【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「ほほう、ここが目的地か! 中々の場所だな! 少なくとも、あのいつまでも光景の変わらぬ36セクターに比べたら面白そうだ!」
「何だこの石像? あっちにもあんぞ」
「ふん……なるほど、変な縁を持っているらしいな…………ウルフ、喜べ。お前の目は正しかった」
目的の駅に辿り着いた三人の反応はそれぞれに分かれたが、アオキだけはこの街について知っているようだった。
「以前に一度、訪れたことがある」
「それなら、俺の最終目的地もわかりますか?」
「────まさか?!」
良いなあこの人。
好きだ。
「なんだアオキ、彼の言っている意味がわかるのか?」
「教えろよ私たちにも」
「独り占めは良くないぞ」
「そうだぞー」
街を歩けば、至る所に石像が置いてある。それはすなわちランドマークであり、人気者であり、この街がどんな場所かを示すものでもある。
「何つーか独特の雰囲気だな、あの石像のせいか? そもそもアレはなんなんだ? 犬っころか?」
「そうですね」
「犬がそんなに大好きなのか……あんなもんたくさん置くんだから支部でも関わってんだろ?」
「いえ、違います」
「ああん? じゃあ企業連中か」
「いいえ、違います」
「んだこいつ……さっさと教えろや!」
イライラでワロタ。
「ここは霊領なんですよ、あれはその守り神の使いです」
道ゆく人は神の持ち物で、この街は神の手の内で、コレから向かうのはその心臓部だ。
「んだと!? ……おいアオキ! てめえ知ってやがったな!」
「勿論だ」
「何で教えねえんだよ!」
「どうせ分かることだ」
「分かるかこんなん!」
「いいや……俺の予想が間違っていなければ、コイツが俺たちを連れて行こうとしているのは……」
「……」
しかし、大人しくなった2人に変わって今度はもう1人が騒ぎ出した。
「素晴らしいじゃないか! 神の領域に住まう人々……何とも興味深い! そうか、このような地もあったのだな! 着いてきて正解だった! それで……」
大きく首を回すと、眼前にまで詰め寄ってきた。
「神はどこだ?」
「知りませんよそんなの」
「ほう、つまりキミは見たことがないのだな?」
「無いですね」
「いい機会じゃないか! この私がきたのだから、共にその姿を目に収めよう!」
「嫌です」
神を見たものは狂気に呑まれるという。俺はそんな風にはなりたくないので、正式にお断りさせていただくぞ。
「というか、そんな簡単に見れるもんじゃないでしょ」
ホイホイ見れるようなもんなら俺が前回来たときには既に見ているはずだ。
「ええい! 御託はいい! 案内しろ!」
「はいはい……つっても腹減ってきた気がするな。先に飯済ませるか」
「おお! 良き店を知っているのか!」
「店? ……ああ、まあそうですかね」
店といえば店なのかもしれない。
まだ昼には少し早いからちょうどいい。
──────
とある橋。
下を流れる川に向けて垂らされた糸をツンツンと突くのは小魚。とても腹を満たせそうにはないが、新たな生き餌として使う分には問題なさそうなので吊り上げた。
「よしっ」
再び釣竿を垂らす。
昔はたまのたまに嗜む程度だった釣りも、こうしてサバイバル的生活を繰り返すようになるとお手のものになる。リールや上等な竿なんぞなくても人はやれるのだ。
習うより慣れろ、手の感覚が全てを教えてくれる。
こうして時間を過ごすだけで──
「──なぜ私たちは釣りをしているのだ?」
「昼飯にするためですけど」
「何故だ!?」
「金がないからですけど」
「…………まさか貧乏なのか!」
「そうですよ?」
「それなら私たちに言えばいいだろう! 勝手に着いてきておいて少年1人に昼飯すら奢らないような無礼者だとでも思っていたのか!」
「そうですし、そもそも初対面の人間にご飯はたかりません」
「…………なんと杓子定規な!」
杓子定規というか……普通に考えて、出会って1日2日の大人にご飯を食べさせてくれと言う人間がいるわけないと思うんですよ。
「それにしたって釣りとは……先ほどから見られているぞ」
「え……人に見られるの気にするタイプなんですか? 嘘でしょ?」
「私ではない! キミが気にならないのかということだ!」
「一人称、俺と私どっちなんですか?」
「そこか!? 今、気にするべきところは本当にそこなのか!? そもそも一人称は相手によって決めるべきもので、絶対にコレと決めているのは幼い証だぞ!」
「おお〜……あ、かかった」
「聞いてない!? というかさっきから私の竿には全くかからないぞ! なんだこれは!」
昼飯だ!
「るるるるる…………っしゃあ!」
中型の川魚が釣れた。キモい脚を落とし、脳幹を潰して締め、目的地へ向かう。流石に街中で焼くのはヤバすぎるからな。いやー、工場汚染も下水汚染もないから川が綺麗なのよ。さすがに直ウンコされてたらあれだけど、少ないながら川辺をゆっくりと這うスライムがそこら辺は食っているのだろう。
「行くのか」
「ええ、食材は手に入ったので敷地内でやります──あ、その枝はポイ捨てで」
「敷地内で勝手にやってもいいのか?」
「そりゃ話はしますよ」
「…………なんだこの違和感は」
魚を竿(枝)に吊るして歩いていく。
三人も黙ってついてくるので気分は桃太郎だ。
嘘、桃太郎なわけない。
良いとこ来客案内中。
気分良くないけど、悪さをしそうな雰囲気もない。大人しく引き連れて歩くこと暫し──すれ違う人に見られていたのは完全に重武装したアオキのせいだが、到着した。
家前ではなく、階段下。
ここを上ることでやっと目的地だ。
「ふむ……競走だな」
「今回は私が勝つ!」
「流石に今回も譲ってやれないな」
一息つくなんてことはせず、三人が石段の前に横一列を作った。何をしようとしているかは明らかで、降りてくる参拝客も困惑している。
「すいませーん! 今から探索者が駆け抜けようとしてるので、早めに降りるか横に避けることをおすすめしまーす!」
『うわっ! 逃げろ!』
蜘蛛の子を散らすようにしていなくなる人。開けた直線を前にして、三人はもはや意気の充填が限界を越えようとしている。
「ふしゅうううう……」
冬でもないのに人間の口からあんなふうに湯気が漏れるなんて、心臓がBPM500くらい叩き出しているのだろうか。
「よーい、どん」
「!」
適当に合図を出したら、手を叩くのとほぼ同時に飛び出していった。神経系の強化、知覚能力の強化、身体能力の強化。やっぱり探索者って化け物だな。
「はっええなあ……」
それでも、コウキさんに比べると一段劣るというのは何となく感じた。
──────
「ふう……階段登らなきゃ辿り着けない家ってのも中々、大変だな」
歳をとったときに遊びに来られなくなることを考えると、もう少し低地に作るかロープウェイをせつちしてほしいところだけど……今はいいか。
「三人は……いた」
『ふはははは! 見たことがない形式の建物だ! 神を直接祀っているのか!』
世にも珍しい神社に齧り付いて観察しているのを、2人は温かく見守っていた。参拝客や和装の職員が困惑しているけど、その言葉に攻撃的な色がないためか排除しようとはなっていない。
「うーん……勝手に入っていいもんかな」
数度入った建物だけど、やはり脚を踏み入れるのは憚られる。何せ神の本拠地とは本質的に俺の敵の本拠地だ。アルミホイルを巻いてないと、思考盗聴されて敵意感知からの→頭電子レンジかもしれん。
コレばっかりは年の功などと言っていられない。なにせ神様だ。形而上の存在に対してたかが人間の数十年など意味を成さないだろう。つまり俺のこの考えも……!?
「明宏くーん!」
「──ロイス!」
ひしっと!
飛び込んできたロイスを抱きしめた。
秋川ロイス。
神職を務める秋川家の御曹司で、数ヶ月前に知り合ったばかりだ。なんやかんやあって結果的に助けたっぽくて──いまだによくわかってない──なんやかんやあって懐かれた。
顔が良くて慕ってくれる子供が可愛くないわけがないので俺も好きという好循環だ。
一つしか年が違わないけど、まだロイスの身長は俺の肩くらいだ。きっとコレからが本格成長期なんだな。
「待ってたよ!」
「ちゃっとおっきくなったか!」
「はい!」
「…………ロイス、早速なんだけどコレを……」
「え……何コレお土産? ……魚……嬉しいけど何コレ」
「いや、俺の昼飯。焼いていい?」
「どうゆうこと?」
「川で釣ってきた。今日の昼飯」
「ますますどーゆーこと!? 昼ごはん準備してあるよ!」
「マジで?」
いつ到着するか教えてないのに何で準備してあんの? お金持ちだから?
「そこはほら……神様パワーです!」
恐れ知らずな奴らだな……
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない