【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「ウオー!オニチャンカコイイネ!ドコカラキタノー!」
お前だ。
どこからきたんだよ。
北西部か?
「ソダヨー!」
「まさか方言――つーかエセ中国人みたいな奴がいるとは思わなかった」
「バカニシテル!?」
「してない。ただ……表の顔にするには癖強いなって」
フブキの店の店番を任されているのは、フブキとちょうも同い年くらいのだった。名前はチェンというらしい。この年まで生きてきて、彼女のような人種を久しぶりに見た。
猛烈に懐かしい。
この忙しない口調。
客に一歩も引かない感じ。
「フブキ!コイツツマミダセ!」
「なんで私が……自分でやってよ」
「ツギノキャクデイソガシ!モウキテル!……オイオッサン!サワルナ!」
中々どうして繁盛しているようだ。
店の名前は『雪白商会』。
モコモコした印象を受ける名前だ。
深山商会とは被ってないみたいな事を言ってたけど、商品の半分は日用品でもう半分が探索者向けというラインナップだった。
「おい!この眠り薬効かなかったぞ!金返せ!」
「ナカミヘッテナイ!アンタツカッテナイ!キンタマモギトルゾ!」
「あの〜、耳が痛いんですけど塗り薬もらえますか〜?」
「ソレチガウ!コレ!アト、ウシロニカクシタノダセ!」
探索者相手の仕事はどうしても女だと舐められがちなところ、チェンの強烈な人間性がそれを阻んでいる。
吹雪はお淑やかだからああいう色は出せない――相性は良さそうだな。
他の店員はまだいないらしい。
「まあこんな感じで、頑張ってます」
「そうみたいだな。ところであの子はどこで見つけてきたんだ?」
「え?……あの、言っておきますけどあげませんからね」
「………」
「あの!?……さっきの話の後にこれですか!?本当に見境なしですね!」
俺は運命は信じない。
ただ、数を打てばいずれ当たるという絶対的な理論に基づいて行動しているだけだ。
そして、繰り返せば当たった時の感覚がある程度分かるようになる。
いやあ、脳みそは高性能で助かるね。
「なあチェンさん」
「イマイソガシカラ!」
「忙しかあ」
「アトデネ!オニチャンカコイイカラトクベツダヨ!」
「おっ、そりゃあ助かる。フブキ、また後でな――ああ、俺の呼び方?も考えとけよ」
「はーい」
その間に別の目的を果たすことにした。
フブキの店の品揃えはもう分かったからいい。強いて言うなら、探索者相手と一般人相手を一緒にやっている店はなかなかないので、そこら辺が大変なんだろうなってところだ。
「さて……あっちか」
目的ってのは当然、リヴァイアサンのブレスの着弾部分を確認することだ。
そして、位置を特定するのはあまりにも容易だった。容易といってもまだ移動中だけど――街を出るまでは薙ぎ倒された家屋を辿って、街を出たら地面が抉れた場所を進めば良い。
そして、奥に行くほどにモンスターが現れる。
おかげで一度準備をしに戻らなきゃならなかった。
『ビギャア……』
弱々しく呻くスカーエイプ。
周囲の地面はズタズタに引き裂かれたが、今、俺がこいつの心臓を切り落としてやった。
あと30分も経てば完全に息の根が止まるだろう。だけど、この状態でも低級探索者や一般人を潰すだけの力はあるはずだ。
「予習しといてよかったぜチクショー……」
推奨討伐レベルは25付近。
本来の予定なら俺が今、肩慣らしでやるくらいのレベルのモンスターだ。幼体は身内で争いあって、生き残った個体だけが大人になる。だから、コイツらの体には必ず傷がある。戦闘経験も豊富だ。
3級に上がったばかりの探索者がレベルに頼った戦闘を行っていては負ける――という特徴だったけど、俺はレベルで圧殺できてしまう。
さっくりとクビを落として進んでいくと他の探索者もいた。流石は第一セクター。
「失礼しまーす……お?」
パーティーでモンスターとやり合っているところだったので少し遠回りで素通りしたら、今度は別のパーティーだ。みんな痕跡に辿り着こうとしているのかと思ったら、また現れた。
……なんだかおかしいな。
次に現れたパーティーは戦っていなかったので話を聞いてみた。
「リヴァイアサンのブレスの着弾地点はあっちの方にある。アレが落ちてからダンジョンになったんだよここ。おかげで街にモンスターがいかないようにてんてこ舞いだぜ」
「なるほど」
「中心近くはドラゴンなんかもいるってんで俺たちじゃ行けねえよありゃ」
「ありがとう」
「ん」
「?」
「ん!」
「……ほいよ」
金貨一枚で済むなら安いもんだぜ。
「きっ、きんっ……!?」
「じゃあな」
中心近くに進めばなるほど徐々に戦闘強度が上がっていったような気がした。
それでも、俺の防具や武器に勝るものではない。
殊更に障害にはならず、魔石を拾い集めながら進むと辿り着いた。
初めに見えたのは虹。
1km離れた位置からも輝きを視認することができた。
次は匂い。
とても良くない匂いが、濃く漂っている。
そして耳に入る声。
複数人が集まって話していた。
「――」
商工会の人間が探索者を護衛に観察を行っている。
足音で気付いた職員たちは振り向き、探索者も武器を構えた。
隠すことでもない。
ドッグタグを見せて探索者だと証明し、まずは彼らと同程度の距離をとって観察を行うことにした。
「これは……」
飛び散った黒。
柔らかい部分である肉や臓物は既に分解、あるいは食べられたのだろう。骨や一部の組織が残っている。
あり得ないことに、リヴァイアサンの一撃ですら消せないほど大量のそれらが飛び散っていた。
匂いの元はこれだ。
嗅ぎ慣れた匂い。
職員が距離をとりたがるのも分かる。
「――ちょ、ちょっと!危ないですよ!」
近付こうと足を踏み出した瞬間に声を掛けてきたのは、タイミングを見計らっていたということだろう。
しかしモンスターはいない。
危ないということがあるのか。
「探索者でもやめた方がいい!ここは高濃度の魔素に満ちてますから!」
「……ああ、長渕式」
「これ、そう呼んでる人初めて見たな!?」
木に隠れて見えなかったけど、魔素濃度測定器による計測を行っていたようだ。確かにリヴァイアサンの吐瀉物なんて魔素の塊だもんな。
「ま、まあとにかく!入るのはやめてください!」
「……悪いけど、自分の体のことは自分で確かめるのが一番だ」
「え……ま、待ってください!本当に――」
うるさいのを放って進むと確かに熱波のようなものを感じる。波打つ魔素が体細胞に影響を与えているのか、はたまたリヴァイアサンの圧倒的なエネルギーが熱として滞留しているのか。
「――ぐっ!」
中心に近付くと圧力すら。
探索者である俺の肉体を押し返すほどの何かが放たれている。
加えて目鼻耳からの出血。
既視感を覚えたが、こんな風になったコトは数えるほどしかない。
「霊領か……?」
リヴァイアサンは、神というにはあまりにも大味すぎる。しかしその強さという一点のみで神と呼ばれることもあるかもしれない。
そして、最強のモンスターであるならば霊領だって作レル可能性はある。
「永井先生……」
彼の資料を引き継いだのなら、これくらいは調査してみせろ――商工会。
『な、なんで睨まれてるんだ……血が出てるぞ!?』
強烈な魔素だ。
だが、同時に別の何かを感じる。
単純な発狂をもたらすものじゃないと分かるのは、俺がいつも霊領で噴血させられて脳味噌をかき混ぜられているからだ。
「ぐおお……!」
あの中心に光るものを手に入れなければ――そんな一心であり体を動かしたものの、実際のところ上手くはいかなかった。
「はぁ……はぁ……べっ!」
口に残った血を吐き出す。
振り返れば、俺が血反吐を撒き散らしていたところがよくわかる。新しい綺麗な赤が映えるからな。
「ごのぢょうじじゃ……んんっ!……辿り着けないっぽいな」
中心地に近づくほど視界がサイケデリックに歪み、圧力と痛みが押し寄せてきた。霊領ではそこまでならない。単純に激しい苦痛が襲うだけだ。
痛みの大きさで言えば霊領のほうが上だけど、こちらは肉体の自由が利かないのでヤバい。
リヴァイアサン、やはりやばい。
怖いのは、別の神様がいてそこの霊領に踏み込んでしまったパターン。
そうじゃなければなんでもいい。
「コマちゃんがいればなあ」
そんなこと言ったって、コマちゃんは三船くんやヒナタの護衛につけてるので動かせない。俺の安全のためにこっち来い!何てやったら残してきた意味がない。
今より先、ダンジョンでもこういう状況はいくらだって起こり得る。
その時に、一緒にいないコマちゃんをいちいち呼び寄せてたんじゃ話にならない。
「……」
考えるに、この血飛沫は中心に行こうとして行けなかった探索者たちの残骸なのだろうか。
そこら辺を少し聞いてみた。
「う……僕がきた時には既にこうなってましたけど……うぷ……」
職員は、これほど血みどろな場所に来ることはそこまで頻繁ではないようだ。まあ、ネルさんやナナオさんからもわかる通りただの事務員みたいなのが殆どだからな。
彼女たちが戦いに慣れてますなんて言われてもちょっと困るというか、女は家を守ってろとしか思わない。
ルクレシアさんみたいな獣性を秘めた子なら『うおー!がんばれー!」ってなるんだけど、普通の女の子にそんなことは求められない。
彼は男の子なので、もう少し筋肉とかつけた方がいいと思う。顔も普通なんだから。
「な、なんですか……うぷ……」
「もう少し慣れた方がいいなと思って」
「わかってます………でも臭くて……」
来る前にこうなるってわからなかったのか、と護衛の探索者に呆れ目で見られている。
「行けって言われたら行くしかないじゃないですか……」
その通りなので、彼のことは放って別角度から中心へ辿り着く道を探すことにした。
「なんでそんなに……」
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
-
いる
-
いらない