【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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26_元は同じでも

 

 目が慣れると、そこにあったものの輪郭がようやく見えてきた。

 

「これは……武器?」

 

 いちばん手前にあった斧には様々な宝石が嵌められて、いわゆる鑑賞用? にも見えるけど、きっと、そうじゃない。

 ここにあるのはどれも一級品だ。

 加賀美さんが持っている武器に劣っているとは思えない。それだけの危険性を秘めている武器な気がした。

 

「分かるか? これらの価値が」

 

「これは……どういう……?」

 

 武器を集める。

 作るのは、それこそ耳が長くなるくらい聞いてるからわかるけど集める趣味もあったんだ。

 加賀美さんの神器が欲しいみたいな話があった気がるし、そういうことなのかな。

 

「これはな。イルファーレ様に捧げられたものだ」

 

「これが…………」

 

「鍛治師はみな、己が最高の作品を捧げる。そうする事で信奉心の証明と誇りの保存を行うのだ」

 

「ほえ〜」

 

「ヒューマンには分からない価値観かな?」

 

 一つ一つ、捧げられたものを見ていたら唐突に思い出した。

 

「あっ!」

 

「?!」

 

「あ……ごめんなさい」

 

「な、なんだ?」

 

「思い出したんです。そういうのあったなって」

 

 ヒナタさん達の話をした。

 コマちゃんの話は避けてね。

 

「……そのような邪悪な神もいるのだな」

 

「い、一応内緒でお願いします……」

 

「ちなみに、なぜ無事なんだ? …………イルファーレ様、お許しください。これは……ない事だが、仮にイルファーレ様が私たちを害しようと考えたならば、私たちは抗うことすらできずに滅びる筈だ。だが、キミ達はどうやって生き延びた」

 

「…………」

 

 まっずい。

 そこの理由のことを全然考えてなかった。

 コマちゃんのことを話さなかったら、どうやってあの神様を倒した(コロした)のかっていう説明がつかないぞ。

 

「あ、あー……なんか、気付いたら……」

 

「話せないなら素直にそう言うのも手の一つだが」

 

「話せません!」

 

「ふっ……素直だな」

 

「話したら僕、死ぬかも……」

 

「──それほどか」

 

 コマちゃんを裏切るなんて……考えたくはないけど、何度も考えた。そんな事が起こるのは、何か大変な事が起きているときだ。

 ──今みたいな? 

 

「中々、見た目によらず修羅場を潜ってきているようだな」

 

「形だけですけどね……」

 

「謙遜するな。全てを己が力とすれば、自信もいずれ身につく」

 

 アルスさんは大げさで言い回しが硬い人だけど、冗談も言う人だった。

 偉いだけじゃない。

 心が広い。

 

「……あの男は、女を手篭めにするのが得意なようだな」

 

「加賀美さんは…………誤解されがちですけど、本当に、そういうつもりで行動してる人じゃないんです」

 

「ほう」

 

「目標にまっすぐな人なんです」

 

「それで?」

 

「イケメンと可愛い子が好きだって言ってます」

 

「…………」

 

「それで、たまたま道端に倒れている人を見つけたら助けずにはいられないんです」

 

「……いい事だ」

 

「そういう人には恩を売って、末長くお付き合いをしたいらしいです」

 

「いいのか……?」

 

「そういう人が可愛かったりすると尚更、みたいな」

 

「大丈夫か……?」

 

「周りにいる人は可愛い人とイケメンだけで固めたいらしいです」

 

「大丈夫じゃないよな……?」

 

 助けてもらった側としては、そういうのもひっくるめて好きになってもらえるのは全然嬉しかった。

 顔の話が多いけど、そうは言いつつ内面重視が加賀美さんだ。

 ダメな時は殴って直してくれるし。

 

 廊下を戻りながら僕たちの話をした。

 個人的な話。

 これから先には関係ない、ここに住むわけじゃない僕にとっては意味がない話。

 だけどアルスさんは話を聞くのがうまくて、部屋の中に戻っても話が続いた。

 

「こう見えても、もう30だ」

 

「で、でも、アルスさn──アルス様、すごく若いですから! 全然大丈夫です!」

 

「アルスでいい。そんな硬くならずにな」

 

「アルスさん……名前かっこいいですよね」

 

「なんだいきなり」

 

「僕、名前がレイト──こういう字を書くんですけど、アルスさんみたいな名前も羨ましいなって」

 

 三船タンジェロとかどうだろう。

 

「いいじゃないか、レイト。私は凛々しくて好きだぞ、その名前」

 

「そう……ですか?」

 

「ああ」

 

 硬い口調は解けないけど、仕草や振る舞いはどこまで行っても女の人。綺麗で、ベッドに一緒に座っていると良い香りがちょっぴり漂ってくる。

 

「アルスさんはそろそろ眠たくないですか?」

 

「ん? まあ私はいつも…………いや、少し眠いか」

 

「それなら、あんまり話に付き合わせるのも悪いから今日は……一旦おやすみにしません?」

 

「ふふ、気を使わせてしまったか」

 

「本当は僕がもう一眠りしたいところだったんです」

 

「そうか……では、おやすみレイト」

 

「おやすみです」

 

 

 ──────

 

 

「昨日は前回と違って随分穏やかなお出迎えでしたね」

 

「我々も、どのように客人を迎え入れれば良いか手探りなのだ。前回のことは試行錯誤の一つだと思ってくれ」

 

 二日目に入っても二人は話している。遊びに行ってても良いって言われたけど、そんな事したら大事な話を聞き逃す。

 張り付いているつもりだ。

 

「ふぁ〜……」

 

 でも、人の話ってどうしてこう長く感じるんだろう。

 眠くなってくる。

 シエルちゃんも手持ち無沙汰に寝っ転がってるし、僕だけはせめてちゃんとしてないと──とか思ってたのに、肩を揺すられて目を覚ました。

 加賀美さんとハシュアーだけ本国に行くっていうところの話がついたって。

 

「大人しく待ってるんだぞ? 特にシエル」

 

「うるさい」

 

「大丈夫そうだな」

 

 そうは言うけど、すぐに出発じゃない。

 ハシュアーのお母さんに挨拶をしなきゃいけないし、先導役は誰かってところで議会? でも話が必要なんだって。

 アルスさんはリーダーだけど、色々な人の意見が必要だから。

 

「やっぱ年寄りの言葉には逆らえねえか。優しそうだもんな」

 

 起こされた僕たちは、ハシュアーの実家に早速訪れた。

 家が小さいから四人もヒューマンが入ると手狭だったけど、目の前で家がすぐに大きくなっていく光景は今でも信じられない。

 ドワーフの本領発揮って感じだった。

 出されたのは何かの根っこを()したお茶。

 ちょっとピリッとするけど眠気が飛んだ。

 

「一緒にパーティーっての組んでるんだって? 二人とも、いつもあんがとね」

 

「うん、世話してる」

 

「あはは! こりゃあ良い子見つけたね! ハシュアー、二人も別嬪さん連れて良いご身分だ!」

 

「いつも言うこと聞かない」

 

「ハシュアー!」

 

 シエルちゃんは日頃の喧嘩の鬱憤を晴らすように、その内容を全部お母さんにぶちまけていた。ハシュアーは追いかけまわされて捕まり、頭を叩かれている。

 

「お、俺だけが悪いんじゃない! シエルが悪態ばっかだから!」

 

「可愛い女の子が組んでくれてるだけで喜びな! このバカ息子!」

 

「可愛くねえ!」

 

 可愛いでしょ。

 ……可愛いでしょ! 

 

「可愛いってのは、アオイちゃんみたいな子のことを言うんだ! シエルは全然可愛くない! 朝起きるのも遅いし、起きてもレイトさんに全部任せっきりだし、夕飯作る時も理由付けて見てるだけだし!」

 

 そこが良いんじゃないか! 

 ハシュアーは何にもわかってない! 

 

「この際だから言うけど、シエルってダメヒューマンだぞ! ダメダメだ! ダンジョン以外、全然ダメ!」

 

「そんなこと言うんじゃないよ! ごめんねぇシエルちゃん」

 

 普段なら言い返すだろうけど、シエルちゃんは余裕な笑みを浮かべていた。

 ハシュアーも拍子抜けだったのか口を窄めている。

 

「子供の癇癪に一々怒ったりしない」

 

「このお〜……母ちゃんに守られてるからって余裕な顔しやがって……」

 

「良いお母さん」

 

 加賀美さんは、ハシュアーのお父さんと二人で真面目な話をしていた。

 こっちに来てからずっと大人同士でだけ話をしてるから、ちょっと寂しい気もする。

 移動中も難しい顔だから話しかけづらい。

 

「お母さん、これってなんのお肉なんですか?」

 

「それはワームだね」

 

 輪切りのお肉を燻したもの。

 加賀美さんとハシュアーがよく携帯食用に作っている。

 こっちだと普段から干し肉? 

 

「地上と違って動物が少ないから、いつ食べ物が現れるかなんてわからないでしょ?」

 

 味はそこそこらしいのでひとかけら貰ってみると、シエルちゃんがジッと見てくるので分けた。

 グニグニしてる。

 元が硬いのかな。

 

「三人はアキヒロが行ってる間どうするんだい? まさか、一緒に行くわけじゃないよね?」

 

「んぐっ! …………ここで待ってられれば、良いんですけど……」

 

「でも、あそこにたどり着くのは簡単じゃないって話だよ? 私も行ったことないけどさ、そんな数日で戻って来られるものじゃないんじゃないかい?」

 

 そう言われると途端に不安になった。

 加賀美さんに聞くと帰っても良いって話だけど、たまたま通りかかったヴォルフガングさん達にも相談した。

 

「まあ、良いぞ……帰るってんなら協力する。罪滅ぼしってわけじゃないがな」

 

 帰るか、待つか。

 それはやっぱり、どれくらい加賀美さんが向こうに行っているかによる。

 

「イルヴァン王国は天命山脈の地下にあるって話だ。ここからは……普通に歩いて移動するなら数ヶ月かかるかもな」

 

「数ヶ月!?」

 

 そんな期間いたら、僕たちまでドワーフになっちゃうんじゃなかろうか。

 

「ここに来た時みたいにグニューンって飛べないんですか?」

 

「王国とイルヴァの牙は今でこそ露骨じゃないが、元々は敵対して分離した組織だ。ブリンクポイントが繋がってるかどうかすら知らん。アルス様や長老に聞いてみてくれ」

 

 敵対していたなんていう、とんでもない事実を今更になって知らされた。

 本当に、大丈夫なのかな。

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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