【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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42_ばーか!ばーかばーか!

 

「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」

 

「もちつけ」

 

 猫みたいに飛びかかって来た。

 そのまま受け止めたら、頭ごっつんこの可能性もあったぞ。

 流石にたんこぶが出来るのは忍びないので上体を反らしたら、結果的に押し倒される形になってしまった。

 息が荒いよ、アリサちゃん。

 それに目が怖い。

 

「だ、だめっす!」

 

「ダメなのか?」

 

「そ、そういうの、軽々しくやっちゃダメっす!」

 

「軽々しくないんだけど」

 

「……ば、ばーか! ばーかばーか! ばーか!」

 

 何故俺は倒された上、罵声を浴びせられているんだ……

 いやこれさぁ、ご褒美だよねぇ!? 

 

「んふーっ、ふーっ……ヒ、ヒロさんが、悪いんすからね……!」

 

「悪かったからそろそろ退いてくれるか?」

 

「……退かなかったら、どうするんすか」

 

「退いてくれないのか?」

 

「…………はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 ……目が怖いというか、おかしいぞ。

 熱あるのかってくらい潤んでる。

 視線も舐め回すようなソレだし。

 

「ヒ、ヒロさんが、ぜんぶわるいんだ……!」

 

 そう言って手が伸びたのは。

 俺の俺を隠しているズボン。

 ガッシと掴むと、躊躇なく下そうとした。

 流石に止める。

 せめぎ合う手。

 当然のように勝つ俺。

 

「アリサ、そんなことしちゃダメだ」

 

「やだっ!」

 

 腕を掴んでも、暴れる。

 ……明らかに普通じゃない。

 

「わ、私が一番乗りなんだ!」

 

 そのセリフはもっと然るべきタイミングで言って欲しかったな……

 ダンジョンの未踏破エリアとか。

 

「ミツキさんから聞いてるんだから! ま、まだドウテ──」

 

「コマ〜」

 

『────────―ォォォォォォン』

 

 夜を切り裂く。

 聞き覚えのある音。

 はるかな距離を乗り越えてやってきた、まさに遠吠え。

 

「っ!? …………あ……わ、私は何を……」

 

「やっぱちょっとおかしくなってたな」

 

 目つきが元に戻り、伸びていた犬歯が短くなっていく。

 まるでミツキのように紫に染まっていた髪が元の茶髪へ。

 自分の頬をペタペタと触ると、この状況を再認識したのか慌て出した。

 

「あ、あの、あの、ヒロさん、わたし、その、ちがくて……」

 

「わかってる」

 

「ヒロさんのおまじないが嬉しくて……お腹がギューッてなって……目の前が……真っ白になったんっす……」

 

「わかってるって」

 

「わ、私、あんな変態じゃ……!」

 

「分かってるから、説明すんな」

 

 いまだに倒れた俺に跨ったまま、アワアワと説明みたいな白状をするアリサを抱きしめた。

 いつもよりもおめかしをして、今日を楽しみに待ってくれていたのは十分に伝わってきてる。

 だから、こんなつまらないことで終わりたくない。

 

「うぅ……ごめん、なさいぃ……」

 

「アリサ」

 

「……はい」

 

「プレゼント開けよっか」

 

 アリサを立たせ、俺もプレゼントの箱を持って机の前に立つ。

 

「あ──だ、だめっす……! また、嬉しくなっちゃうから……!」

 

 その言葉を補強するように、尻尾がぐににーんと俺の方へと向かっていた。

 

「安心しろ、俺はお前より強い」

 

 無視して、包み紙を止めているテープを剥がし、紙も同時に丁寧に解いて中の箱を出した。

 アリサは直立しているだけだと落ち着かないのか、カーペットの上で重心をずらしたり腕をさすったりしている。

 青い箱に触れると、ビロードのような手触り。

 うん、高級感があるねぃ。

 

「な、なんか、すごく高そうなんすけど……」

 

「プレゼントだから、値段とかあんま気にすんな」

 

「…………」

 

 箱を開けると、一つの指輪。

 リング部分は、第二期以降にこの世界に現れた元素であるオリハルコン、そしてクロム、ニッケル、鉄、ガリウムの合金。

 流石に全部オリハルコンにすると予算がねえ。

 石の部分は、魔素が染み込んだアイオライト。

 魔素の影響で、内部に侵入した光が構造色の線となって出てくる事がある。

 形に関してはブリリアントカットとかなんとか、一番輝く研磨方法らしい。

 異能をこの中に溜めて放出することができる、と説明された。

 異能者ならば使い方が分かるらしい。

 

「アリサ、お前はいつも俺の探索業務を手伝ってくれるし、勉強も討伐の方もよく頑張ってる。異能を手に入れたって事でプレゼントしようと思ったんだが、いかんせん俺はセンスが無い。服とかを選ぼうにも俺だと的外れになりかねんからこういう形にしたんだ」

 

 それを渡す。

 両手で掬うように受け取ったアリサは、動かなくなってしまった。

 

「…………」

 

「実用的で悪いな。一応普段使いも出来ないことは無い、と、思う……んだが……まあ、基本的にはダンジョンで使うアイテムだな」

 

 正直リングの見た目に自信は無いけど……まぁ実用性高めだから、もし気に入らなくてもダンジョンでは使えるだろ。

 必ずしも指に嵌める必要無いし。

 

「……」

 

「金に困ったら売れる程度の値打ちモノではあるから、一応大事にして欲しいな。ダンジョンでぶっ壊れたらそこまでだけど」

 

「……」

 

「これからも一緒に仕事したいのは俺も同じだからな」

 

「…………」

 

「アリサ〜」

 

 動かねえやこの子。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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