【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「お酒が飲みたいだけ……でも、催し物はちゃんとしてません?」
「これは姫様が一生懸命考えてくださったんです」
「えっ」
「私も一応考えたりしたから……た、楽しんでくれると嬉しいです」
「…………」
やだ……この人のこと好きになりそう……
「──アキ?」
そうか、純粋に楽しんで欲しいと思ってやってくれてるのか……特にあの音楽。姫様とフィアステラさんがなあ……
「あ、あ〜! ちょっとお酒注いできますね私も!」
お好きに注いできてくださいって感じだ。なんなら、俺のこのお肉もツマミに分けてあげよう。
「はーい──ちょっとアキ! なんなのその目!」
「いや……良い女ってのはああいう人のことを言うんだよ」
「!? …………ど、堂々と浮気宣言……」
「バカ、そういうのじゃないから」
「それなら良いんだけど……」
運ばれてきた料理もうまいし、モンスターも出てこないし、ちょっと視線だけ無視すれば最高のリゾートだな。
……というか、なんでフィアステラさんとヴォルフガングはこんなに普通なんだ? 全然嫌悪を感じない。
「確かにね。あとあの3人も割と普通というか……なんかあるんだろうね…………でも今はいいじゃん、お祭り楽しもうよ!」
「……そうするか」
よく考えたら、向こうのこちらに対する悪感情の類は俺にはどうしようもない。今後改善されることがあるとしても、今日この場限りではよほどエンタメに才能を振ってないと変わらない。
俺は面白いけど、流石に他民族への忌避感をどうこうするほどには才能振られてない。
じゃあ楽しもう!
「──あ、なんか終わりって感じ」
少なくとも目の前で行われるやつだけは全部見ていかないとな。
ブンガは佳境なのか、鉄を叩く音が激しくなっている。あんなに早く腕を振るなんてのは──できないことはないけど、きっと金属を鍛えるのに最適な力加減があるんだろうな。俺じゃあ意味もなく叩くだけだ。
槌を振る激しさに合わせるように太鼓の音が大きくなっていく。こんなに鳴らしてもモンスターがやってこないんだから、やっぱりここはダンジョンではないわけだ。
盛り上がりが最高潮に達した瞬間、槌を振るうタイミングが同時になった。
「──はいっ!」
甲高い音が一つ、高く響き続ける。
打音が止み、空洞内を反響するそれが何を意味しているのかはわからない。
それでも──やり切ったと満足げな顔を見せる子供らの目の前にはナイフがあった。彼らが一心不乱に鉄を叩き続けていたのはこれを為すためだったのだ。
「ナイフ……」
「綺麗だね」
構造色に輝く金属──俺の知る限りだとビスマスがそれに該当する。だけど、彼らがビスマスで鍛造を行うとは思えない。そもそも適していないだろう。
『──!』
『──、────!』
子供達は大鍛冶場から出てきて、ナイフを掲げながら口々に何かを言っている。俺の脳みそが恨めしいね。ミツキは何を言っているかちゃんと理解して嬉しそうに頷いている。
「ね、すごいね! ……あ、分かんないんだっけ」
俺を憐れむな。
「──ど、どうでした?」
どこか期待するような眼差しで姫様がやってきた。
「すごかったよ!」
「そ、そうですか……よかったです」
「一生懸命考えてくれたんだもんね!」
「え」
「聞いたよ!」
「あ──」
「?」
「あぅぅ……」
顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「やーん! 可愛い〜!」
なんだこいつ、不敬罪で処されるぞ。
あと、人が頑張ってたってところをあけっぴろげに言うんじゃねえ。
「私この子、持ち帰っちゃおうかな! ねえ!」
「ダメです」
フィアステラさんが冷静に答えた。
そりゃダメでしょ。
「一年だけ!」
興奮したミツキを宥め、用意されていたものを食べ終えたタイミングでまたもやフィアステラさんは一時離脱した。騒ぎが起こっているのを鎮めに行ったようだ。
絶対酔っ払いだよね。
「…………色々見て回りたいんだけど、ここ離れていいのかな」
「とりあえずフィアステラさんを待つか」
「うん」
待っていると3人分のお酒を注いで戻ってきた。途中で呑んで戻ってこない、なんてことにはならなくて安心だ。一つ気になるのは、これだけの数が集まっていると酔っ払って下に落ちるやつとか出てきそうだなってことなんだけど。
「たまにありますけど……本当にたまにですよ」
「そりゃまた、なんで落ちないんです?」
「分かんないんですよね。私たちも不思議です」
遺伝子に刻まれてるのかもしれないな、なんて思いながらまずは酒を一杯チビチビと。フィアステラさんもそこまで一気に行くタイプではないようだ。良かった……アルハラで苦しんでいる人はいないんだ……ん?
「だー!」
「え?」
気付いたら赤ちゃんがいた。ちっさ!
ヒューマンの半分くらいだな、改めて見ると。
「……おお、よしよし」
「え、いいの? 大丈夫?」
「迷子になっちゃったんだよな〜?」
「潰したりしない?」
こいつめ(笑)
……お母さんどこにいるか探してあげないとな。間違いなくメチャクチャに心配してるだろ。俺も遠足でミツキがはぐれた時は大慌てで探したもんだ
「この子のお母さん探したいので、席外してもいいですかね?」
「あ、私も〜」
「え? ……そうですね、祭りを回るついでに探しましょうか」
声を掛けながら歩けば5分くらいで見つかった。なにせ俺たちは身長が高い(ドワーフ比)ので歩いているだけで目立つ。加えて、お母さんらしき人が不安そうにあちこちに声を掛けているのが遠目に見えた。そりゃあすぐに終わりますよ。
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
「いえいえ、でも一つ気になったんですけど……なんで赤ちゃんが1人で俺たちのところまで来れたんです?」
「夫が会場に先に行って面倒を見る約束だったんですけど、酒を呑んだらすぐに忘れて1人で帰ってきたんです」
「ええ……」
「あいつマジで……あ、失礼します」
「お気をつけて〜」
飲兵衛だなあ。
「アキはそんなお父さんになっちゃダメだよ?」
「っ……」
「ね?」
「まあ……そうだな、自信はある」
「そうだよねー」
なんですかなんですか、可愛いですねこの子は。そうですよ、俺は酒に溺れた事はありません。それで身を滅ぼした奴を何人も見てきたから、酒には飲まれないと決めてるんだ。それでも飲みたい時ってのはどうしてもあるけど普段はな。
「ミツキはあんまり酒強くないもんな」
「うん、だから頼んだよ?」
「なにが?」
「せっかくこんなところに呼んでもらったんだから、目一杯お酒飲んじゃおっかなって!」
「うーん……分かった」
「わーい!」
未来を見る能力を手に入れた気がする。明日のミツキは鍛治の音がガンガン響いて頭が痛いから動きたくなくなると見た。お家で待ってゆ〜ってモードになるぞ。
「すいませーん……」
「…………」
「お酒貰ってもいいですか……?」
屋台というか大鍛冶場の周囲に色々と飯やら樽やらが置かれており、そこから好き勝手持っていくことになっていた。一応持ってきた人間がそこに立っていて、ミツキはそのおっさんに話しかけた。用意してあるのは赤みがかった液体。やや酸味を帯びた香りが特徴的で、場にいると芳醇な香りで鼻腔が満たされていく。
──ワインじゃないか!?
何かと思えばワインじゃないかこれ!?
「すいませんこれ、俺も貰っても!?」
「…………」
店主は 嫌そうな顔で こちらを見ている!
というか 俺を 見ている!
「な、なんでしょう」
「……昼間とは随分と違うな」
「え?」
「お前さんが昼間、勝手に入った家のうちの1人だよ」
「あ、ああ〜……その節はお世話になりました」
「舐めてんのか」
「すいませんでした!」
昼間のことは水に流して欲しい。酒でも可。
都合のいいことを言っているのは分かってるけど、テンションが上がってたんだから仕方ないじゃないか。
「じゃあ一個買ってけ」
「……ちょ、直剣とかありますか? ナイフでもいいんですけど」
「ああ? ねえよ」
「無いのか……」
そりゃそうだよな、あったら記憶に残ってるはずだもん。でも思い出したぞ、モーニングスター作ってた人だこの人。そりゃ買わないよ!
「ちょっと待って、アキ」
「え?」
「なんでお酒を飲むのに云十万かけようとしてるの?」
「い、いや……」
「許さないよ?」
「えー」
ワイン……
この世界で初めて見たよワイン……ブドウがないんだもんまず……ていうかなんでミツキは普通に貰えてんだよ。
「私は勝手に人の家入ったりしないもん」
「…………」
「──ほら、金払わねえなら散れ散れ」
酒をもらえたりもらえなかったり。ミツキは問題なく貰えてるのに、何故こんなことが許されるんだ。差別じゃないか?
「区別でしょ」
「ぐぬぬ……」
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない