【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
昔の夢を見た。
『アキは、どんな大人になりたい?』
『……大人かあ』
『うん、大人』
『大人になる……うーん……やっぱり子供のままのほうが楽だなあ』
『大人になりたくないの?』
『ミツキこそ、なんで大人になりたいんだ?』
『だって、大人になればみんな揶揄わないでしょ』
『髪のこと?』
『…………うん』
『あんまり好きじゃないのか?』
『うん』
『素敵な髪じゃないか。日毎に色が変わるなんて、オーロラみたいだ』
『ほんと?』
『──ああ、とても綺麗だ』
『…………? ……ありがと』
何か違和感を感じた気がする。
あの時、私は何を思ったんだったかな。
アキは、どんな顔をしていたのかな。
お日様が照っていたから、逆光でよく見えなかったんだったかな。
「──また、1人……」
アキの部屋なのに、アキがいない。
目を覚ました時には既に。
ニュースを見ればわかる。
『祈りましょう』
キャスターが口にしたのは、あまりにも不確かな言葉。
ただ、手を組んでいる。
この世界と切って切れない存在。
直径2万kmの星に巣食う、体長わずか2kmのモンスター。
お父さんは言っていた。
格がちがう。
百年間、ついぞ人類が討滅することができなかった。
預言の書と崇められる、古い宗教の文書に記された獣。
「第一期の世界、かあ……」
神様がいない世界。
モンスターがいない世界。
魔素の無い世界。
私の髪が、普通の世界。
そして──
「焼肉……牛が普通の世界……」
頑なに、焼肉だけに執着する。
焼肉のどこがアキをあそこまで寄せ付けるのか。
牛の肉なんて、モンスターの肉と大差無い。
食べたこともないくせに、何が良いのか。
『お近くのシェルターに避難して下さい』
当然、避難しない。
アキが帰ってきた時に誰もいなかったら寂しいから。
お母さんには連絡だけしておいた。
あんまり迷惑かけないようにって、いつ私が迷惑かけたのか言って欲しい。
アキは私のすることなら何でも全肯定なんだから。
「んふぅー……すぅー……」
枕に顔を埋めると、アキの匂いで鼻腔が満たされる。
いつも隣にいるからどんな匂いかは知り尽くしているけど、特に寝室はアキ成分が濃い。
1人きりでいる時の特権。
「さびしいなー」
ボフボフと枕を殴る。
幼馴染を1人放って外に出るインポ野郎の枕なんて、ボロボロにしてやる。
「……お腹すいた」
アキが家にいれば、ハイハイなんて言いながら全部やってくれるのになー。
服も持ってきてくれるし、ご飯も作ってくれるし、髪もすいてくれる。
「ちぇー……………………すぅ」
いつのまにか二度寝していた私を起こしたのは、乱雑な衝撃。
ガスガスと腰に走る衝撃は、絶対にアキが原因では無い。
もしかして強盗が、と身を固くした。
私はか弱い女の子で、乱暴されたら抵抗なんて──
「何、してん、だよ、起きろ、ヒロ、さんの、ベッド、だぞ」
スンッと表情筋から力が抜けるのがわかった。
襲撃者に顔を向ける。
衝撃がやんだ。
「なんでいるの」
「ヒロさんに誘われたからだけど」
「──ミツキ、お前こんな時間まで寝てたのか」
ひょっこりと顔を出したアキ。
完全に呆れ顔で、心臓が大きく鳴った。
今、私は枕に顔を埋めている。
いつもはコッソリと楽しんでいたのに、寝ちゃったのは完全に失敗だった。
「う、うん……ちょっと疲れてたのかも」
「……本当か?」
ずんずんと近づいてくる姿に一切の躊躇は無い。
純粋に心配してくれている。
何だか心が痛いような気もするけど、顔をじっと見つめられてそれどころじゃないよぉ。
「……お腹減ってないか?」
「うん、ご飯作って」
「分かった」
台所に向かったアキの背を、アリサちゃんが追いかけた。
「ヒ〜ロさん、一緒に作りましょ!」
「おっ! 手伝ってくれるのか!」
「っす!」
「じゃあ冷蔵庫からペッチーズ取って」
「っす!」
わ、わたしも手伝わなきゃ……!
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない