【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
結局、早苗ちゃんとダラついてたらヒナタがやってきて叱られた。だけど、いつも通りやましい事は何もないので堂々と主張したら部屋に連れ込まれた。
不安だってところで流石によくなかったよな。
いっぱいごめんなさいした。
なんとか機嫌を直してくれたのでそのまま寝ようとしたけど、なんとテマリさんから苦情が入った。
「うるさいんだけど」
一瞬シエルかと思ったけど、やっぱりテマリさんだった。
うるさいのは俺じゃなかったけど、ヒナタはもう寝ていたので代わりに謝った。
「悪いのキミでしょ」
言われのない誹謗中傷ってやつだけど、山田家ではしゃぐのはよくなかった。テヘペロ!
でも……外に出て来てくれるようになって本当によかった。
「誤魔化そうとしてる?」
「いやいや、まさか! 本当に!」
本当に、よかった。
「…………ありがとうございました。正直、何かされる覚悟はしていたけど……あなたは本当に良い人だったんですね」
女の子に困ってないから、そういう暴走はしないと思われないものだろうか。
…………女の子に困ってない、って嫌な表現だな。女の子に恵まれてる?
「女の子いっぱい侍らせてるから、逆にありそうじゃない」
「確かに? ……いや、侍らせてないです」
そんなお殿様みたいな感じじゃない。
俺が玉座に座って『ぐわはははは!』って笑いながらみんなの肩を纏めて抱きしめてるみたいに見えるだろうか。
「見えるよ」
「そっすか……」
「ヒナタさんやアリサさんみたいな気の強い女の子、好きそうだよね」
「え、まあ……はい」
「あの幼馴染の子──ミツキさんはタイプからは外れてそう」
「なんですか、相性占いですか」
「ううん。これまでお世話になって来て、暇すぎて観察してたから」
それがなんだろうか。
……まさか、話題の一つとして挙げているということだろうか。
好きな人の話をしても大丈夫なものなのだろうか。
「あー……そうだよね。うん……実際まだ引き摺ってる」
悲しそうに笑った。
「あはは…………キツイよ。キッツイ。本当に好きだったから……これも、いなくなってからやっと人に言えるようになったんだよね」
素直じゃない人だった、という事なのだろうか。
「あの頃は忙しくてさ。室長なんて身の丈に合わない仕事やらされて、下には私より優秀なアイツがいて……あーあ……もっと早く言っておけば何か変わったのかなあ」
その気持ちはよく分かった。
俺も、もっと言いたいことが色々あった。
死ぬからって捨て鉢になるんじゃなかった。
「あ、ごめんね暗い話しちゃって」
「いえ、俺も気持ちはわかります」
「…………そうなの? その、誰かを……?」
「近いですかね」
「そっか……」
「お酒でも飲みます?」
「良いの?」
「どうせ俺の金ですから」
「この家もそうだけど……甲斐性あるよね」
「ここは俺関係ないですけど……」
借りてるのはあくまでヒナタ達のお母さんだ。
中にあるものは俺も金出してるけど、なんか勘違いしてるっぽかったから訂正しといた。
グラスを渡すと、これも高いんじゃないかとか言い出したので適当に相槌を打ちつつ注ぐ。
もうほろ酔いでさっさと眠ってもらおう。
「あ〜……お酒、久しぶり……だなあ……」
アルコールがくらっと来たらしい。
久しぶりに飲むとまずいよな、分かるわ。
どんどんとおかわりを要求してくる割には目のトロンとした具合になるのが早かったので打ち切りにして、代わりに水を飲ませる。
「…………レオ……」
お酒が入ったせいだろう。
見ないふりをしつつ、適当に話を振った。
ミツキとは小学校からの幼馴染だって話とか。
テマリさんはズビズビと鼻を鳴らしながらも気丈に振る舞っていた。
だから俺もやっぱりいつも通り話をして、明日はアリサのところに行くということを伝えた。
「私……いつまでいて良いの?」
「別にいつまでもいて良いですよ」
部屋は空いてるし、自分で動けるなら世話の必要もない。ヒナタはうちに来てもらってもいい。
本人達が良いならテマリさんがうちに来ても良いけど、そうはならないだろう。
「えっと……本当に良いの? お金も払ってないのに……」
「人は多い方がいいですから」
多ければ多いほど寂しくない。
それに優秀なのは間違いないし、そのうち仕事を見つけて出ていくだろう。
「…………口説かれてる?」
そうくるとは思わなくて横転した。
「──はっはっはっはっは!」
「そ、そんなに面白かった?」
「いやあ……自信があっていい事だなって」
「ば、ババアって言いたいの!?」
「いや、歳は若いだろ」
見た目もそうだし、レベルも相応にあるはずだ。
そういう問題じゃない。
それに、ここで口説き出したら、その為にタイミングを待っていたって事の証明にしかならない。ヒナタやアリサがいるのにそんな事するわけがない
「そ、そうですよね……ごめんなさい自意識過剰で」
酒が入ると口がするする動くタイプのようだ。
いつまでも会話が続く。
だけど、最近まで体を全く動かさない生活をしていたから完全に身体が弱っていた。
喋るだけで体力を消耗してしまったのか、背もたれに体を預ける。
「ごめん……私……もう、疲れちゃった……」
「動けます?」
「無理……」
横抱きでベッドに運ぶと不敵に笑う。
自分自身が置かれているこの状況が不思議で仕方ないらしい。
俺もだ。
──────
「テマリさん、大丈夫そうだった?」
部屋から出ると、不安そうに手を前で交差させた早苗ちゃんが待っていた。
起きていたなら混ざってもよかったけど、さっきの俺たちのところに入るの気まずいよな。俺は気にしないけど。
「ずっと寝たきりだったからさ。自分からちゃんと起きて動いてくれるようになっただけで嬉しいんだけど……やっぱ心配」
お母さんが同じ状態だったからだというのはすぐに分かった。肩に手を置くと重ねてくる。
「えへへ……バレバレだね」
「お母さんは大丈夫だって?」
「うん、神様が街全体守ってくれたんだって」
何それすごい。
なんでそんな神様が呪い掛けたの?
