【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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53_酔いどれは置いていく、この戦いにはついてこれない

 

 結局、あの二人は何を話したのだろうか。

 あるいは何をしたのだろうか。

 寝ずに2人のあとをこっそり尾けいればわかったのかな。

 

「……まぁ、余談の域は出ないよな」

 

 若干あれな話だけど、知識量や普段の頭の使い方から考えると今の状況を打開するようなことを2人きりで話すはずがない。そんな話題になるとも思えない。

 雑談、2人の生い立ちなんかを改めて話していたのかもしれない。

 

 そんなわけで、いい加減に体を起こす。

 昨晩おっさんの顔面に打ち込んだ右拳の皮が少しだけむけている。それ以外は何の問題もない。5体満足だ。

 ……結局、ソフィアはコマちゃんと一緒に寝たのか? もしかしてロイスと一緒に寝てたりして。もしそうであれば態度に出るはずだから、確認してやろうじゃないか。

 

「ソフィア、ロイス、朝だぞ」

 

 裸だったらマズイので、とりあえず1度だけノックをした。ソフィアの部屋からは反応がなかった。ロイスの部屋、ノックした次の瞬間から中で慌ただしく誰かが動く物音が聞こえてくる。

 待ってやろう、このまま。

 

「──アキヒロくん! お、おはよう!」

 

「おう、おはよう。ソフィアは中か?」

 

「ひょっ……い、いや、全然!? 知らないが!? 何言ってるか全然わからんが!?」

 

「時間稼ぎしてる間に窓から出てどうにかするつもりか?」

 

「こきっ……ち、ちげえし! 俺の部屋にソフィアがいるとか、そんなわけ……」

 

「じゃあ部屋の中に入れてくれよ。コマちゃんが見たいから」

 

 顔がギリギリ出る程度の開き具合の扉に手をかけた。

 

「!」

 

「おう、その手を離さんかい」

 

「うぎぎぎ…………つ、つよすぎー!」

 

 俺と力で戦おうなんて無茶だ。

 

「はい、無駄ー」

 

「あー!」

 

 扉を開け放つとケツがあった。

 視界内をより正確に表現すると、ソフィアが窓が抜け出ようとしてケツがつっかえていた、ということだ。ロイスもソフィアも変な服装の乱れは見られず、ベッドにも妙な痕跡はない。

 

「ああ、ちゃんと服は着てたか。それは安心だ」

 

「ち、ち、ちちちち……」

 

「乳がなんだよ」

 

「違うんです!」

 

「ソフィア、お前はまずその状態から脱してくれ」

 

「引っ掛かっちゃって抜けないんです!」

 

 朝っぱらから何をしてるんだこいつは……

 

「ロイス、ちゃんと足持ったかー」

 

「はーい」

 

 屋根上に立ってソフィアの肩を押し込んだ。

 窓から出ようにも、その窓をケツが占領しているのでわざわざ自分の部屋の窓から外に出た。まさか数時間のうちに2回もこんな出方をすることになるなんてな。

 

「いたたた! こ、腰骨が!」

 

「ちょっ! ソフィア、今は冷気を抑えてくれ!」

 

「いたいからむりです!」

 

「身体斜めにしろ! 斜め! 対角線ならもうちょい幅広いだろ!」

 

 なぜ俺は朝からこんなドタバタと……とりあえずソフィアの救出は完了したけど、おかげでちょっとした騒ぎになってしまった。

 

「窓から出ようとしてケツが挟まった女の子を救出するために屋根の上を歩いてた? キミは何を言ってるの?」

 

「そんな変なこと言ってないと思うんですけど」

 

「うーん……まぁ子供だから……子供だからで済むのかなぁ……まぁいいよね。悪い事してたわけでもないし」

 

 なんでわざわざ俺が聞き取りを受けなきゃいけないんだよ。やってきた職員も、しょうもない案件つかまされてうんざりしてたぞ。

 

「わ、私のお尻は大きくありません!」

 

「引っかかったのは事実だろ……」

 

「っ!」

 

「はいはい、わかりましたって……おおかた、部屋で話し込んでるうちに寝落ちしたとかそんなんだろ?」

 

「……はい」

 

「慌てないで話せばよかったのに」

 

 信用が足りてなくて辛いぜ。

 怒られるとでも思ったのか。

 

「いきなり来るからびっくりしたんだよ!」

 

「そりゃ悪かった。まさか寝落ちモチモチをしてたなんて思わなくてな」

 

「モチモ……なんだそれ」

 

「なんでも」

 

 朝飯を食べるって言ってんだろ! 俺に話しかけんじゃねえ! 

