【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

541 / 571
66_お金があればなんでも出来るんだぞーって!

 

 大学がないから仕事が捗ること捗ること! 

 ミツキとアリサのレベル上げもすごい勢いでできる! 

 なんか死にそうな顔してるけど、望んだ道だから大丈夫だよな! 

 ナナオさんも生暖かい目で二人を見てるけど、新米探索者に向ける目なんてあんなもんだよな! 

 ハシュアーや三船くんも益々気合を入れて探索者の道を進んでいるようだけど、シエルが宥めるような場面も見受けられた。

 シエルは賢いからな。

 そういう子だって俺は信じてたよ。

 

 問題は、治安が終わったことだ。

 信者とそれ以外の亀裂が致命的になった。

 商工会が打ち出した策──蒼連郷にいる全ての人間は依頼を受けるにせよ受けないにせよ探索者登録を行い、レベルの確認をしなければならない、というのが発端だった。

 

 各セクターごとの管理っぽいのはしてるらしいけど、大元の戸籍というシステムはない。つまり、人口管理をしていなかったことが今回のようなことを招いたと結論つけたわけだ。

 実際そうだし。

 エルフっぽいやつ、今思い出すと結構いたなーって思うけど、あれが全部そうだったのかすら分からない。

 

 商工会からの脱却という名目が掲げられているエリュシオン──の信者団体は正式に抗議を行おうとして、集まったところを叩き潰された。エルフどもはいなかったらしい。

 つまり、この地方にいる人間が、宣教師だの審問官だのがいなくても完全に反目する勢力として活動を始めてしまったというわけだ。

 

 集まった奴らは叩き潰せても、全てじゃない。

 野や山に潜み、盗賊も吸収して勢力を拡大しているようだ。

 依頼の中にエリュシオンの残党壊滅が張り出されるようになったのも最近の話。

 

 サツとバツな空気だ。

 俺が最初に探索者という存在を知った時に想像したような世界になってしまった。

 セクターの運営方法も少々変わって、これまでのように中心に支部を置いて外にフワーッと広がってくだけの形式じゃない。

 支部を中心に据えるのは変わらないけど、ちょこんと支所がそこら辺に設置された。

 支部の支所てお前……バカ! 人員足りねえだろうが! と思ったら新しく人員を募っていた。バカは俺でした。

 

「今日もダンジョン……明日もダンジョン?」

 

 ちなみに明後日もダンジョンだ。

 みんながひとところに住んでくれるようになったおかげで俺も安心してお仕事に邁進できる。

 やっぱ同棲って最高だな……

 

「家はおっきくなったのに手狭な気分……」

 

 テマリさんは微妙な面持ちだった。

 彼女は……まだ働きに出る余裕はない。

 数多の退職者を見てきた俺にはわかる。

 普通に過ごしているのは努力しているからだ。

 

「私もそろそろ働いた方が……」

 

「ダメです」

 

 バッサリと切り捨てる日々。

 彼女には自分がどれだけ追い詰められているかという自覚が足りない。

 早苗ちゃんと土いじりしてなさい。

 

「お兄ちゃんさあ……結婚しない! とか言ってるのに、あれじゃあみんなと結婚してるようなもんじゃん」

 

「──」

 

 そう言われて状況を思い返した。

 色々充実してはいる。

 同棲してる3人はみんな魅力的な女の子で、手も出していた。

 

「ここから誰か捨てたら本当にあれだよ? ウチに一歩も入らせないからね?」

 

 なぜ妹にそんなことを言われなければならないのかということを説明すると、彼氏に浮気されて荒んでいるからだ。

 お前、男運ないな……

 

「あー! 男なんてクソ! 死ね! もう男なんかいらない! お兄ちゃん、ミツキさんちょうだい!」

 

「…………」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 妹を慰めるのも兄の役目というわけで、第一セクターに美味いものを食いにきた。

 アカネと二人で旅行は初めてだ。

 最近は兄らしいことをあまりしていなかったので、ちょうど良い。

 物価が上がっても俺の懐は暖かいままだからな。

 

「美味い! 美味い! 美味い! 美味い!」

 

 いっぱい食べるキミが好き。

 人がたくさん食べるのを見るのは好きだ。

 もちろん俺が食べるのも。

 ほおら、美味しいだろう。

 

「私もお兄ちゃんの家に住む……」

 

 兄のそういうところを見てもいいのだろうか。

 俺はアカネのそういうところ見たくないよ。

 

「なんでそういうこと言うの? せっかくいい気分に浸ってたのに……」

 

 ちょっとだけ本気を感じて怖かった。

 いくら俺でも、マイハウスに妹がいきなり押しかけてくるのは躊躇が走る。

 みんなと同棲してない時だったら全然良かったんだけどな。

 

「う゛あ゛〜! もっと早く住み着いとくんだった!」

 

 座敷童子にでもなるつもりだったのか? 

 というか大声を出さないでほしい。

 ここは一応高級料亭なので、次に来る機会があるわけだ。

 

「どうせあの3人とデートしに来るんでしょ……」

 

 そりゃそうだ。

 他に連れてきたい人なんかほぼいない。

 

「ほぼって……ほぼって……!」

 

 何か文句があるのだろうか。

 金さえあればなんでも許されるのだが。

 アカネのお兄ちゃんは力と金で大抵のことを解決してきたわけだが。

 

「言ってることは最低なのに、別に悪いことしてないのがムカつく」

 

 家族に対してなんという言い草だ。

 お兄ちゃんは涙しながら妹をこのお店に置き去りにすることだって出来るのに。

 

「や、やらないよね……?」

 

 可愛い妹ならやらないかもしれない。

 

「おにーいちゃんっ!」

 

 可愛い妹でよかった。

 

「お兄ちゃんが金持ってなかったらこんなこと絶対やらないのに!」

 

 そうは言うけど、加賀美本家だけを見るとあいもかわらずカツカツな収支だ。

 俺がお兄ちゃんじゃなかったらアカネはのたれ死んでいるか、良くない仕事に手を出さないといけなかったはずだよ。

 

「……わかってる」

 

 恩に着せたいわけじゃなくて、自分が恵まれた立場ってことはちゃんと自覚してほしいってわかってくれ。

 妹が良くない末路を辿るのは見たくない。

 

「そういうところは嫌い」

 

 なにぃ!? 

 

「お父さん面? みたいなのうざいし鬱陶しい」

 

 じゃあ誰が言うねん……父さんは言わないし、母さんか? 

 

「お母さんはしつこいからヤダ」

 

 ただの反抗期だったか。

 

「──それで妹さんとデートしてるわけ?」

 

 雪白商会(吹雪の店)にも立ち寄った。

 相変わらずチェンがシュパシュパと客を捌いている。

 フブキは髪も伸びて、なぜかキレているようだ。

 

「あの話はどこ行ったかな〜なんて思ってたらいきなり現れてデートですか! そうですか!」

 

 何に怒っているんだろう、この小娘は。

 妹とデートして何が悪いんだろう。

 アドバイスの話は、ちょっと放置したのは悪かったけど……自分から聞きに来るのが筋じゃなかろうか。

 まさか全部与えてもらおうと思っていたのかい? 

 

「──」

 

「待って! …………フブキさん? ちょっと待って?」

 

 しかし、フブキが口を開けて息を吸い込んだ瞬間、アカネのストップが入った。店の外に引っ張り出され、顔面を一発殴られる。

 弱々しく、それこそ女子供のパンチだったけど驚いた。

 

「ダメ」

 

「?」

 

「お兄ちゃん、あれはダメだよ」

 

「なに?」

 

「ガチ感がダメ」

 

「ガ……え?」

 

 俺の妹どうしちゃったの? 

 浮気がそんなにショックだったのか……いやショックだよな、可哀想に。

 

「お兄ちゃん……現地妻はダメだよ」

 

「お前は何を言っているんだ!?」

 

 まさかフブキを現地妻とか言っているなら、俺が縊り殺されるからやめてほしい。

 というか……何でもかんでもそうやって恋愛に結びつけたがるのは若者のサガとはいえ、兄として叱らないといけない。

 

「アカネ、そういうのは本当に良くないぞ」

 

「お兄ちゃんこそ良くないよ。あの人と会うの、もうやめな?」

 

「フブキは友達だ」

 

「男女の友情なんて存在しないって分かってるでしょ? ヒナタさんのこと女にしといて、分からないなんて言わせないよ?」

 

 なるほど……兄と妹の意見が真っ向からぶつかったか。

 では、兄妹喧嘩といこうか。

 

「──バカあああああ!」

 

「ええ……ちょっと目を離した隙に何してるの……」

 

「お兄ちゃんが言っちゃダメなこと言ったあああ!」

 

「アキヒロさん?」

 

 男を見る目がないくせに口を挟んでくる妹に大人気なく勝利してしまった。

 すまんな喧嘩が強くて。

 でも生意気なのが悪いんだ。

 妹は三歩後ろを歩いていればいい。

 

「はいはい……もう……喧嘩してこの後どうすんのよ」

 

 謝るから良い。

 

「よく妹に頭下げる気になるよね……」

 

 昔から妹みたいなやつに頭下げてばかりだから、そんなこと気にしたことないな。軽い頭の方が良く振れるし。

 

「ミツキさん?」

 

 なんでも口に出すのは美徳じゃないぞ。

 正解だけども。

 

「……実は、さっきの話聞こえてたんだけど…………」

 

 あれを気にされても困る。

 俺の交友関係は自由だし、アカネよりも俺の方が人を見る目がある。だからこそお前に出会えた。

 

「はあ……」

 

 ため息をつかれる筋合いはない。

 

「ため息だって出ますよ……」

 

 出るなら仕方ない。

 こんなところに店を構えていたら悩みの一つや二つ、出来るってものだ。

 ところで最近はどんな商品を扱っているのだろうか。以前は深山商会と競合しないように注意していたはずだけど、少しだけ時間が経って方針が変わったりはした? 

 

「してないです。でも、みーんな探索者として登録しないといけなくなったから……ちょっと怖いですね」

 

 いざとなったらお父さんたちを頼ってあげてほしい。なんのかんの言っても家族なんだから、絶対に助けてくれる。

 治安が悪くなってるのは確かだし、準備はしてもし足りない。

 

「あの雲、結局なんで消えたんですかね」

 

「さあ……」

 

「アキヒロさんも分かりませんか」

 

「俺がなんでも知ってると思ったら大間違いだぞ?」

 

 フブキは元気そうだったので、寝やすい枕でも作ってもらうことにした。低反発素材なんかそこら辺のモンスターから見つければ良いだろ。

 

「適当すぎでしょ! 寝やすい枕って……そんなの私もほしいよ! 低反発素材もよくわかんないし……と、とにかく、それで私もウハウハなんですね!?」

 

 後輩がお金にガメツイの、なんかやだな。

 

「商売してるんですよ私! しかも結構苦しい!」

 

 フブキがいい感じの枕を作ってくれれば、腕枕をおねだりされることもなくなる。

 筋肉でいい感じ〜とか言われて、朝起きたら感覚ないんだ。

 面白いけどあんまり楽しくはない。

 

「というか、アキヒロさんが取ってきて! その素材! 低反発のやつ!」

 

 商人なら自分でまずはやってみるものじゃないだろうか。

 アイデアももらって、素材ももらって、あとは作ってもらう? そしたらもうフブキいらないよ? 

 俺自分で売っちゃうよ? 

 

「私に先生からアイデア受け取るなって言ったのアキヒロさんじゃん! そこの責任取ってよ!」

 

 仕方ない……

 

「──え、本当に持ってきたんですか?」

 

 なんだこいつ! (憤怒)

 




https://x.com/goldmg3?s=21
ツイッターです

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

  • いる
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。