怖いよその二面性。
いわゆる阿修羅みたいな感じの見た目してそう。
「そうだね」
なんか雑じゃないか?
「いいえ〜」
早苗ちゃんも一緒に寝たいっていうから扉を開けようとして止まった。中には確かにヒナタが寝ているけど…………寝ているけど〜、今はまずい〜よ〜。
「どうしたの? 開けてよ」
なんですかこの圧力。
「い、いや……そういえばヒナタが今日は俺と2人きりで寝たいって言ってたなーって……」
「ふーん……じゃあ私はソファーで寝るって事?」
まずいぞ。
やっぱり人の家ではしゃぎすぎちゃダメだな。
「お、俺もソファーで寝るから……」
「そっか!」
先程までの圧力が霧散した。
なんだったんだ。
でも、ヒナタにまた怒られるんだろうな……早苗ちゃんが寝付いたら一旦部屋に戻って、部屋を片付けなきゃ。
「ソファー狭いね……アキヒロくんのお家行かない?」
予想を超えて来た。
「俺、座って寝るから大丈夫だよ」
「え、やだ。一緒に寝たい」
能面を貼り付けたような表情で言う早苗ちゃんの迫力に押されたけど、こればっかりは──
「──あはは、ごめんね困らせて」
カラッと、そんなことを言った。
「本当は分かってたんだ。2人がしてたことがなんなのか」
「──」
背筋が冷たくなった。
あえて、そう思い込んでいた。
子供の姿である彼女に分かるはずがないと無視していた。
そんなわけないのに。
「悔しくてさ……負けないって決めちゃったからかな」
「…………」
「私がもっと大きければ違ってたのかなって」
その想いは──
「神様の呪いなんかなくて、私が年齢通りに成長してたらヒナタちゃんの位置にいたのかなって」
──否定できてしまう。
当然、それは彼女にも分かっていた。
「違うよね。だって……ヒナタちゃんと会ったから私と出会ったんだもんね。神様がいたからアキヒロ君がやってきて、神様があんな事をしたから私たちはここにいる」
「!」
「ねえ、もしも私の方が妹だったら──」
あまりにも迷いに満ちている言葉に、肩を掴んだ。
「もしもはいらない」
「あ……」
「もしもが願うなら俺はこの世界になんていない。もしもがないから……ありのまま世界と戦うしかないからこそ、俺はこの世界にいるんだ」
「で、でも!」
「可能性に逃げるなら俺は自害する。可能性に突き進むからこそ、俺は生きている価値があると思えるんだ」
そして、俺の浅慮が彼女を辛い思いにさせたのも事実だ。
「ごめん、今回のは俺が悪かった。早苗ちゃんのことをちゃんと考えてなかった」
「…………」
「だから、ちゃんと考えたい」
「ちゃんとって……でも、もう3人いるし……」
「諦めるな」
「……ぷっ、なにそれ本人が言うこと?」
こんなこと、他に誰が言えるんだ。
アイツらと結びついて、アイツを裏切って、魂からの浮気性と確定してしまった以上は開き直るしかない。
「ほら、俺、早苗ちゃんのこと大好きだから」
「っ……でも、それってそういう好きじゃ、ないじゃん?」
「分からない。俺も、俺がこういう奴だって最近理解できたから……」
前なら違うって言えた。
だけど、今は確信を持てない。
人間は死んだとしても新しい自分を発見できるんだって初めて知った。
ならば、俺が顔のいい子達ばかり好きで近くに置きたくなる理由も俺が思うよりもっと浅ましい理由だったのもかしれない。
──顔がいい奴は人生において有利に動くことができる。だから、そいつらと仲良くしておけばお零れに預かれる可能性も大きくなる。その母数を大きくすれば俺の人生は豊かになる。
そんな冷たい理由じゃないのかもしれない。
もっと浅ましくて面白い理由なのかもしれない。
「じゃ、じゃあ……そういうことだって思ってもいいの?」
「分からない」
「……なにそれ、どっち?」
「だからさ、俺が早苗ちゃんのことを女の子として好きだって言えるようになれるくらい素敵になってほしいんだ」
まだ蕾の彼女が、どんな花になるのか。
俺と彼女がそういう巡り合わせになかったとしても、俺が友達だって胸を張って言えるような女の子になってほしい。
「無茶苦茶だよお……」
「でも……どんな早苗ちゃんでも、大好きなのには変わりないからな!」
「…………あーもう! 腹立って来た!」
「なんで!?」
「私の気持ちに気付いてたくせに無遠慮でエッチなことしてたこと!」
「……ほんまごめん、本当にどっちか分からなかった」
親愛か恋愛か、それか混ぜ込んじゃってるのかと思ってた。
「はぁー!? あー! あったまきた! 絶対今日は一緒に寝るから! 言うこと聞かないとエッチなことされたってみんなに言いふらしてやる!」
「わ、分かったから落ち着いて……」
「裸見せて!」
「やだ……なんですか……」
「見せて! シャツ脱いで!」
幼女に脅される日が来るとは思わなかった。
けど、これでよかったのかもしれない。
シャツは剥ぎ取られたけど、大事なものを見落とさなくて済んだ。
「えへへ……えへへへ……」
それに、子供が嬉しそうな姿だったら別にいいかという気持ちになるのが俺なのだから。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない