【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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48_うわおもんなっ

 コマちゃんとバトンタッチで飛び降りる。

 落ちながら見上げると、噛みついた前左腕を、頭をブンブンと振って引きちぎっていた。

 

「ギギャッ!?」

 

 そのまま腕を一飲み。

 せめて味わって食ってさしあげろ。

 

「──そうかよっ……!」

 

 しかしすぐさま、引きちぎられた断面に炎を吹き掛ける。

 止血かと思って見ていると、断面から腕がニョキニョキと生えてきた。

 ふぁ、ふぁんたじぃ……! 

 

「このっ、このっ!」

 

「アリサ! 背中は一番硬いんだから一旦戻ってこい!」

 

「…………高くて無理です!」

 

「はぁ……」

 

 本当にバカで可愛い。

 

「だから──このまま鱗を剥いでやるっす!」

 

 斧を鱗に差し込むと、ベリィッという生々しい音の後に一枚が剥がれ落ちた。

 やればできるじゃん。

 

「ギィィィィィィアアアアアア!!」

 

「ぶええええええあああ!!」

 

 とんでもなく痛かったらしい。

 腕を引きちぎられた時よりも、よっぽど痛がっている。

 背中を跳ね上げて、尻尾を打ちつけて、なんとか背中の上の無礼者を落とそうとし始めた。

 アリサも奇声を上げながらしがみついている。

 

「──あっ」

 

 案の定、本家よりも激しいロデオに晒されたアリサは落とされた。

 幹の下部ではあるが、高さは2〜30mだ。

 地面に落下すれば、その時の速度は時速70km以上。

 ……探索者だから大丈夫な気もするな。

 そもそもあいつヒーリングファクターあるし。

 とはいえ、それで判断を変えるほどアホじゃない。

 

「コマちゃん!」

 

「ワンッ」

 

 コマちゃんは軽く幹を蹴り、横向きにアリサの身体を攫う。そのまま幹から幹へと上手くベクトルを変えながら戻ってきた。

 

「うぅ……」

 

 口の中から地面にペイッて転がされ、半泣きのお嬢様を立たせる。

 

「怪我が無くて良かったな」

 

「心が大怪我っす……」

 

「シャキッとしろ! 奴さんはやる気100倍だぞ!」

 

「…………ヒェ」

 

 上に広がる光景を見て、アリサの顔が一気に青ざめた。

 

 先ほどまではトカゲの顔そのまま、突起の少ない顔をしていたのに──鱗や骨格が隆起し、禍々しい顔つきになっていた。

 恐竜なんて生優しいものじゃない。

 真に他の生物を脅かすモンスターとはこういうものだ、という顔。

 腕は、地面を這うのに事足りる程度の細さではない。数倍は太くなり、爪を食い込ませていた幹を最早へし潰しながら掴んでいる。

 

「──ォォォオオオオオオオオ!!!」

 

 咆哮と共に炎が噴き上がり、周囲の木々を覆う。

 今度は先ほどの比では無い。

 大炎上だ。

 そういえば、商工会も大炎上した事があったらしいな。

 

「な、な、な、なんであんなに姿が変わっちゃったんすかあ!?」

 

「知らん、大事なのはあいつを討伐する事だよ」

 

「なんでそんな落ち着いてるんですかー!?」

 

「見た目くらい変わらなくてどうすんだ」

 

「なんすかその価値観……」

 

 異世界でモンスターの姿が変わるなんて当たり前だと思うんだが、異世界の人にはあんまり分からないらしい。

 日本人としての意識が足りないんじゃないかと常々思っている。

 ……日本じゃないけどな。

 

「あ、ちょ、アイツこっち向いて──ひっ」

 

 煌めき。

 そうとしか言いようがない。

 大気を貫いて突き進んできた赤を、ナイフで受け止めた。

 

「ぐおおおおお!?」

 

「っっっ!!」

 

 想像を超える衝撃が骨を軋ませ、弾き飛ばされそうになった。

 

「ヒ、ヒロさん……!」

 

 や、やべえ……トチってる……魔剣がかき消してくれると思ったのに、普通に重い……! 

 

 峰に手を添え、なんとか重心に近い位置をキープする。

 俺の最大出力はザックリ言って重機ぐらいなんだが、それでもこの重み。

 伊達にレベル30台の難易度じゃねえ。

 なんで炎がビームみたいになってんだよ、ゲームじゃねえんだぞ! 

 

「わっ、私がなんとかして止めます!」

 

「は、早くしてくれ……! このままじゃあ……このままじゃあ焼肉を食べるどころか俺が焼肉になっちまう!」

 

「……いきます!」

 

 渾身のナイスジョークだったのに、アリサは反応してくれなかった。

 ただ、突き進む足取りに迷いは無い。

 煤けた地面を踏み締め、土を飛ばしながらコマちゃんと並走していく。

 

「コマちゃん! 協力して!」

 

「わん!」

 

 ……なんか、アイツらかっけえな。

 

 

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