【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
四門光輝の娘が探索者になる。
それは本人が思っているよりもずっと衝撃的な事だ。
圧倒的に稼いでしそん十代くらい先までは遊んで暮らせるだろう富を築いた
なんでだろう。
どうしてだろう。
気になるよな。
というわけで──
「な、なんでこんな見られてるの……」
講習を行う部屋には多くの探索者と職員が詰めかけていた。
他に講習を受けようという新米達がなんだコイツ……みたいな目で見ている。
そして当の本人は限界まで萎んで、隣にいる筈なのに見えない。
ミツキー?
どこだー?
囲まれるのはパーティーで慣れてるとか言ってなかったかー?
「こ、こういうのはむりだよ……はなしがちがうもん……」
職員も探索者も、邪魔するなということで外には出されている。ただ、講習を受けるところをじーっと見られているだけだ。
「だけって……! だけじゃないよ……!」
有名税だと思うしかない。
現代なら逆に警備員がなんかしてくれることもあるけど、ここは異世界なので警備員はいません。そもそも荒くれ者しかいない場所に警備員は要りません。
『…………』
『…………』
『…………』
『…………』
「ひぃぃぃ!」
見過ぎだろってくらいに見てる。
……うん、流石に見過ぎだ。
「なんなのぉ……」
というわけで講習が始まった。
ちなみに野次馬の中には三船君やディーンもいる。
好きだよね、みんな。
「──ふんふん」
始まれば、すぐに集中した。
講習自体はそこまで難しくない。
ミツキはちゃんとノートも取っている。
大学行ってたんだから覚えるのも余裕だろう。
あれだよ、工事の人たちが受ける特別教育的な。
この講習に関しては長いけど休憩挟むし、頭悪い人向けに作ってるから楽だ。
というわけで──
「ふぁ〜、疲れた〜」
あっさりと終わった。
別にテストはない。
本当の特別教育じゃないからな。
教えたでしょ? あとは頑張ってね──ってこと。
「これで何するの?」
「あとは好きにすればいい」
「え? どういうこと? 実際にみんなで行ってなんかやったりしないの?」
「しない」
「そうだっけ!?」
「大学とは違うからな?」
「え〜……じゃあさ、ねえ君たち!」
『…………あえ!? なんだ!?』
『わ、私たちも?!』
3人組、2人組にいきなり声をかけたかと思えば何やら話している。内容は──みんなでダンジョン行ってみない? だそうだ。
おおっと! すごいですよこれは!
2パーティーとも困惑しております!
ついでに講習担当の職員も!
「!」
野次馬のナナオさんが手招きしている。
仕事しろ。
「どうゆーこと?」
「折角ならみんなでダンジョン一緒に行ってみようよ! ということです」
「それは聞いてたからわかるよ! なんでそういう結論になるのってこと! あの子、温室育ちなんじゃないの!?」
「そうは言ってもコウキさんの娘なので、あんま舐めないでもらってもいいですか?」
「誰目線!? そもそも舐めてないよ! やっぱりミツキちゃんもおかしいんだ! 分かってたよ……だってアキヒロくんの幼馴染だもんね」
そこに行き着くのは穿ち過ぎじゃなかろうか。
──と、くだらないことを話している間に向こうも話をまとめたらしい。
「アキ! この子達も連れてっていーい?」
「いいよ──はっ!?」
久しぶりのおねだりモードが嬉しくて何も考えずに承諾してしまった。
でも、実際のところ問題はない筈。
あの審問官二人に襲われたところに行くらしいけど、今は奴らもいないだろう。他の探索者だっている。
「アキヒロくん! ちょっと、行く前に! こっち!」
呼び付けられた先で待っていたのは支部長だ。
泣きそうな顔をしている。
まさか、何かやらかしてしまっただろうか。
「本当に頼む! もう人員が……まずいんだ!」
あ、そういう……
「これ以上探索者が減ってしまったら、セクター内の安全を維持することが難しい! アンダーのコントロールに半分隠居してるような源田まで出払っているんだ……!」
やっぱそんな感じで見られてたんだ。
というか本当にまずい状況じゃん。
直近は身内のことしか見てなかったからそういうの気付かなかった。支部にも来てなかったし。
「あの新入り達をなんとか良いレベルまで持っていってくれ!」
「……無理です」
「なっ……し、しかしレイトくんの事はしっかりと育てているじゃないか!」
「それは三船君が従順で、心根のまっすぐな子だったからです」
今日の講習を受けた子達は見るからに反骨精神に溢れていそうだ。目がギラギラしてる。
ギラギラは良く言い過ぎか。
荒んでるって事だ。
ぶん殴って良いならあるいはって感じだけど、そもそもの話、俺に探索者としてまともに上達させるノウハウはない。
三船君についても結局、色々な人の力を借りないといけなかった。俺だけの実績ってわけじゃない。
命が掛かってるから、もしやるってなったらいつもみたいに優しくもできないぞ。
勿論、対外的には俺がやったってことで良い。
ただ、実際にやるってなればまた別の話だ。
それこそ、こんないきなり頼むんじゃなくて……いやいや、ちゃんと育成するためのメソッドをお前らが用意しとけよお!
あと、なんで三船君のことレイトって呼んでんの? オッサンがそれはきついって。
まあ、今回だけは同行するよ。
ミツキがいるから。
──────
「こうやってアキと出かけるの、イルヴァの牙行った時ぶりだねー」
デートにもいけない彼氏で本当にごめんなさい。
「ゆるーす! それでなんだっけ、最初は……足跡を探す? のはモンスター討伐の時だから……ひたすら観察!」
一人だけ話を進めようとするな。
周りの子達が戸惑ってるだろ。
みんな、今回は粘質草の採取だからな。
下に生えてる草をよく見ろ。
茎に透明な球がいっぱい付いてたらそれが粘質草な。
ちなみに透明な球は茎から滲み出た粘液が表面だけ固まったやつだから。触ると膜が破れて指に残るし、かぶれるぞ。
見つけても触らないこと。
ちなみに、はいって返事をしなかったらみんなの手首がこうなります。
「い、石が砕けた……」
返事は〜?
「「「「はいっ!」」」」
よし、じゃあみんなミツキお姉ちゃんについていこうか。
「ミ ツ キ お ね え ち ゃ ん !?」
うわ。
「も、もも、もう一回言って!」
みんなミツキお姉ちゃんについていこうか。
「ミツキお姉ちゃんのところだけ!」
ミツキお姉ちゃん。
「…………」
おい。
おーい。
固まっちまったよ。
ミツキお姉ちゃーん?
「いい……」
はい?
……みんな、あそこにあるトゲトゲの実を集めてみよう。
そんで遠くに投げといて。
『なんの意味があんだよ』
それ鉄に投げつければ火出るから。
そのうち使う機会あるかもな。
『なんだそれ』
実中に高濃度の酸素が入っているようで、割れると出てくるんだよな。
だから火口に再着火する時とか……まあ、とりあえず何でもやってろ。俺はこの壊れたお姉ちゃんを直す。
『……はい』
おい。
おいミツキ。
おい──おい!
「いったあ!? アキ!? フツー女の子のほっぺた叩く!?」
ふざけるなら帰るぞ。
「あ……」
真面目にやれないなら本当に今すぐ帰るからな。
あの子達も危ない目に遭う羽目になるんだから。
「……ごめんなさい」
ほら、行くぞ。
……返事は?
「はい……」
『──あ、来た。もういい?』
粘着層は水場に生えている。
川のほとりや池の周囲。
湿地帯なんかにもよく見られる。
この辺だと──どこにあると思う?
地図を見て考えよう。
『水なんだから池じゃね?』
そうしたらどうする?
『……池に行く?』
話を真面目に聞いているのは、2パーティーのうち1つだけだ。女子二人のパーティーで、口調こそぶっきらぼうだけど俺の話を真剣に聞くという気概が感じられる。言われたことを反芻して、問いに対しても返してくれた。
もう一方は……ただ聞いてるだけだな。
まあ、50%が真面目なんだから十分だよな。
──おっと。
『フゴフゴ……』
推奨レベルは12のイノセントボア。
体長は3mほど。
真っ白な毛並みが特徴だ。
お前ら、手は出すなよ?
「む、無理でしょあんなの……」
ミツキはお利口なので、言われるまでもなく後ろに隠れてくれた。2人のパーティーも恐怖で顔が引き攣りながら美月の後ろに回った。
しかし、3人パーティーはそうじゃない。
むしろ武器を構えた。
『へっ! 倒せればいいんだろ?』
『そもそも、お前は俺たちのリーダーでも何でもねえんだから指図すんじゃねえ!』
さっきからコソコソなんか言ってるかと思えば、俺に対する不平不満をエコーチェンバーしていたらしい。
「ど、どうするの? あの子達、あのままだといっちゃうんじゃ……」
何もしない。
「えっ」
あの3人の言う通り、倒せるならやってくれて良い。
いつかは戦わなきゃいけない敵なんだから、いつ始めても良い。
俺はこいつらの力量がわからないから今回は基本的に戦わせない方針だったけど、それを無視して行けるってんなら好きにすれば良い。素材だって手に入れられるんだからやるメリットはある。
『…………』
驚いたか?
俺はお前らのリーダーじゃない。
その通りだ。
だから、自分たちで決めて自分たちでやれるって言うなら俺から言うことはない。
手間も省けるからな。
──さあ、敵はこっち見てるぞ。
『!』
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない