【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「あの時はもう、本当に壊れちゃったのかと思ったよ」
「へー」
美味いな。
美味い。
誰かと一緒に作った晩飯がこの世で一番美味い。
特にこの……この……なんか、これ。
シチュー?
美味い。
「いきなりダンジョン探索部って……本当、お母さんカンカンだったんだよ」
「なんでミツキさんのお母さんが怒ってんの」
「そ! ……それは、別に、ほら……幼馴染だし」
「お母さんは違うでしょ」
「うっさい」
2人も普通に会話してるし。
なんだ、全然仲悪くないじゃん。
俺の勘違いだったんだな。
「大体、アキはいつもやることが突拍子も無いんだから」
「うん、そうだね」
これで焼肉が目の前にあったら文句なしだった。
「……なにニマニマしてんの」
「別にミツキさんを見てるわけじゃ無いでしょ。私の方だよ、ねー? ヒロさん」
「は?」
あれ……喧嘩はやめてほしいな。
「アキ、どうなの」
「どうって、どっちのことも見てたけど」
「ほんとお?」
「ここで嘘つく意味無いだろ」
「意味はあるでしょ」
「そうか……」
あるらしい。
俺にはよく分からないけど、ミツキが言うならそうなのかもしれない。
「ともかく2人とも、ちゃんとご飯食べ進めろよ。いつまでも話してたら冷めちゃうぞ」
「「はーい」」
夕飯を食べ終え、2人がのんびりしている間に皿洗い。
ソファーに座って端末をいじる2人を見ると、現代っ子だなあという感想が自然と湧いて来るというものだ。
たまに何かを見せあったりして笑ってる。
うん……この二人はなんというか、喧嘩するほど仲が良いを体現してるような仲なんだな。
でも俺の心臓が保たないから、仲が良い状態と悪い状態を行ったり来たりしないでほしい。
「──ふぅ」
一通りの家事を終わらせ、二人を帰すまでの束の前の時間。
闇夜に浮かぶ電気ナマズの群れを窓から見ていたら、両脇を埋めるようにふわりと香りが広がった。
「何見てんの?」
「ナマズ」
「ああ……アーチボルト、綺麗だね」
銀河の一部を切り取って、貼り付けたかのような光景。ノルウェーに旅行した時のことを思い出す。
だから時折、こうして夜空を眺めるのが好きだ。
女々しいと笑え。
大切な思い出なんだ。
「ヒロさん…………泣いてるんすか?」
「──いいや? 泣いてなんかいない」
過ぎ去った過去は戻らない。
俺は死人であり、今を生きる人間でもある。
不可思議な重ね合わせのもとに成り立っている。
そんな不完全な生物が、感傷に浸っていただけだ。
「二人とも、そろそろ帰りな」
「「ぶー!」」
二人が帰って再び、夜空を眺める。
渦巻く赤い雲は、今も天空のダンジョンで何者かが戦っていることを教えてくれる。
生じた紫色の稲光は、先端が破裂して花火となった。
少し遅れ、ドンという爆発音が届く。
「なあコマちゃん」
「ワン」
「俺達、どうなっちまうんだろうな」
「ワン」
「どんな未来が待ってんだかねえ……」
日本にいた時の俺にはこんな世界、想像すら出来なかった。
本の中の世界だってもう少し人間寄りというか……
この世界に生を受けて20年と少し、未だに知らないことだらけだ。
とはいえ、完全に同じ世界だったなら、流石にこういう生き方はしなかった
地面の下、空の上、月、海底、富士山だったモノ。
少し目を向けただけで、おれの見知った世界とは違う景色が広がっている。
そんな光景を見るたびに、ああ、俺は本当に異世界ってやつに来たんだな、と実感する。
正直、探索者として生きるのは楽しい。
直接的な命のやり取りは生きている実感ってやつを得られる。
それだけじゃない。
男なら、自分の手で怪物を倒すってのに憧れるもんだ。
まあ、実際の世界に反映されるとなかなか難しいところもあるけどな。
だけど…………あの花火を見ると、なんでこんな気持ちになるんだろう。
なんで月を見ると酒が飲みたくなるんだろう。
なんて
──俺は帰りたいのか?
「ワン」
「……そうか、そうだな」
最後まで戦い抜けばわかるはず、か。
やっぱりコマちゃんは1番大事なことがわかってる。
「へっ、へっ、へっ」
「ゲンキンな奴め」
ウィンナーをあげると、大喜びでかぶり付いた。
「よしよし」
「ガルルル……」
取らないのに……
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない