【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
静かな子だった。
本をよく読む子だった。
インターネットが好きな子だった。
体力は無かったな。
俺が勧めた本を、文句も言わず読んでくれた。
あまり主張しない子だった。
周りの意見に左右されやすく、流されやすい。
まさに日本人。
小学校の先生から、学校でどう過ごしているかを聞いて、不安に思った。
近所に住んでいた幼馴染のダイ君はいつもあの子を引っ張ってくれた。
無理矢理に外に連れ出して、時には夜遅くまで帰って来ない。そんな2人をまとめて叱った事も。
俺は、大ポカをやらかした事があった。
あの子が夏祭りに着ていくはずだった着物を引っ掛けて、破いてしまった。
白状した俺の前で、あの子は初めて怒った。
部屋に閉じこもってしまい、立ちぼうけの俺の頭にあいつはゴツンと。
パッチワークで繕ってもらったけど、当日まで俺はあの子に口すら聞いてもらえなかった。
祭りから帰ってきたあの子は、ダイ君にパッチワークを褒められたと嬉しそうにしていた。
怪我の功名。
本当に、心の底から安堵した。
そして同時に、あいつが何もするなと言った意味も分かった。
でも、あの時とは少し状況が違う。
「お兄ちゃん……! どうするの……!」
茜の耳打ち。
ミツキはリビングのソファーに座っている。
行儀よく背筋を伸ばした姿。
生前に見た弓道の師範を想起させる、まさに牡丹のようだ。
そしてツンと唇を尖らせた横顔。
茜を俺の部屋に押し込んで、隣へ。
「……」
ミツキは意外と繊細だ。
どれくらい繊細かというと、髪のことを2日に一度は褒めないと機嫌が悪くなる。
なんなら毎日髪のことを聞いてくる。
日によって髪色が違うのは確かに綺麗だし好きだ。
でも、俺も毎日直接会えるわけじゃない。
用事とかあるし。
そのせいなのか、毎日写メが来る。
今日はこんな事があったよー、とか言って。
おかげで俺の写真フォルダの7割はミツキの写真だ。
中学までは本当に毎日会って、毎日褒めていたから名残かもな。
「今日は紫色なんだな」
チラ、とこちらを見たミツキはぶっきらぼうに口を開いた。
「……ツボスミレ」
「ツボスミレ色ね」
「…………きれい?」
「もちろん!」
お約束のやりとり。
ホッと胸を撫で下ろす。
本気で怒っているわけじゃなかったようだ。
「今日はどんな事をしたの?」
どんな業務内容で、どんなダンジョンだったか。
話しているうちに、俺も段々と楽しくなってきて弁に熱が入る。
「ヒヨコを見たアリサはビビっちゃったからおぶってな! もう、必死に走るわけよ」
「ふーん」
「そのうちあのダンジョンにも名前がつくんだろうな。なんてーのかな、ギミック系のゲームを彷彿とさせる感じだったんだよ」
「……楽しかった?」
「そりゃあな」
「焼肉は?」
「食べたい」
「うちくる?」
「いかない」
「ぶー……」
膝枕の上でぶー垂れるミツキ。
そのおでこに向けて指を弾く。
「いったーい……DVだ!」
「アホなこと言うな」
言うに事欠いてドメスティックバイオレンスって。
「ていうかお前、帰ってくるなり消臭剤は酷すぎだろ」
「うっ……ごめんなさい」
「アリサもさ、悪い子じゃないからあんまり嫌わないでやってくれ」
気遣いのつもりだった。
できれば仲良くして欲しいから。
どっちも、今の俺に欠かせない要素だ。
「はぁぁぁぁぁ」
これだからコイツは……みたいな顔をされた。
「何だよ、そのため息」
ミツキはやれやれと首を振る。
アメリカンな煽りやめろ。
「もういいです」
「気になるから言えよ」
「言ってわかるなら苦労しませーん」
うーん…………
「とりあえず夕飯、おいしかったよ」
「……そっ」
「次はシチューが良いな」
「……うん」
「もう帰る時間だぞ」
「………………すぅ、すぅ」
「おい」
「むにゃむにゃ」
「幼馴染に狸寝入りが通用すると思ったか?」
顔を向こう側に向けようが、目を閉じようが、誤魔化されるわけねえだろ。
何年一緒にいると思ってんだ。
「今日はこっちで寝まーす」
「……最近のお前、ちょっと弛んでないか?」
なんでもある親元から離れて、自立したいから。
そんな感じの理由で一人暮らしを始めたはずだ。
それなのに、俺ん家に来る頻度高くね?
俺は良いけど、お前はそれで良いのか?
そんなつもりで聞いた。
何故か、自分のお腹を見つめ始めた。
「え、う、うそ……ちゃんとジョギングしてるのに」
「お腹の話じゃないから」
いきなり天然を発揮するな。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない