかその女もヒロさんの隣に椅子を持ってきた。

 

「ヒート素子が織り込まれて──」

 

「ふんふん」

 

「……ミツキ、勉強の邪魔はするな」

 

「はーい」

 

 それ以降は黙ったけど、何で隣に見知らぬ女がいる状況で勉強しないといけないのか。

 すごいやり辛かった。

 でも、分からなかったところが少しだけ分かった気がした。

 

 次は2人きりだったから、最初よりも集中できた。

 その次も、またその次も。

 私のレベルに合わせて、話し方を変えて、全部の教科を教えてもらった。

 それにしてもヒロさんは近代史にやたらと詳しい。

 魔素が世界に広まる前の……第一期の世界。

 この総理大臣はこんな人だったとか、有名な配信者がどうだとか、紙媒体が衰退していた事とか。

 

『うん、よくできました』

 

 折につけてヒロさんは褒めてくれる。

 そして、褒めてもらうと胸が軽くなる。

 普通からはみ出していた私の、欠けていた物が埋まっていくような気がした。

 嬉しくて、勉強が楽しくなった。

 私だけじゃなくてみんなも勉強を教えてもらって、学校に行けるようになった。

 自然と、交友は無くなった。

 みんな違う学校の子だったから。

 

 そうなると、不思議になる。

 私たちみたいな学校に適合できなかった半端者と違って、ヒロさんは優等生だ。

 少なくとも、学校生活には完全に適応している。

 ……そんな人が何で探索者に? 

 その疑問は、直接聞く前に氷解した。

 

『アキはね、狂ってるんだ』

 

『狂ってる?』

 

『アキの夢は知ってる?』

 

『……知らない』

 

『牛肉を焼いて食べたいんだってさ、それもお腹いっぱいになるくらい』

 

『…………?』

 

『ふふ、まあそういう反応になるよね』

 

 幼馴染である彼女曰く、出会った時には既に「そう」だったらしい。

 誰に言われるじゃなくて、誰かに影響される訳でもなくて、焼肉を追い求める。

 普段の言動を見ると、とてもそうは見えない。

 

『あれは擬態してるだけでしょ』

 

 人間社会で生きる為に人間を模倣する。

 そういうこと? 

 

『ちょっと違うかな……アキの場合はなんていうか、目的地に進む為の最短距離を逆算してそう振る舞ってるみたいな?』

 

『ヒロさんはそんな機械みたいな人じゃない』

 

『そうだね。でも、情熱だけの人間と理性だけの人間は案外、同じような行動をとるんじゃないかな』

 

『?』

 

『かーわい』

 

『やめろ』

 

 この女に頭を撫でられるのは癪に触る。

 私の方が先だから、みたいな余裕をヒシヒシと感じる。

 アンタみたいな悠長な女はいつか置いてかれるんだよ。

 

『──おお、お、お、おいてかれないし!』

 

『ふん、どーだか』

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