【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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2_参加するよね?ありがとう返事は聞いてない

「あー……」

 

 冗談じゃない。

 俺はこういう状況が殊更に嫌いなわけじゃないけど、好き好んで巻き込まれたいかと言えば断じてNOを突きつけるぞ。

 こんな形で目立つのは望んでない。

 だけど、このままじゃ見られたままだ。どこか良い場所は──

 

「──そこ!」

 

 みなの視線を集める為、両人差し指を向けたのは控え室。

 

「ふう……」

 

 ノブを回して入ったら、人心地がついた。

 いや本当に……生きた心地じゃないね。

 まな板の上で包丁を待つ鯉の気分ってやつだ。

 あのままだと話が終わらない。

 

「……」

 

 視線を前に向ければ、ウルフ以外の全員──ミツキとアリサも含めて──がワクワクと見つめていた。ソフィア役の彼女も何故か部屋に入ってきている。

 

「アキ! かっこ良かったよ!」

 

「お、おう……」

 

 しかし、アレは脚色されているので俺そのものじゃない。それを見てかっこいいと言われても褒められた気分にならなかった。とはいえ、炊き出しの一件でやや減った沽券というやつを少しだけでも取り戻せたのかな? 

 ……でも、当時はミツキも含めてみんなからボロンチョに言われてた記憶があるぞ。

 

「ああいうのなら良いよね!」

 

「いや、俺は別にトラブルに突っ込みたいわけじゃないからね?」

 

 トラブルも探してない。

 ただ、人間の可能性を引き出しそうな場面を探しているだけだ。スパゲッティー巻き大会でも良いし、競馬でも良い。

 

「あの! 加賀美さん!」

 

「お?」

 

「こ、この後みんなでパーティーをやるんですけど……来てくれませんか!?」

 

「きょ、きょきょきょう!? 疲れてないの!?」

 

 昨日、海岸では、詩を作るのに丸一日かかる──とかなんとかウルフさんは言ってたけど、結局今日の朝から劇ってことで観にきたわけだし……

 

「あ、間違えました。明日です」

 

「そうなんだ……でも、ほら…………部外者が入るのはあんまり良くないんじゃない? 色々積もる話もあるだろうし……」

 

「そんな事ないです!」

 

「おおっ!?」

 

「加賀美さんがいなければ私たち団員同士が出会うこともなかったんです! だから、部外者だなんてことは絶対にないです!」

 

 熱い! 

 ソフィアの顔と雰囲気の筈だったのがとても熱い子に早替わりだ! 

 さっきまで完全にソフィアだと思って見入っていただけに違和感がすごいぞ。しかし、彼女が良いと言ったところで他の団員が良いと言わなきゃ……

 

「ムハハハ! 余計な心配はご無用! 最初からそのつもりで予約をしてあるのでな!」

 

「なんと!?」

 

「驚いたか?」

 

「狂気じゃないですか。俺が第一セクターに来るかどうかもわからないのに……」

 

「いいや?」

 

「え?」

 

「此度の大災害……必ずやキサマが来ると踏んでいたのさ!」

 

 ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー⁉︎

 

「あとは特徴のある場所に人員を配置しておけば勝手に釣れるというわけだ!」

 

「ば、馬鹿な……」

 

 それはつまり俺の行動が読み易いということだ。

 暗殺とかされやすそうで、とても嬉しくない。

 

「皆も最初は信じてくれなかったがな……」

 

 何故遠い目をするんですかね。

 遠い目をしたいのは俺なんですけどねえ。

 自分の行動パターン読まれてるの、凄ーく嫌だ。

 

「まあそういうわけだから、大人しく参加することだな! それに──お二人はすでに乗り気だぞ?」

 

「へ?」

 

 見れば、控え室の外で団員達と嬉しそうに話している。

 会話の内容を盗み聞きするに、確かにパーティーに出る前提の話。アリサが主に前へ出て、その後ろにミツキがくっついていた。俺役だった青年やロイス役の少年、フブキ役の少女──思い返すほど、俺だけキャラ変が妙に大袈裟だった。

 

「それはですね、団長が『ヤツはこれくらい大袈裟に変えないとすぐにバレる!』って言ったからです!」

 

「ええ……」

 

 ストーリーを変えれば良いのでは……

 

「何を言う!?」

 

「はえ?」

 

「アレほど見事に収められてしまえば……悔しいがその筋書きを改変などできよう筈もない。それに、元よりアレは人の目につかぬ紙面の裏で行われたことだ。流れそのものは変えようが変えまいが誰にも分からんよ」

 

「……劇団員の皆さんにバラしておいて言えた話じゃないのでは?」

 

「それは…………不可抗力だ」

 

「ええ……」

 

「彼らの没入度を高めるためには、実際にあったことだと説明するのが最も確実で必要なことだった。それを偽ってしまえば、適当に作られた三流の詩と同位になってしまう。それは許しがたかった……あの旅は決して、安いものではなかったのだから」

 

 しかし、もう広められてしまったものを抑え付けることは難しい。幸いなことに名前は変えてあったから観客達は気付かないので、せめて団員達には公言禁止を厳守してもらおう。

 ……幸いっつーか、当たり前だけどな?! そんなの配慮でもなんでもねえ! 

 

「さて、パーティーには来てくれるな?」

 

「はぁぁぁぁ……」

 

 これも不可抗力ってやつか。

 

「皆期待している。応えてくれよ?」

 

「あのなあ……まあ、いいか」

 

 いっぱい食わされたと思うしかないか……

 

 

 ──────

 

 

「ヒロさん! 明日着ていく服、ちゃんと決めましょうね!」

 

「ん?」

 

 宿に戻ってから何やら妙なことを言い出した。

『ちゃんと』というのは何だろうか。

 俺がまさか、パーティーにヘニャヘニャワームTシャツなど着ていくとでも思っているのだろうか。

 ドレスコードというほど上等なものではないにせよ、流石に普通の服を着ていくつもりだぜ? 

 

「どうしますミツキさん、新しい服買いにいきます?」

 

「うーん? まあ普通の服持ってけばいいんだから、あるやつでいいよ。ほら、これとこれ。出してあるやつまんまでさ」

 

「あ、確かに。無難だ」

 

「ねっ?」

 

 それは俺が着て行こうとしていた組み合わせだ。

 ベッドの上に置いてあるのは明日の準備だ。

 まるで自分の手柄かのように言うのはやめてもらおうか。

 

「あぁ〜! でも、すごかったな〜! ロイス君、すごく頑張ったんだね!」

 

「ね! 私はあんまり関わった事ないですけど、見る目変わっちゃうかも!」

 

 なんだろうね、この納得いかない感じ。

 俺も頑張ったなー。

 結構頑張ったなー。

 

「でも……ヒロさん、あのセリフほとんどそのまんまなんでしょ?」

 

「いや、あの気障ったらしい口調は全部脚色だよ……俺、あんな軟派じゃないし」

 

「内容は?」

 

「うーん……確かに、言われてみれば言ったような気も……」

 

 別におかしなことは言ってないと思う。

 ……言ってないよな? 

 そこら辺、世界が違うから微妙に身バレしやすいポイントになってるのかもしれない。

 でも、そんなこと気にしてたら話せないから無理だ。

 

「ヒロさん!」

 

「おっ」

 

「あれ、もうやっちゃダメですからね!」

 

 そんなことを言われなくても同じことはできない。

 綱渡りだったんだから。

 もしも岩穴に入っていなかったら。

 もしもルクレシアがいなかったら。

 もしもコマちゃんがいなかったら。

 もしも、もしも、もしも、もしももしももしももしも。

 全ての仮定をクリアできるだけの運があったからこそ、俺たちは1人も脱落することなくアレを乗り越えた。

 

 奇跡だ。

 

 そして奇跡とは、二度同じ状況で叶えられることがないからこそ奇跡なのだ。

 

「あんなこと、二度とやらねえよ」

 

「それ、日向ちゃんの前で言える?」

 

「何でヒナタ?」

 

「言える?」

 

「言えるけど……」

 

「ふーん……」

 

 なんだなんだ、よく分からないこと言いやがって。

 ヒナタが何だってんだい。

 ……あ。

 

「あれか? 俺が記憶喪失になった時の話か? そりゃあノーカンだろ」

 

「本当にそうかな〜?」

 

「かな〜?」

 

 二段構えやめろ。

 お前ら、それよくやるよな。

 

「……ヒナタちゃん、言ってたよ。すごく怖かったって」

 

「え」

 

 いつの間にそんな語らいを。

 

「アキ、良く留守にするから、部屋掃除する時に結構かち合っちゃうんだよね。それでなんだかんだ」

 

「へー」

 

 じゃあ、俺が思ってたのよりもずっと仲良い感じ? 

 

「って言っても、アリサちゃんとヒナタちゃんが揃うとアレなんだけどね」

 

「アレか……」

 

 机とか壊さなきゃ、あと怪我しなきゃ何でもいいよ。

 

「本題はそこじゃなくてね? ……アキは結局無茶しちゃうでしょ?」

 

「しません」

 

「はあ……自覚無し」

 

「いいか? 俺がやってることはつまり、やり遂げられる可能性があることなの。無理無茶無謀だけど、それでも! とかそういうことじゃないんだよ」

 

「ソフィアちゃんのことは?」

 

「アレは……まあ、指針が定まってなかったからな。多少は許して? そもそもやってなかったらソフィア死んでるし」

 

「うん、だからそういうことでしょ?」

 

「?」

 

「人が死にそうなら、頑張れるんでしょ?」

 

「うん、まあ人並みには」

 

 消防士だって、警察官だって、自衛隊だって、死ぬかもしれない場所に突っ込むのが仕事だ。それと同じことをモンスター相手にやってるに過ぎない。

 この世界にそういう職業がないからピンとこないだけだ。探索者は別な。

 

「諦めよっか」

 

「そうですね」

 

 諦められた。

 悲しい。

 

 

 ──────

 

 

「パーティーとは聞いたけど、しっかりパーティーだな」

 

 やって来たのは、破壊を免れた集会場。

 そもそも今がどういう状況かというと、リヴァイアサンの一撃で街が物理的にしっちゃかめっちゃか、治安もしっちゃかめっちゃかだ。

 楽しそうなことをしただけで誰かに後指を指されてもおかしくない。しかし、ウルフは探索者としての実力を持っている。こういう場所を押さえるだけの財力もあったということだ。

 

「ほえー……お金持ちパーティーって感じ?」

 

「ううん、これくらいは普通の人でも開けるレベルじゃないかな」

 

「ふーん」

 

 ミツキ(そいつ)の金銭感覚も大概狂ってるから当てにしないほうがいいぞ、アリサ。

 でも、大金持ちまではいかなくても開けるというのは嘘じゃない。年収を何回か飛ばせばいけるだろう。

 いけねえよ。

 

『こっちこっちー!』

 

 なんとも景気のいいことだ。

 手を振る団員達がそばに立つテーブルには牛肉が用意されている。

 

 ぎゅ! う! に! くっ! 

 

 分かるぞ……これは俺への当てつけだ! 

 野郎ぶっ殺してやる! 

 

「──加賀美さん! やっぱり来てくれたんですね!」

 

「うお……あ、ああ、うん、まあ皆さんが良いというならこちらも御相伴に預かるのはやぶさかではないので……」

 

 飛び出て来たのはソフィア役の彼女だ。

 表情

 ジェスチャー。

 全てが明るい。

 

「あはは! そんな硬い言い回し、聞いたことないですよ普通の人から!」

 

「いやあ、どうかな。社会に出たらみんな割とこんなもんだよ」

 

「えー? ほんとですか?」

 

 何だろう、むず痒いぞ。

 ここまで歓迎されるとまるで俺が主賓みたいだ。

 ただのゲストなのに。

 あと、ソフィアみたいな顔でソフィアが絶対言わないことを言われると違和感がすごい。

 

「ほらほら、まずは団長のお話聞いて、その後お願いしますよ〜」

 

 ドスドスと背中を押してくる。

 流石におかしい。

 

「き、君、昨日と何だかキャラが違くないか!?」

 

 いや、この顔は……この赤みは……この匂いは……

 

「もう呑んでたのか!?」

 

「ほひひっ」

 

 瞳の潤み方からしても間違いない、彼女は呑んでいる。

 興行が大成功に終わって良い気分になっていたからという理由くらいしか思いつかないぞ! 

 

『ははははは! さて、皆々様! この度は我が劇団の成功を祝してのパーティーにお集まりいただき、誠に恐縮でございます! と言っても、外部のものはいないがな! ははははは!』

 

 挨拶というか、ただ気持ちよくなっとるだけだなありゃあ。

 

「そして、今日呼んでいるのはそこにいるアキヒロたけではない!」

 

 まさかスポンサーとか呼んでねえだろうな……

 

「では入って来てくれ!」

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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