 

「言ってないよ!」

 

「今日はやることが多いから、早く済ませるぞ」

 

「…………ソフィア、コマちゃん、いこっか」

 

 安宿で飯にありつけると思うな。

 朝から屋台めぐりだ。

 

「ソフィアはここら辺の屋台とか知ってるの?」

 

「前はそこまでだったんだけど、アキヒロさんに拾われてからは行く機会が多いです」

 

「えー、おいしいの教えてよ」

 

「……そしたら、あのお店とかよかったかも」

 

 ウロコダキの柔らかいウロコに粉をつけてカラッと揚げたおつまみのような一品だ。確かに塩気が効いててうまかった。

 

「おっちゃん! 2つください!」

 

「誰がおっちゃんだ」

 

 二人とも細いからもしかしたらこれだけで足りるのかもしれないけど、俺はどうせ金を出すならボリュームがあるもの食べたい。具体的には肉・魚のどちらか。

 

「もぐもぐもぐ……」

 

 パキパキと揚げ殻を噛み砕く音が聞こえた。中の柔らかい鱗は食感そのまま残ってるのが特徴で、ロイスも頷きながら口を動かしている。

 

「うまい!」

 

「ふふ、でしょ?」

 

「もっと食べられるな……あと2つ──」

 

「ロイスくん、どうせならもっと他のも食べない?」

 

「……そうだな!」

 

 二人が仲良く屋台を見て回っている間、俺はコマちゃんとベンチに座っていた。

 やはり二人と一緒に寝ていたようでルイスの部屋から出てきたかと思えば、俺の足元でくるくると回るので抱きしめて持ってきた。

 調理された様々な食材の匂いに興味深々だったけど、金欠なんだ俺は。いくつかは可愛いもの好きの屋台の店主がくれたけど、全部の店を食べさせてあげるわけにもいかない。

 シンプルに肉巻きの串焼きを買って、それを分けた。

 

「はぐっ、はぐっ、はぐっ」

 

「そんな勢い良く食べなくてもお肉はなくならないぞ」

 

「はぐっ、はぐっ」

 

「食い意地張ってるなぁ……家にいる時は、自分で食べる分はちゃんと自分で取れるようになるんだぞ。ついでに俺たちの分も……そうじゃなきゃ一家丸ごと餓死にだ」

 

 ウルフたちはまだ寝ていた。鍛錬が好きなアオキもネムネムなのは朝まで飲み明かしていたにから違いない。

 ……寝てる時も兜被ってたからな。部屋に入ってびっくりしたわ。

 

 

 ──────

 

 

「起こさなくて良いの?」

 

「いいの」

 

「でも、俺たちだけじゃ危ないんじゃ……」

 

「……ロイスくん!」

 

「はいっ!?」

 

「まずその考えを改めましょう」

 

「え、え……」

 

「俺たちがやろうとしてることは、危険の真ん中に向けて最高速で突っ込むっていうことなわけ。単純にソフィアの異能が暴走する可能性もあるし、もしかしたらダンジョンにも行かないといけないかもしれない。だろ?」

 

「うん」

 

 そこまでわかってるなら、細かく説明する必要もないだろう。いざって時にあの3人がいつでも助けてくれるなんて限らないんだから……俺たちはそれを前提に動かないといけないんだ。

 あの3人がいようがいまいが、俺とソフィアは嵐でもダンジョンでもどんな場所でも前のめりに行かないといけない。

 

 腰が引けてたんじゃ、モンスターに襲われて死ぬよりも先にソフィアが凍死するからな。

 

「…………え? 続きは? 続きはどこいったの? 続きの話は? 今ので終わり?」

 

「分かれよ」

 

「わかんないよ……だって、あの3人て勝手についてきたんでしょ? それで何もしないんだったら、何のためについてきたの?」

 

 お前もだが? 

 何故自分だけ棚に上げた? 

 この中で1番何もできないのが誰かって聞かれたらお前の名前がいの一番にあげられるレベルだぞ? 

 

「俺は……ほら、元はコマちゃんの為だから……」

 

 タメだから、じゃないんだよ。

 ちょいちょいズレてるんだよなロイスって……

 

「あ! 違うぞソフィア! ソフィアのことがどうでも良いなんて言ってないからな!」

 

「大丈夫」

 

 本当に言ってないからね、うん。

 

「じゃあじゃあ、今向かってるのってどんな場所なの?」

 

「知らん、俺も知りたいけど場所だけ教えられたから。でもアイテムを研究してる施設だって聞いたな」

 

 コウキさんの知り合いということは相当アレな感じなのかもしれない。今のところそんな雰囲気の場所は見当たらないけど、きっと近くに行けばわかるだろう。

 

「深山商会よりも凄いんでしょうか」

 

「どうだろな。研究所って言ってたから規模はあんま比較しない方がいいかも?」

 

「そもそも研究所がどういうところかあんまり分かってないんですけど……」

 

 俺もこの世界にきて研究所なんてものを一度も見たことがない。魔女チックなやつか、それともガチ工場か、研究者の顔が建物のモチーフになっているタイプのやつか、ワクワクしてる。

 

「……お? 臭いな」

 

「アキヒロくん、臭いよ!」

 

 俺が臭いみたいにいうのやめろや。

 

「確かに臭いです」

 

 だから俺が臭いみたいに言うなと。

 

「嗅いだことない匂いだ」

 

「アキヒロさん、これってなんの匂いですか?」

 

 何故か匂いしか気にしない二人は暗に、お前臭いぞと言っているのかもしれない。

 

「とりあえずコマちゃん、服の中にいような」

 

「きゅぅん」

 

 俺たちが匂いを感じ取る前から臭かったのか、服の中に潜り込んでいた。もぞもぞ動くので若干こそばゆい。

 置いてきた方がよかったかも……と思い始めたタイミングで到着した。

 

「こ、これって……」

 

 人々が集まり、不安そうに視線を同じ方向に向けていた。朝であるにもかかわらずこれほどの人が集まるのは第一セクターといえどなかなかないだろう。

 しかし、見ている側としてはこれくらい集まるのも仕方ないと思う。

 なにせ──

 

「火事だー!?」

 

 建物ごと燃えていた。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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