【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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35_別腹

 それはロマン。

 あまねく標的を噛み砕く顎。

 鋭く生えそろい、鉄すら紙の如く切り裂く牙。

 強靭な脚。

 木を半ばから弾き飛ばすほどの尾。

 白亜紀に存在した最強の生命体。

 

 ティラノサウルスとはそういうものだ。

 

 鱗があるとか、ふさふさの羽毛があるとか、唇があるとか、カラフルだとか。

 さまざまな痕跡から一生懸命に復元を試みられた恐竜。

 あっちへ行ったりこっちへ行ったり。

 意見が左右されるのは、人気の証拠だ。

 

 モササウルスの方が強いんじゃないかとか、走るのが遅いんじゃないかとか。

 そうじゃない。

 大事なのは、体長十数メートルの巨大な肉食生物が、確かにこの地上世界に存在したということだ。

 

 残すのは化石のみ。

 数千万年間。

 地下に閉じ込められ、皮は剥げ、肉はこそげ落ち、残ったのは骨のみ。

 

 それでも。

 骨のみですら。

 男の胸の奥に宿る何かを燃え上がらせる。

 あの形に、大きさに、男児は何かを感じずにはいられない。

 遥か太古の昔から俺たちの目の前にやってきたというだけで、諸手を挙げて抱きしめたいくらいだ。

 

 少なくとも俺は、それくらい化石が大好きだ。

 件のリヴァイアサンだって、出来ることならば生で見てみたい。

 だけど、この世界で掘り起こされた化石は大半が無くなった。

 それは、とある神の奇跡。

 魔素が染み込んで致命的なことになる前に資源に変換したらしい。

 

 余計なことしやがって。マジで俺がお前の目の前にいたらケツにゴキブリ突っ込んでぶっ殺してやっかんなマジで。生まれて100年ぽっちの神如きが数100万年かけて繁栄してきた人間様の事情に首突っ込んで解決した気になって鼻の穴膨らませて良い気になりやがってよ。

 覚えとけよゴミが。

 

 そんなわけで、化石はそれはもう貴重という言葉では言い表せないくらい貴重だ。

 これは流石の牛肉さんも怯えて逃げ出すレベル。

 俺の目標は焼肉だけど別ベクトルの欲求として、化石を久しぶりに見てみたい欲があった。

 飾って、思いを馳せながら酒を飲みたい。

 

「はい、化石」

 

「!!!!??」

 

 何が? 

 いやマジで何が? 

 四門家にお呼ばれしたかと思えば、ソファで目隠しをした状態で待たされた。

 またぞろ、なにか企んでやがるなと思って大人しく待つこと10分ほど。

 机の上に何かが置かれた気配がした。

 そんで合図を待って目隠しを外したら、化石があった。

 

 ……何が? 

 何で? 

 どうして今? 

 何の意味が? 

 

 これまでも焼肉やら神様との謁見やらと、突拍子も無いプレゼントを渡してこようとした事はあった。

 その度にイカれてるのかと思ったものだが、これは何だ。

 白い岩に囲まれ、骨格に染み込んだ成分によって艶々とした見た目。

 紛う事なく化石だ。

 だけど、なんで?

 

「……これは?」

 

 俺の質問には答えず、部屋の端っこでヒソヒソと話す母娘。

 来客は無視です、か。

 挙げ句、ミツキはニコニコしながらウィンクしてきやがって可愛いなこんちくしょうめ。

 

「ハァ……」

 

 しょうがねえな……しょうがねえから、俺がこの化石をじっくり見てやろう。

 うん、だってそこにあるものを放置するのは勿体ないからな。別に盗るわけじゃないし。

 古き良きMOTTAINAI。

 俺が見たいとか、別にそういう訳じゃないよ? 

 ただ、勿体ないからね? 

 っかー! 仕方ねえなぁ! 

 別に見たい訳じゃねえけど、お茶請けがわりに見てやるか! 

 っかー!! 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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