【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
最近激動激動激動で、なかなか顔を出すことができなかったので寂しがってるだろうと思い、帰省などしてみるものとする。かつてはボロ屋だった我が家が今では俺の援助により立派な一軒家に。
俺って実は貧しい幼少期を過ごしたのよね。
「ただいま」
「おかえり、今日は2人とも出かけてるよ」
久しぶりだから何か変わっているかと思ったけど、そんなことはない。流石に加賀美家の大黒柱の不幸力をもってしても数ヶ月では──ということらしい。
「ボクは別に何か起こそうと思って生きているわけじゃないんだけどな」
「そういうセリフを言うには色々起こしすぎたからな」
「ボクは起こしてないよ。ただ運が悪かっただけのことだ」
だけさ、と言いながらソファーでのんびりしているあたり、おでかけについていくことは拒否されたのだろう。前は家族で出かけることもあったけど、まあアクシデントの起こること起こること。
「そんなこと言ったらアキヒロだって同じようなものだろう? 聞いたよ、記憶喪失になったって」
「言うほど深刻な事態じゃないけどな」
「どんな感じなんだい? 記憶がスッポリ抜けてるとか、大事なものをなくした気がするみたいなのはあるのか?」
「そもそも覚えてないから失くした気なんてしない。強いて言うなら、寝て起きたら会議終わってたみたいな感じ」
あの時は結構焦った。
「それは焦る」
「周りにいた奴らがどうにかしたっぽいから、そのことはもう気にしてないけどな」
それはそれとして、いくら早苗ちゃんと日向が大丈夫と言ったところで無理してる可能性もあるのであまり信じられない。
「最近はなんかやらかした?」
「やらかしてなんかないさ。ただ街路樹が倒れて端末が巻き込まれたのと寝てたらベッドが砕け散ったこと、あとは……アカネが反抗期なことぐらいかな」
「今?」
受験がもう直ぐ始まるであろうこの時期に?
「遊びに行くって聞いたからどんな子なのか聞いてみたら、うるさいって……それでアケミに聞いたら彼氏ができたんだって」
「──彼氏ができた!? そんな話聞いてないぞ!」
「そりゃあ家にいない人にはわざわざ教えないでしょ」
「ショックだ」
「アキヒロだって彼女いるんだろ? 年頃なんだからいてもおかしくないさ。……そもそもアキヒロは男前なのに、これまで全然彼女作らなかったよね」
「まあ……」
「ミツキちゃん?」
「……ミツキとアリサとヒナタ」
「!? ──うわっ、ちゃっ」
思いっきり立ちあがろうとしたのか、椅子ごとぶっ倒れた。
「あいててて……えっと……もしかして僕の耳がおかしくなったのかな。今、ミツキちゃんとアリサさんとヒナタさんって言ったかい?」
「言った」
「……驚いたよ。久しぶりにこんなに驚いた」
「そりゃあよかった」
父さんは本当に何事にも動じないからな。
あんな椅子ごとひっくり返るなんてのは初めて見た。
「あのお守りにはもしかしたら恋愛成就の意味があったのかな」
「なんだっけ」
「何ってほら、あげたじゃないか。お守り」
「……」
「まさか失くしたのかい?」
「いや、リュックの中にあった気はする」
漁ると、やはり出てきた。
黒ずんだお守りが。
「…………黒っ」
「汚いね。結構乱暴に扱った?」
「探索者だから少しくらい乱暴に扱っててもおかしくはないけど。そこまで露骨な扱いはしてなかった気がする」
「ふーん……」
ヒョイと持ち上げる。
「汚れ……とはちょっと違うのかな。染み込んでるね」
「汚れが染み込んでるんだろ」
「触っても手につかないけど」
まあなんでもいいか。
泥まみれどころかウンコまみれになる事だってあるんだから、お守りの一つや二つ汚れててもおかしくない。
「どうする? これ」
「まあ一応持っとくよ」
どうせお焚き上げも無いしな。
……ん?
──────
「(──え? これを燃やして欲しい? どういう事?)」
「ほら、イルファーレだっけ。あの神様の炎って神聖なものなんだろ? これが仮にお守りとして本物なら綺麗になるかなって」
「(何言ってんの?)」
相変わらず言ってることはよくわからんけど、向こうはわかってるらしいので問題ない。
「加賀美さん、どういうことですか?」
「昔はお焚き上げっつうのを神社でやっててな。一年祀っていたお守りやら破魔矢やらにたまった穢れを、年の初めに燃やして祓ってたんだよ」
「へえ〜……それってコマちゃんと出会ったっていう神社でもやってたんですか?」
「ああ、そういえばどうなんだろう」
「どうなんだっていうのは?」
「俺も生まれてから見たことないから」
「……ガッコーで習ったんですか?」
「そんな感じだな」
「でも、それがなんでハシュアーと繋がるんです?」
「土地神だろうが獅子神だろうが、実際に顕現している神の炎なんて本当に浄化の力を持っててもおかしくねえなって思って。里でもそういう炎があったからな」
俺のことを燃やしかけた炎がなあ!
「…………この黒」
「そうなんだよ、全然落ちなくてさあ。一応ゴシゴシ洗ったんだけどまっったく意味ない」
せめて漂白剤があれば無理やり白くできたとは思うけど、渾身(人間基準で)の力で擦っても傷つくだけだったのでやめた。
「……シエルちゃんはどう思う?」
「…………そのカミサマが本物なら意味はある」
「(ほ、本物だよ! 失礼だな!)」
しかし、それはそれとしてあの炎を起こすことはできないそうだ。なんで?
「(当たり前だろ! あれはイルファーレ様の力だぞ! 俺みたいなただの人間が使えるわけないじゃん! アルス様ならともかく……俺には無理だよ)」
ハシュアーが未熟ということだろうか。
「(……ムカつくけどそうだよ!)」
「えー……じゃあやっぱりロイス達ならどうにかできるかな」
「ロイスって秋川とかいう人?」
「そうだけど、よく覚えてたな」
シエルにしては珍しく、顔を合わせたことすらない他人の名前を覚えていた。
「コマちゃん人形もある程度数揃ってきたし、ちょうどいいか」
「コマちゃん人形?」
いるんですよ世の中には。
境内で見つけたからって、人様の飼ってる犬を神格化して拝むような変態たちが。
「(マジかよ……とんでもない奴らがいるんだな、犬を神様として扱うなんて……やっぱりドワーフとは全然考え方とかが違うんだ。そこらへんの犬を神様っつって崇めるみたいなもんだろ? 確かにコマちゃんって頭いいし俺よりは強いんだろうけど……なんかなあ)」
「うーん……」
「…………すごく納得いかない」
珍しくハシュアー、三船くんとシエルで意見が2つに割れた。
「まあ秋川のところのは神主も氏子も良い人たちだから、そんな身構えなくても良いぞ。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの逆で、神様に関することならなんでも大好きになっちゃうんだよ」
俺のことも割と大好きだしな、あの一族。
「(その感覚はちょっとわかるかも)」
「……あの、それよりもコマちゃん人形っていうのはなんですか?」
「…………エサ?」
「エサ?」
「とりあえずこれ渡しておけば気が済む的な……」
「???」
そうとしか言いようがない。渡しても渡しても、時間が経つと効果が切れたとか言ってまたねだってくるんだよ。
ヤバい薬でも無意識に入れたかと思って材料を見直した事があるけど、関係なかったからな。
「ヤバいのはコマちゃんでしょ」
「人んちの飼い犬になんて事言うんだ!」
「だってヤバいじゃん」
ヤバいってなんだよ。
「色々」
まさか、またウンコを家の中で撒き散らすようになったのか……?
ちっちゃい頃は本当にどこでもシッコもうんこもしていた。喋れるようになってから聞いてみたら、僕は犬だから人間の常識とか知らないよとか言い訳してたけど、あのIQで分からないわけないから。
「せっかく父さんからもらったお守りだからな。どうせなら綺麗にしたいし……意味があるかは実際にやってみなきゃわかんねえところもあるからな! ついでにロイスと会ってくるわ」
「(俺も行く!)」
この元気な手の挙げ方からして、ついてくる気のようだけど、探索業の方はどうなんだ。あっちもやってこっちもやっては厳しいぞ。
「(俺は俺なりにちゃんとやってるから大丈夫! 最近は先生から褒められることも増えてきたし! ヒナミにも色々教わったりしてるんだ!)」
ヒナミって確かディーンのところのメンバーだったな。
「(デカい盾の使い方を教えてもらってんだ! へへっ!)」
「──あんまりディーンに迷惑かけんなよ?」
「(大丈夫! 何かあったら全部カガミさんに請求するって言ってたから!)」
「…………」
良いのか? それは。
……まあ良いか。
大したことしないだろ。
「あっ! 僕も行きたいです」
「私も行く」
「ちゃんとお金は自分で出せます」
「許可は求めてないから、勝手についてく」
ええ……ハシュアーもそうだけど、俺が高校生の時の知り合いと会うのに着いてきてなんの意味があるんだ?
「色々」
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない