【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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15_行くのか行かないのか

 

 加賀美さんとヴォルフガングさんが話している間、ずーっと難しそうな話で頭が痛くなってきたからテマリさんのお世話をすることにした。

 服を持ってきて、脱いであった服を洗濯して。

 女の人の洗濯物だからミツキさんに渡すことも考えたんだけど、加賀美さんと一緒に座って話を聞いてるからやめておいた。

 

「レイトさんはどうするの? あれ」

 

「あれって……」

 

「ついてくの?」

 

 加賀美さんはどこかへ行くっていう話をしていた。

 多分、ヴォルフガングさんと一緒に行くんだと思うけど……そもそも僕がついていって良いのかよく分からない。

 

「良いじゃん、行こうよ。ヴォルフガングさんもいるし」

 

「それは僕の行く理由にはならないんだけど……」

 

「でも、危ないところ行かないでしょ? 人が住んでるところなんだから」

 

「そうなのかなあ」

 

 仮に人が住んでいる場所に行くとしたら、僕たちまで付いて行ったら邪魔になっちゃう気がする。

 そもそも、ディーンさんやレイジさんの特訓はどうするのかっていう。

 

「特訓はやり方さえわかってればどこでもできるけど、アキヒロさんに付いていくのは今しかできないじゃん」

 

 よほど付いて行きたいらしい。

 すごい鍛治師だからかな。

 

「そう! 伝説の鍛治師! 前はイルヴァの牙にもいたんだぜ! 俺が赤ちゃんの時くらいらしいけど……2人が泊まってたのもその家なんだ!」

 

「ふーん?」

 

 僕はそこに行ってないから何の話かよくわからないけど……つまり、憧れてるって事? 

 

「そりゃあ、みんなの憧れだよ! アルス様もすごいけど、カゾー様だって負けないくらい!」

 

「カゾーさんって言うの?」

 

「そう!」

 

 すごい名前だ。

 そんな名前なら、一度聞いたら絶対忘れないと思う。

 とりあえず、今までに聞いたことはない。

 

「テマリさん、入ります」

 

 作ったご飯を届ける。

 なんだかんだでご飯とかはちゃんと食べているらしい。

 すぐに良くなると良いなって思ってたけど、これなら本当に良くなってくれるかな。

 そうだといいな。

 

 だから、ちょっとだけ、余計な事をしてみた。

 

「お外に出てみませんか?」

 

「…………」

 

「たまには外の空気も──」

 

「あっち行って」

 

 ダメだった。

 その目には何の希望もなかった。

 何の関心もなくて、何にも見出せなかった。

 

 ──少し前の僕みたいだった。

 

「はぁ……」

 

「ひでぇな、せっかく誘ってるのに」

 

「…………違うよ。僕が悪いんだ」

 

「えー?」

 

 シエルちゃんと出会っていなかったら、今もメソメソ泣いていたかもしれない。

 テマリさんにもキッカケと時間が必要なんだ。そのキッカケに僕がなれれば、なんて……そんなのは甘い考えだった。

 辛い人を無理やり外に連れ出そうとするのは、必ずしも良いことじゃないんだ。

 

 僕の場合、それは加賀美さんだった。

 

 きっと、その男の人も色々と考えて加賀美さんに託したんだ。僕みたいなのが簡単に顔を突っ込んで良いことじゃなかった。

 

「俺だったら無理やり手を掴んで外に連れ出しちゃうけどなあ……あ、でもあの人じゃないよ?」

 

「うん、やめてね」

 

「う、うん……」

 

 兎に角、まだ早いってことなんだと思う。

 

「2人とも廊下で何してんだ?」

 

「うわあ!?」

 

「……そんな驚く?」

 

 全然気づかなかった。

 いつの間にか、加賀美さんが扉を開けて覗いていた。

 

「話終わったから、もう五月蝿くないぞ」

 

「は、はい……カゾーさんに会いにいくんですか?」

 

「あ、聞いてたんだ」

 

「ハシュアーが教えてくれて」

 

「へー……まあ、そうだな。カゾーさんに会いに行くよ」

 

 その居場所はどこなのかと言えば、全く分からないので一旦イルヴァン王国に向かうらしい。

 …………? 

 

「どういうこと?」

 

「いやあ、そうなるよな。俺も詳しくは分からないけど、居場所を知ってるかもしれない人がそこにいるらしいんだ」

 

「その……イ、イル……って、どこにあるんですか?」

 

「分かんねえ」

 

「えっ」

 

「どこにあって、どれくらいの距離かも分からん」

 

「……えっ、じゃあ、どれくらいで戻って来れるのかも分からないって事ですか?」

 

「そうだな」

 

「…………」

 

 それじゃあ付いていけないや。

 シエルちゃんの事が──そもそも、どのタイミングでシエルちゃんの故郷に向かえば良いんだ? 

 今すぐ? 

 だけど、エリュシアには敵がたくさんいる。そのほとんどは僕たちよりも強くて、捕まったら何をされるかわかったものじゃない。

 じゃあ、強くなったら行けばいいのかって……その頃にはシエルちゃんのお母さんたちがどうなってるか。やっぱり今すぐ──

 

「どうした?」

 

「あ──」

 

 いつの間にか、加賀美さんが顔を覗き込んでいた。

 

「な、なんでもないです!」

 

 慌てて否定したけど、不思議そうな顔をしていた。

 もしかしたらちょっとだけ怪しまれちゃったかもしれない。

 

「……まあ良いか。そんなわけだから、また留守にします」

 

「俺行くよ!」

 

「え?」

 

「カゾー様に会うんだろ! 行く行く!」

 

「オタクどもが……まあ、好きにすりゃ良い。その代わり何が起きても自己責任な」

 

「へへっ! やりい!」

 

「三船君は?」

 

 僕は、どうするべきなんだろう。

 

「別に来なくても何の問題もないから、遠慮とかしなくて良いよ」

 

「……シエルちゃんと決めます」

 

 帰って、シエルちゃんに加賀美さんとのことを話した。

 シエルちゃんは手を膝の上に置いて静かに話を聞いていた。

 聞き終えて、穏やかな顔でとんでもないことを言う。

 

「──レイト、あの人と一緒に行こう」

 

「っ! だ、だけどそれじゃあシエルちゃんのお母さん達が!」

 

「大丈夫、だった」

 

「え?」

 

「お母さん達、大丈夫だった」

 

「ど、どういうこと?」

 

「バレてなかった」

 

「なんで!?」

 

「私にも分かんないけど……お母さん達と普通に話せた」

 

「……じゃあ、無事ってこと?」

 

「うん」

 

「…………良かったぁぁぁ」

 

 何が何だか分からないけど、とにかく、無事だったって事は急ぐ必要がなくなったって事だ。

 

「ほ、本当なんだよね?」

 

「うん、本当」

 

 その顔に嘘は見えなかった。

 

「……じゃあ、あの話は何だったの!?」

 

「あれは……そうなんじゃないかって私が思っただけ」

 

「そういうことかあ…………」

 

「うん。だから……しばらくは大丈夫だと思う」

 

「!」

 

 そうだ。

 結局、エリュシアが敵だってことに変わりはない。

 彼らが僕たちを滅ぼしにやってくることは嘘じゃない。

 何かをしなきゃいけないんだ。

 その限界が伸びたってだけの話で……

 

「何か、しなきゃいけないんだよね」

 

「……うん」

 

 結局、その『何か』が僕たちには分からなかった。

 

 

 ──────

 

 

「いつ出発するんですか?」

 

「大学でレスバに勝ってから、かな」

 

「?」

 

 付いていくことを加賀美さんは認めてくれたけど、出発の時期は未定だった。大学で何かをやり終えてからじゃないとダメらしい。

 

「レイト君達も行くの!?」

 

「うん」

 

 アリサちゃんが一緒に行くらしい。

 ミツキさんじゃないんだ。

 

「ほら、私の方が体力あるし?」

 

「確かに……探索者だもんね」

 

 アリサちゃんも、なんだかんだで探索者と大学生を兼業している超人だ。

 僕達とはレベルが違う

 

「ねえ、最近のヒロさんどう?」

 

「え? どうって?」

 

「女の子」

 

「女の子?」

 

「新しい子、引っ付けてたりしないよね?」

 

 目がすごく怖い。

 言いたい事はわかるけど、僕に言われても分からない。

 

「だってレイト君の方がヒロさんと一緒にいる時間長いんだもん!」

 

「うーん……それを言ったらヒナタさんのほうが……」

 

「ちっ」

 

 アリサちゃんとヒナタさん、仲が悪いのかと思えば仲が良いし、仲が良いのかと思えばすごく仲が悪い。

 女の子ってこういうところあるけど、どっちが本当なんだろう。

 

「あいつの話はやめてね」

 

「やめてって言われても、加賀美さんの話をしたら絶対ついてくるじゃん」

 

「とーにーかーく! どうなの!」

 

「僕が知る限りは何もないかなあ……なんで?」

 

「──!」

 

「あ゜」

 

 待ってましたと言わんばかりに話が始まった。

 第一セクターで、また女の子と何やらあったらしい。

 高校の時の知り合い? 友達? セートカイの部下? そういう人がいるんだって。

 ……この話、振らなきゃ良かった。

 

「分かった?! とにかく、隙を見せたらすぐメスどもが寄ってくるんだから! だから、こうやってブロックしないといけないの!」

 

 全身を使ってブロックを表現している……! 

 

「こっちから来たらこう弾いて!」

 

「あはは!」

 

「な、何笑ってんの! 真剣なんだけど!」

 

 シャーッ! て牙が剥き出しになる。

 アリサちゃんの猫耳や尻尾はとても特徴的だ。

 シルエットでもわかりやすい。

 

「ちょっと……あんまり見ないでよ」

 

「ええ? だってそっちが……」

 

「シエルちゃんに言いつけるよ」

 

「ごめんなさい!」

 

「ふん……シエルちゃんが男の人と一緒にいたらどう思う?」

 

「…………」

 

「嫌でしょ? だからそういうこと」

 

 何がそういう事かわからないけど、モヤモヤするのは確かだった。

 

「あーあ、ミツキさんとヒナタさんよりも先に会ってたらな〜」

 

「どうだったの?」

 

「私が独り占めしてたってこと!」

 

「ええ?」

 

「……なんか文句あんの?」

 

「いや、なんでも」

 

「なんかあるなら言いなよ」

 

 加賀美さんと出会える人って、基本的にそのタイミングで苦しんでる人だから、会えるのは実の所あんまり良くない気がする。というか、ミツキさんはともかくヒナタさんは……

 

「そりゃあ、幸せな人はヒロさんと会えないけど……そういう事じゃないでしょ」

 

「加賀美さんのこと、大好きなんだね」

 

「うん! だからアイツらが邪魔なんだけどね」

 

 アリサとミツキの仲が良くて〜、なんて言ってたのは最近の話だったかな。あれはなんだったんだ。

 

「……ミツキさんはちょっとだけ認めるよ? でも、それだけ!」

 

 話は例の襲撃のことへ。

 

「ヒロさん……怪我したんだよね」

 

「うん」

 

「大怪我……」

 

 そういえば、何でお見舞いに来なかったのかな。

 

「大学はちゃんと行けって……」

 

 いつも思うんだけど、加賀美さんって人に言う割には自分で全然守らない気がする。

 

「まあヒロさんはね」

 

「?」

 

「子供にはわからないことが色々あるの〜」

 

「……」

 

「──すんすん、ヒロさん帰ってきた! ヒロさーん!」

 

 アリサちゃんも自由だ。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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