【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
どこに連れて行かれるのか、それにしても面白い内部空間だった。溶岩が流れているところが多いところからしてここはおそらく火山内部。
その中をくり抜いて都市として利用しているのだ。
15分くらい移動にかかったのは俺が道を覚えないようにするために複雑にしたのか、それとも単純に広いのか。
おそらくは後者だろう。
山を丸ごとくり抜くなどという控えめに言って頭のおかしい所業をする奴らだ。ワープした最初の空間がメインなのは間違いないとしても、横方向に向けてたくさんの脇道が存在するに違いない。
たどり着いたのは豪奢な部屋。
部屋と言ってもかなりの広さを誇り、その中心にいる少女が不釣り合いなほどだ。ただでさえ広い空間の中、その少女は小さな体躯を特徴とする鍛治師たちにおいてもまだ少年期のようだった。
「あだっ」
突き飛ばされて、少女の前に跪かされた。
どうやら彼女は相当な権力者のようだ。
クリクリの目を見るとそのようには見えないが、周囲を囲む兵士たちや部屋自体の豪奢な様子から考えても明らかに特権階級の存在なのは明らかだった。
あるいは、この見た目で口を開けば毒舌キャラの看守長なのかもしれない。
俺たちを収監していた牢屋。
俺たちだけが閉じ込められていたというわけではない。連れて来られる途中、他にも鍛治師が牢屋にぶち込まれていた。
特別に閉じ込められたわけではなくて、単純にあそこは犯罪者や怪しいやつを閉じ込めるのだろう。
さて、跪かされのたは良いけどインフォームドコンセントが存在しないので、これから何をするかさっぱり分からない。こういうのって大抵は『お前を今から処刑する!』とかって一言くらいはあってもいいと思うんだけど、本当に何も教えてもらえなかった。
連行している奴らがガチでイライラしていたのもある。
キレないで?
少女が口を開いた。
「t/ad_#GcGd#peg」
オワタ。
言葉がわからん。
雰囲気で跪いたおかげで向こうは比較的柔らかな感じで話し始めてくれたけど、だめだこれ。
「…………」
「…………?」
ほら、なんか不思議そうな顔し始めちゃったよ!
でもダメだよこれ! 言ってることわからんもん!
「自己紹介をすることは吝かではないんですけど……申し訳ない、私はあなたの言葉を理解することができません」
「???」
小首を傾げてあら可愛い。
「G/#/agGfa?」
わかる、その気持ちはすごいわかる。
だって俺の言葉は聞こえてるんでしょ?
意味わかんないよね! 俺も分かんない!
「おそらく私は脳に障害があります。言語を司る部分に欠けがあり、そのせいで言語が認識できないと思われます」
「!」
口に手を当て、子供らしい反応で驚いている。
……おい、誰だよこの子をこの立場に置いたやつ。
子供を政治に巻き込むんじゃねえ!
小学校で1+1を学んでこい!
「反応が返せなくて申し訳ないが、ここからは自己紹介とさせていただきます」
「m#!」
頷いてくれてよかった。
「私の名前は加賀美明宏、蒼連郷にて探索者の職に就いております。ここにやってきたのは……牛を繁殖する為に必要な条件が何かを知る為です」
「へー! m(g/kb#gg_xj(G!」
へー、だけ聞こえた。
「'gemaCjGf! @.Gp'a(j#ja……」
「…………俺の幼馴染はあなたたちの言葉を普通に聞き取れるようなので、連れてきてもらっても?」
「dzm────っ!?」
「なんだ……?」
唐突に、少女が大きく身体を揺らした。上を向いて、やや白目になっている。
こわ……
あれか? 持病のひきつけか?
病院行く?
『姫様!』
『なぜ今……何をした貴様!』
「いててて……なんなんだ……」
ガシッと、刺股かなんかで後ろから地面に押さえつけられた。滑らかな床面で良かった。仮にこれがザラザラしてたらもっと痛かったな。
あと、俺に構ってる暇があったらそこの女の子をもうちょっと気にして欲しいというか……姫様?
この子、姫様なの?
「なんで俺が姫様と話すことになってんだ……」
「──それは、私がそうしたかったからです」
「え?」
なんか意味深なこと言われたから顔を上げようとしたけど、首根っこまで押さえつけら──ちょっと抑えすぎ! これじゃあ姫様の顔が見られないじゃない!
「みなさん、やめてください」
『仰せのままに』
なんだいなんだい! 姫様の言葉には唯々諾々だね君たち! スッと圧力が消えたよ!
「失礼をいたしました」
「……一人って約束のところを二人で来たのはこちらの落ち度でしかないですけど、それにしてももう少しやりようがあったのでは?」
『貴様ぁ!』
「やめてください」
『ですが!』
「やめて、ください」
『…………』
フホホw
キレすぎて俺の言葉じゃ絶対届かんw
火を使う職業のくせに、炎に支配されすぎだろ。
「申し訳ありません。皆、完全に外からの人間ということでピリピリしているのです」
「それでも構いませんよ。私の幼馴染に酷いことをしないのであれば」
「幼馴染……彼女はそうでしたね」
「どういうことです?」
「見ていましたから」
「……異能、ということですかね?」
「そう解釈していただいても構いません」
「俺と話せるようになったのも?」
そこが一番の引っかかりどころだった。まさかあの一瞬で脳みそ整理して俺の言語を解析して話せるようになったのか?
そんなわけはない。
それに、そんなことができるならあんな反応はしないだろう。
コマちゃんだって、最初は俺と会話できなかったんだから。
「うふふ、どうだと思います?」
「さっぱりですね。強いて言えば適応の異能を持っているとかでしょうか」
「なるほど……」
「先ほどまでも私の言葉は理解されていたのですか?」
「はい!」
元気でよろしい。
「幼馴染のミツキさんもすぐに解放してあげてください」
『はっ!』
「それにヴォルフガングとフィアステラも」
『……お待ちください。約束を反故にしたこの男を招き入れたのは二人です。相応の罰はあって然るべきでしょう』
どうやら、フィアステラも俺の知らんところでぶち込まれていたらしい。
どうせなら四人一緒にぶちこんでくれればいいのに、小分けにするとお前らの書類増えるだけなんじゃねえか?
……書類とか無い感じ?
「お二人をこの地へ入れる事の何が悪いのですか?」
『そ、それは……アリア様ならばご存知でしょう』
お姫様の名前はアリアと言うらしい。可愛らしい名前だけど、英語圏だと古風だったような気も。
もちろん、英語なんてこの世界で聞いたこと無いけどな! 彼らが話してるのも日本語だし。
少なくとも彼らの名前は日本語圏とは根本的に違うのだろう。そうでなければ、姫様にアリアなんて名前をつけるはずがない。
「気持ちはわかります。ですが……いつ迄も変わらなければ、同じ道を辿るだけなのです」
『…………っ!』
「さあ、解放してあげてください。彼らに罪は無いのですから」
『できません』
「ニールセン……」
『アリア様のお考えはわかります。ですが、これだけは譲れませぬ』
「…………そうですか、ではミツキさんだけは解放してください」
『はい』
というかお姫様って何?
「──そういう役目ということです」
ロールプレイって事?
本当は姫様じゃ無いけど、皆に求められて姫様という役割をこなす。それは俺の感覚では理解できない事だけど、きっとそういう文化もあるんだろう。
「と、ところで……お腹は空いていらっしゃいますか?」
「え? 別にそこま──あ、いや空いてますね」
「まあ! であれば歓迎の宴を開かなければ!」
「ありがとうございます」
「ふふっ、久しぶりの食事ですね!」
「ワッツ?」
虐待ですか?
俺は子供へのそういうのは絶対に許しませんよ?
「あ、いやこれは……言葉のあやです!」
「…………」
「本当ですよ!? ほ、ほら! こんなに腕もプニプニですし!」
ムーン! と腕に力を込める。
確かに、痩せ細っているというわけではなさそうだ。
しかし鍛治師としてプニプニでいいのか?
「私は鍛治は許されていませんから……」
『姫様に危ない仕事を任せるわけがないだろう! この愚か者が!』
確かに。
俺の浅慮だった。
でもそんなことを言ったら、約束を破った俺と対面させたということ自体が愚かな選択ではなかろうか。
『姫様が望んだことを我々が拒むわけがないだろうが! この愚か者が!』
「さっきヴォルフガング達の解放を拒んでいたのは?」
『それはそれだ!』
賢い。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない