【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「アキ〜…………大丈夫ぅ?」
「……うん」
ミツキが夕飯を作って並べているところだというのに、男はソファーに座ってひたすら一点を見つめている。そのまま見つめ続ければ、やがて視線だけで床に穴が空くんじゃないかというような熱心な見つめ具合。
「…………よくわかんないけど、大変なんだね」
優しく、後ろから抱きしめた。
ミツキにとって、アキヒロが抱えている問題は正味なところよく分からない事だらけである。それでも、そういう男だということは昔から知っていた。無理に理解しようとしたらミツキの方がおかしくなってしまう。
「また、変なことに飛び込もうとしてるの……?」
「…………そんなことはない、はず」
「それなら……そんなに悩む必要ないよね?」
この男は、これと決めたことに対して基本的に躊躇が無い。悩んでいるということは、それだけ決断に労力を必要とすること。
それくらい、ミツキにはお見通しだった。
「いや、本当に……違うと思う」
「そうなの?」
変なこともあると顔を覗き込む。
彼の顔はどこまでもむつかしくて、表情からその真実を読み解くことは難しかった。正面から膝の上に座ると、彼の顔に両手をぐいいと押し付ける。
「
「…………」
「
頬を変形させ、次は眉を引っ張り、次は唇を。
「ふぅ……なんだよ」
「難しい顔してると、おでこに皺できちゃうんだよ?」
「……嫌なこと思い出させんなよ」
「あ! 出来てたんだ!」
「…………」
気まずそうに背けられた顔を再び両手で包むと、前を向き直させる。
「ねえ、あんまり辛いことばっかりじゃなくてさ。楽しいこともしようよ」
「楽しいこ──」
「ん……ふ……」
言葉は返さず、行動にて返す。
言っても分からない頑固ジジイだから、実践あるのみ。
ついでに、誰が一番なのかを刻み込むために。
「……っはぁ……んん……」
離れると、頭を抱え込むように抱きしめる。
胸の中で男はくぐもった声を漏らした。
「……もう少ししたら──」
「うるさい」
「っ……」
首筋に噛みつく。
流石に驚いたのか、身体が微妙に震えた。
してやったとほくそ笑み、力をさらに強める。
「…………」
「んぐ……!」
探索者である彼の皮膚を貫こうと思ったら最低でもモンスター用の武器を持ってこないといけないはずだが、彼女の犬歯は容易く薄皮を貫き、口の中に鉄臭い味が広がっていく。
苦味を伴う味を口中で感じるのとは裏腹に、心の中は踊っていた。牙を受け入れるほどに、彼は自分を信頼しているということなのだから。
「ぷはっ……すぐに跡を直したらダメだからね」
「はいはい」
回復能力が強化された彼らは、この程度の傷ならば半日も経たずに塞がる。だが、全力の肉体でなければしばらくは残る。少なくともヒナタやアリサが見つけるようなタイミングまでは。
「えへへ……」
優越感。
飼い犬すらいない2人きりの空間。
支配感。
ややアブノーマルなその感情に振り回され、ミツキはアキヒロの服を脱がしていく。アキヒロも特に抵抗なくそれを受け入れた。
鋭く彼女のことを見つめているのも、彼女の肉感を感じる部分を目で堪能しているのだ。
「ムキムキだぁ」
「まあ、鍛えてますから」
「…………へへへ」
彼の晒された上半身を触り、ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる。それだけに飽き足らず、ゆっくりと胸の中に倒れ込んだ。
「あったかい……」
「…………」
もたれてきた彼女の髪を優しく梳くと、そのままソファーに横になる。つられて彼女も、彼の上でうつ伏せをしている状態になった。
「はぁ……完璧……」
「んふっ」
「あの2人がいなきゃ、もっと完璧なのになあ」
「…………」
完璧って、と吹き出した途端にジト目で見上げる幼馴染の頬は、ややムクれていた。今の今まで上機嫌だったのに、どうしてこうも女の機嫌は移ろいやすいのかと瞑目するしかない。
「ねえ聞いてる?」
「聞いてるよ」
「……最近、ヒナタちゃんといつ会ったの?」
「昨日」
「ヘンタイ」
「どうしろと……」
しかし、こうなっては言い訳にすら浅ましさが混じっている。誰かを選ぶということを拒絶した男の言葉など、いかほどの価値があるか。
彼女は追撃を食らわせてやろうと口を開いた。
「…………アリサちゃんは?」
「明日、大学」
カタコトに返すばかり。
返答する際の気まずさと言ったら凄まじく、心を無にしながら答えているのが彼の内実だった。
「ヘンタイ」
「もう何言ってもヘンタイじゃねえか……」
「だってそうじゃん」
「…………」
「やーい、何か言い返してみろ〜」
「…………」
「あっ」
煽りすぎ厳禁。
冷えていく視線と、動き出す前腕の筋肉。
自然と流れる冷や汗は、危険信号が正確に肉体を流れていった証拠だ。しかし信号が流れたところで、自分が今いる場所を考えると──否、結局のところはそれすらも織り込み済みだ。
「ひゃっ」
「……」
「む、むごんこわいなーって……」
ミツキは体勢を一瞬にして入れ替えられた。ソファーに仰向けどころか、両腕を頭上で拘束されている。
「こわいなー……」
期待に弾む唇と、先ほどよりも湿り気の増した視線が向く先は、無言で見つめてくる彼の顔。
「あ、あの……」
高鳴る胸のままに声をかける。
何をされるか、期待で頭の中が捩れていくのを感じた。
──────
「うあ……っ」
僅かな水音と、追随するような声。
そして、雷鳴。
室内を占めるのはそればかりで、後は切なげに動かされる太ももが時折衣擦れを発する程度。
「ふ……はぁ……ぁ……」
いまだに拘束された両腕を動かすことは叶わない。
そして誰かさんの手で捲り上げられた布の下へと。水中に顔を沈めるように誰かさん自身が顔を近付け、その度に彼女の口から息とも声ともつかぬ音が漏れているのだ。
「──」
顔を上げた男の瞳に映ったのは、自分の下でバンザイをしている幼馴染。
ものすごくシンプルに説明すればそうなった。
──腕を動かして反抗することなど叶わず、臍から肩まで捲り上げられたアウター。大事な守りである
「アキぃ……」
それに興奮を覚えないわけがない。
三人の中で誰が一番か弱いのかと言えば、それは間違いなく彼女だ。強気な女でしか興奮できない男がいるというのは事実だが、彼はそんな狭い男ではなかった。
「うう…………離してよお……」
「……」
「チューしたいよお……」
こんなことを言われてしない男がいるだろうか。
幼馴染の腕を解放し、抱き起こした。
「んぁ……」
先ほどのそれよりも深く、激しく、貪るように。彼女が求めるものに応えるのは当然だった。
1分ではない。
2分でもない。
時間を数えるのは愚かだ。
何せ、夜は長いのだから。
「ん……んっ…………んはぁっ……」
先ほどまでは聞こえていたはずの雷鳴すら届かぬ空間。2人の耳は、もはや音から世界を感じ取るために存在するのでは無い。相手の息遣いを感じて、茹で上がりそうな頭をさらに蕩けさせていく為だけに音を感じ取る器官と成り下がっていた。
「──ミツキ」
彼女の服を脱がしていく。先ほど彼女が彼にした時もそうだったように、お互いに拒否権などなかった。
2人ともが上に何も着ていない状態で、お互いの肉体を確かめるように一度抱きしめる。
硬と柔。
正反対で相容れないのは言葉だけ。それが現実に存在する肉体であればこそ、触れ合った二つはしっかりと密着し、存在を確かめさせる証だった。
「…………」
「…………」
稲光が照らし出したのは一つの影。
だが、まだ完全ではない。
完全に一つになるにはもう少し時間が必要だった。
「えへへ……こう、だったよね」
男の上に跨った女は、先ほどのお返しとして鎖骨から舌を這わせていく。相手の様子を伺いながら、良いところを探しながら、味わう。
目は相手の
耳は息を。
鼻は匂いを。
舌は味を。
指先で熱を。
しかし、やはり最も味わうにふさわしいのは──
「ん〜」
舌先で肌を舐め擦り、やがて布と肉の境目まで降りてきた。舌は離すが、視線はさらに下へ。
「……」
既に固さを感じるそれはまだ開け放たれていない。
そして、もうお互いに上は十分に味わった。
「…………」
初めてではないにも関わらず震える手。
昂った感情そのままに。
これはセーフです
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない