【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
部活を立ち上げるなんて、とんでもない事を言い出したこのクソ野郎に生徒会へと誘われた。
癪ではあるけど、それなりに楽しくやってきた。
お行儀の良い奴らばかりで退屈だろうという予想とは裏腹に、どいつもこいつも一本ネジが外れてた。
ほぼ全員、コイツが誘った。
そんで私は、1番最初に誘われた。
いつもの場所に屯していたらコイツがやってきた。
逆光による黒いシルエットの中で、口元が歪んでいた。
片手には飲み干したばっかりのペットボトル。
『──よお、生徒会に興味はないか?』
『あ?』
『俺は加賀美明宏。生徒会長やろうと思っててな、メンバーを探してんだ』
『は?』
色々やり取りはしたけど、あんまり意味は無かった。
舐め腐った態度をわからせてやろうと襲い掛かったからだ。
……で、全く歯が立たない。
強えのなんのって。
少しはケガもさせられたみたいだけど、結局はボコられた。
喧嘩に自信があったのにへし折られて倒れ込んでいた私たちを、加賀美は見下ろしていた。
『お前、なんなんだよ……』
『実は通信で護身術を──ってのは冗談。鍛えてるし、"前"はボクシングやってたんだ』
褒められた使い方じゃないけど、こんな所に来る可能性を考えると身体の使い方は学んで損じゃないな、とか一人で納得して頷いていた。
意味がわからなくて、見ているしかできない私たちの前でコイツは咳払いをした。
『──ごほんっ! そうだそうだ、本題はこんなことじゃない。生徒会だった』
そこから、負けたんだから手伝えよって事で色々やらされた。
選挙の準備とか、加賀美が目を付けてる奴の説得についていくとか、テスト勉強とか。
よくもまあこんなヘンテコリンな奴らに声を掛けようと思ったな、みたいな奴らばっかり集まった。
『うん、良いメンツだ』
選挙後、最初という事で生徒会室に集まった。
何を見て良いメンツと判断したのかサッパリだった。
だけど、実際に活動が始まるとその意味がわかってきた。
どうやらコイツは、テキザイテキショってやつが得意らしい。
私も、つまらない書類仕事なんてと思っていたのに、意外と会計が肌に合った。
なのにこれだ。
でも、分かってはいた。
生徒会のメンバーの中だと1番普通だな、なんて生徒からは言われたりしてるけど、私達──生徒会──は分かってたんだ。
加賀美明宏は、ぶっちぎりでイカれてる。
特に秋川は、コイツのことを畏れを含んだ目で見ることがある。
神様と繋がりがある由緒正しい家系で色々な不思議体験もしてきたらしい。
そんなヤツでも驚嘆を覚えずにはいられない不思議存在が、加賀美なんだと。
詳細は一族の秘密に関わるから言えないらしいけどな。
ともかく、コイツの下で動くのは意外と楽しかった。
なのに、ふざけた事を言いやがる。
しかも将来は探索者になるだなんて。
冗談だったとしても頭に来る。
……でも、どうやらマジらしい。
「おい! このナイフかっけえぞ!」
「……だっさ」
ガキみたいにはしゃいで、生徒会長をやってる時とは大違い。
「こっちの剣とかぜってぇ使えねえぞコレィ!」
「ふーん」
ラックに掛かってる武器を手に取っては重さを確かめる。
振って見なきゃわかんねえだろ。
知らんけど。
「これモーニングスターだ! あっちで試しに振ってくるわ!」
「え、ちょ」
「おっも! 無理だわ」
「はしゃぎすぎだろ……ったく」
「お前、スケバンなのにカッコイイ武器とか好きじゃねえのか?」
「今はちげえよ!」
「えー……」
「──っていうか、いつの間に防具なんて着けてんだよ!」
「ははっ! 良いだろコレ!」
籠手と胸当てを装着して、楽しそうにポーズなんか決めちゃって。
逆。
立ち位置が真逆だ。
私とコイツ。
はみ出し者は私で、正常なのがコイツ。
その筈だ。
そうだった筈だ。
あんな、命を削らないとやっていけない仕事。
好き好んで誰がやるんだ。
給料が高いからなんだ。
バカなのか?
何でそこまでして……何でそんなに目を輝かせてるんだ?
その先には死しか待ってないのに。
誰にも看取られず、ダンジョンの中で食われる。
死体すら回収されない。
孤独な最期。
後悔に沈むだけ。
じいちゃんみたいに。
「し、死ぬぞ……?」
「──ハハッ、夢を目指していればそんな事もあるさ」
頭が良くて、人望があって、センセー方からの覚えも良い。
将来は約束されてるも同然だ。
高級品如きのために、そんな人生を捨て去る?
真っ直ぐに生きていくことの大切さ。
それを私に教えてくれたのはお前だ。
手を差し伸べてくれたのは、お前だけだった。
……私には、お前がわからない。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない