【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「うう……」
今、私がこうしている間にもアキがモンスターに食べられているかもしれない。
泣き叫んで、助けを求めているかもしれない。
でも、私には何もできない。それが悔しい。
心を落ち着かせようとソファーでクッションを抱いていたけど、結局立ち上がって、キッチンで冷蔵庫の中を見たりお皿を見たり。
「あああ……大丈夫かなぁ……」
「ミツキちゃんは心配性よねえ」
「だってえ……」
そんな事をしていたら、アキのお母さんがやってきた。
アキの部屋だし、いつもの事だ。
いつも、こうして不安になっている私はおかしいのかな。
「ほら、座りなさい」
ダイニングのテーブルに向かい合って座る。
「大丈夫よ、あの子はおかしいから」
「おかしいからって……」
アキのご両親は放任主義というか、アキに干渉しない。
私の親とは真逆だ。
あの変人っぷりも、こんなご両親だから成り立っているのかな。
でも、親からおかしいと言われる息子って……
「探索者の適性があるなんて、おかしい以外の何者でもでしょ」
「ま、まあそうかもだけど……」
「あの子も、真面目にしてれば優秀なのにねえ」
「それは本当にそう」
アキは国立の大学に通っている。
学費が安いからだそうだけど──このご時世、大学に通うのは高い学力が無いと無理だ。
そんな大学に通って何をしたいのかと思えば……牛肉を安く仕入れる方法だとか、牛を安く飼う方法だとか、ダンジョンの生き物の生態だとか、そんなことばかり図書館で調べている。
……あ、一応私も同じ大学に入ったからね。
「牛肉を安く仕入れる方法なんて無いっつーの!」
「あはは……」
「自分の金で通っているから私たちも何も言わないけどね? 才能が勿体無いわあ」
アキが牛肉に執着しているのは昔からだ。
私と出会う前から、牛肉がご飯の献立に含まれていないことに文句を言っていたって。
そして何を見ても、楽しみこそすれど、そういう事もあるって驚きはしないんだとか。
……頭のネジが数本は外れてる。
「ネジ? 全部外れてるでしょ」
実のお母さんから、この言われよう。
「でも、あれよね。あの子は手がかからないわね」
「茜ちゃんは元気だもんね」
「兄妹であそこまで違うのも珍しい……わよね?」
「うん」
何を言われずとも家事を手伝うし、妹の癇癪に付き合うし、勉強だって当然のように毎日やる。
そして、ダンジョンにも潜る。
「茜ちゃんが普通なんだと思う」
「そうよねえ」
肘をついて、外を見るアキのお母さん。
私のマンションが見えている。
「こんな良い子を放ってダンジョンにとか……クズね、クズ」
「そ、そんな、クズとか言わないであげて……」
「はぁ……ダメだこりゃ」
「なにが?」
「思春期の子供ってチョロいなって」
「……確かにそうかも?」
みんな、年齢が上がるにつれてアキの凄さに気付いた。
小学校でもモテて、中学校でもモテて、高校でもモテた。
でも、本人はずっと牛肉のことを見ていた。
そういうのはもう満足してるんだって。
満足って何?
「そうね……あの子、そういうのに興味あるのかしら」
幼馴染の母親と話すことじゃ無いのかもしれないけど、本当に疑問ではあった。
「ミツキちゃんが可愛すぎて他の子が見えてないのかもね」
「…………」
何て返せば良いのか分からない。
アキが、私に対してそんな目を向けてきたことは一度も無いから。
少なくとも私はそう思う。
「そんな顔しないの」
「あ、うん……」
「あのね、ミツキちゃんがいるから明宏は人間のままなのよ」
「え?」
「きっと、ミツキちゃんがいなかったらモンスターになっちゃうわ」
「そうなのかな」
「そうよ。さて、掃除は……必要無いし、ご飯でも作りますかね」
「あ、私もやる」
「んふふ、ありがと」
私が楔。
そんな事、考えた事もなかった。
でも……そうだと嬉しいな。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない