【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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67_これが欲しいんやろ!?

「本当に持ってくるとは思わないですよね、だってあんなに文句ばっかだったし」

 

 そんなこと言ったら、この低反発素材あげないもんねえ!? 

 せっかくモンスターを苦労して倒して死体から採取した種から育てた木の幹を切り取って乾燥させたコレを! 

 

「いつ育ててたんですかそんな木……」

 

 3日ぐらいで育った。

 

「そんな嘘信じるわけないでしょ!」

 

 だっていつか低反発枕作ろうと思って狙ってたし。

 前からこういうのがあるとは知ってたから。

 

「──枕のためだけに狙ってたんですか!? ……じゃあ……何で……自分でやらないんですか?」

 

 そういうのはお前らがやればいい。

 俺は俺のやりたいことを追い求める。

 

「それが牛? はぁ……呆れた。筋金入りのアレじゃん」

 

 おっと、主体性を持っていると言ってもらおう。

 余計なことに首を突っ込んで時間を取られるのはごめんだっただけだ。

 

「アカネちゃん、どう思う?」

 

「…………」

 

「何で睨まれてるわけ? なんかした?」

 

「私は認めない!」

 

「はあ? どういうことなのよこれ。意味わかんないから説明してよ」

 

 俺の口から言えることは、良いから枕を作れっちゅー事だけだな。

 枕の作り方くらい分かるよな? 

 

「え? ……いや?」

 

 ホーリーモーリー……

 

「枕の作り方なんか知らなくても生きていけるし……チェンは分かる?」

 

「アタリマエネ。ドイテロ」

 

「ぐえっ」

 

 チェンの目の前には布と樹皮。

 ナイフを使って、軽くてふわふわの樹皮を捌いていく。

 この樹皮が取れた木が魔素を極限まで浴びるとあんなモンスターになるってんだから恐ろしいね。

 

「早く伐採してくださいよ!」

 

 そんな事したら枕作れなくなっちゃうじゃん。

 

「モンスター化したらどうするんですか!」

 

 無動物、無生物のモンスター化は相当条件が厳しいから、あんまりないよ。リヴァイアサンの攻撃の着弾地点近くだと魔素の濃度がすげー濃いからたまたま生まれただけだし。

 

「……じゃあ、私はどうやってその樹皮をとりに行けば良いんですか?」

 

 さっき裏庭に植えておいたよ。

 

「何でそんなことするんですか!?」

 

 一々セクターの外縁に取りにいくの大変だろ。

 

「そうだけど……そうだけど……!」

 

 チェンはあっという間に樹皮を加工して、いわゆる低反発枕の形に切り出した。

 豪語するだけあって流石と拍手を送ると、嬉しそうに微笑む──あら、かわいいわねこの子。アイドルにでもなってみる? 

 

「モウ、アイドルミタイナモノネ」

 

 それはそうか。

 店の出入りを見てみると、明らかに客層が二つに分かれている。チェンにケツを引っ叩かれるのが目的のやつと、フブキの顔を見るのが目的のやつだ。

 良い客層だな。

 

「どこが良いんですか! もっと品物買って欲しいんですけど!」

 

 そりゃあ、女の度胸見せてろ。

 男の100や200くらい、手玉に取ってみるんだな。

 チェンにおんぶに抱っこだぜ? 今のままじゃ。

 

「フン。ワカッテルネ、アンタ」

 

 世界は変わった。

 コレからも変わっていく。

 激動の時代が始まって、もっと揺る動かされるようになるぞ。その時、どれだけの人を味方につけられているかが生き残れるか否かを決める。

 

「──アキヒロさん一人でいいのでは?」

 

 残念ながら、俺の手は第一セクターまでは届かない。

 コマちゃんもあんまりここには来たがらないし……その理由もつい最近分かったしな。

 

「はあ」

 

 とにかく、枕を──

 

「デキタヨ」

 

 おお! これこれ! 

 じゃあコレもらってくから! 

 

「はあ!? 横暴すぎでしょ!」

 

「チャント、レビューシロヨ」

 

 もちろん。

 

「そもそも、そんな大量生産できるわけ──」

 

 はい魔石。

 

「え?」

 

 魔素を吸収すれば樹皮の回復が早まることはもう調べてある。その代わり、与えすぎると動き出すようになるから……魔石を根本に埋めたら樹皮をいっぱい剥がしてな。

 そうしないと成長しすぎて取り返しがつかないようになる。

 

「ええ!? ……ちょ、ちょっとこんなの受け取れないですよ!」

 

 どうせ他の人に渡す余剰分だから気にすんな。

 

「ま、まだ他にもパトロンやってるんですか!? この小金持ち!」

 

 人のことを馬鹿にするのも大概にしろな? 

 俺が何のために手広く関わってると思ってるんだ。

 こちとら色々やっどんねん。

 

「お兄ちゃん。私、その話聞いてないんだけど……?」

 

 アカネに言ってないことなんてごまんとある。

 母さんにも父さんにも言ってないことだっていちまんとある。

 ミツキ達に言ってないことはごせんぐらい。

 

「秘密主義すぎ! もっと信用してよ!」

 

 これは馬鹿にしてるんだけど、みんなに教えたところで何の役にも立たないだろうし教えたいとも思ってないんだ。

 

「馬鹿にしすぎだろ! この!」

 

 アカネ、分相応に生きような。

 

「このあんぽんたん!」

 

 

 ──────

 

 

「お兄ちゃん! あんないっぱい魔石あるなら私に分けてくれてもいーじゃん!」

 

 お前も成人が近いんだから、そろそろお兄ちゃ頼りの生活から抜け出そうな。このままじゃお婿さんにも逃げられるぞ。

 あ、そうだ。お前、デートとかで何でもかんでも買ってくれって彼氏にねだってたりしないよな? 

 

「ギクッ……な、なんでそれを……」

 

 これは俺が悪いな、うん。

 彼氏のみんなには俺から謝らなきゃいけないか……元カレだからいいや。

 母さん達と話しとかないとな。

 ここからはお小遣いも打ち切りだって。

 

「──な、何でもするから許してください!」

 

 働け。

 

「でも、もうバイトなんか雇う余裕みんな無いんだよ!」

 

 確かに、少し前は学生っぽい子達がバイトやってたけど最近は見ないような……あんまりセクターにいないから分からんけど。

 

「もっと世の中知った方がいいよ!」

 

 木ばっか見てても何も始まらんし、俺はどちらかと言えば求人出す側の人間だから気にしなくていいんだよな。

 

「ずるいよ! じゃあ私もお兄ちゃんのところでバイトする!」

 

 間に合ってる。

 最近はアリサとミツキを育ててるから、そのうち二人で十分になる。三船くん達も目標ができたから順調に育ってて……ハシュアーはあの暴走みたいなやつを若干使いこなせるようになったみたいだな。

 羨ましい限りだ。

 

 ただ、三船君達が少しだけ心配なんだよなあ。

 急いているようにも見える。

 

「お兄ちゃんが人のこと言えるの?」

 

 俺はやること圧縮しないと暇になっちゃうからいいの。

 

「要領良いですもんね〜」

 

 慣れてるだけな。

 まあ、それが通用するところも終わった。

 

「……大学なくなっちゃったの、残念だったね」

 

 何も残念じゃなくて。

 むしろ楽になったというか……残念だったのはミツキとアリサだな。

 同年代と交流できる貴重な場所だったのに。

 

「なんで? 残念じゃなかったの? お母さんなんかすごいガッカリしてたけど」

 

 永井先生がいなくなった時点で特に価値は感じてなかった。……久しぶりにこれ説明したな。

 

「永井センセーって……ああ、なんかいっぱい本書いてた人だっけ」

 

 失踪しちゃったからな。

 研究室も潰されて商工会に接収されたし──よく考えたら、物理的に大学が消滅したことを考えると吸収されて正解だったな。

 うん、やっぱ大学は重要じゃない。お金持ちの子供達の最終幼稚園だ。

 

「凄いこと言うよね……」

 

 人脈形成するなら良かったと思うけど、個人的に魅力があるやついなかったわ。

 

「なんで!? お金持ちと繋がってたら何かあるかもしれないじゃん!」

 

 お金持ち──そういうラインだけの話をするなら、ミツキがぶっちぎりすぎてお話にならないでしょ。一級探索者(コウキさん)がどんだけぶっ壊れてると思ってんだ。

 

「逆玉の輿ってこと? ……そんな感じしないけど……でも、そうじゃん! あー! なんでミツキさんに弟いないんだろー!」

 

 仮にミツキに弟がいたとして、なんでそれがアカネを好きになると思うんだい? 

 秀でた魅力もないのに。

 

「何でそんなこと言うの!?」

 

 俺はもちろんアカネが可愛いと思うけど、四門家に釣り合うバリューかって言われると…………

 

「最後まで言いなよ」

 

 ^^

 

「そんなこと言ったら自分だってそうじゃん! ちょっとレベル50になるのが早かっただけで、幼馴染で、小さい頃にいっぱい助けてあげただけじゃん! ……くっ!」

 

 まあ、真面目に生きてても良いことなんかないから程々に適当に生きるのが一番良いぞ。これはガチアドバイスな。

 アカネが頑張ってるのは知ってるから。

 

「…………生徒会やってて何がウザいって、お兄ちゃんと比べられたことだよ?」

 

 それは悪かったな。

 

「アイツは人の話を聞いてないくせにルールに精通してて本当に手が付けられなかったとか、本当に頼むから言うこと聞いてくれとか、正攻法で横から殴ってくるのやめてくれとか、俺たちより生徒の扱いに長けててムカついたとか、いっぱい言われたんだから」

 

 そっち方面か……じゃあいいじゃん。お兄ちゃんに比べて良い子で助かるみたいな感じだろ? 

 

「でもなんだかんだでアイツは仕事できたからなあ──で締め括られる身にもなってよ! そのレベルを求められる身にもなってよ!」

 

 うーん、それは俺のせいじゃないかもしれない。

 どうせ執行期間がちょっと先の通知の処理をギリギリまで残しといたりしたんだろ? 最初にやっちゃえば張り出すだけで良いのに。

 

「うるさい! もう終わったから良いの!」

 

 というか、大学行けるのか? 

 残ってる大学ってどこだっけ……今年受験だろ? 

 

「あーもう! 聞きたくない! これが最後の息抜きなんだから!」

 

 最後の息抜きをお兄ちゃんと過ごすな。

 何だそのチョイス、狂気しかないだろ。

 友達と遊ぶとかにしろよせめて。

 

「だってみんな大学なんか目指してないし……最初は目指してた子も、倍率高すぎて無理って諦めちゃった」

 

 来年以降なら大学も立て直してたりするのかね、物理的に。それってもしかして、俺の学籍も復活するってこと? 

 まあ戻る気ないけど。

 もう新しい環境で3人と過ごす方向性整っちゃったし、さようなら。

 

「勿体ないなあー……私の方がお姉ちゃんだったら絶対やめなかったのに」

 

 アカネがお姉ちゃんだったらお金がなくてそもそも大学に通えないのでは? 

 

「そこはアキヒロが稼いでこい! って命令するの! お姉ちゃんだもん!」

 

 はは。

 そういう生意気なこと言ってたら姉だろうが容赦なく叩き出してたと思うけどな。裸で。

 

「こわっ……絶対本気じゃん……」

 

 舐めてるやつは、許しを乞うて立場を理解するまで殴らないといけない。そうじゃなきゃ……男に生まれた意味がないだろ? 

 

「野蛮すぎだよ……」

 

 さて、街を堪能したし……帰りますか? 

 

「うん、ありがと。ケッコー楽しかった」

 

 そっか。

 それならまた来よう。

 

「いいの?」

 

 家族のためならそれくらい、安いもんだろ? 

 今度は母さんと父さんも一緒にな。

 

「うーん……」

 

 何で嫌なんだ!? 

 

「お父さんがいると何か起きそう」

 

 じゃあコウキさん達も連れて来れば良いか。

 

「全部拳で解決しようとしてない?」

 

 今更だな。

 探索者なんて職業についてるんだから。

 どれだけ稼いでようが、所詮は殴るしか能がないんだよ。

 

「……怪我、あんまりしないでよ? お母さんいつも心配してるんだから」

 

 アカネは心配してくれないのか? 

 

「…………お父さんは心配してなかったよ」

 

 アカネは? 

 

「うるさい! あの人にはさよならしなくて良いんだね?!」

 

 するだろそりゃ。

 

「──早っ!」

 

 本来は一泊2日の予定だったのをちょっと延ばしたから、むしろ遅い。そろそろ、あとちょっと! で誤魔化すのも限界が来た。帰ったらまたやらなきゃ行けない事もあるし……

 

「残りの魔石……ですか?」

 

 ああ。

 

「……ありがとうございました」

 

 ちゃんと稼ぐんだぞ。

 そんで、牛の情報は俺に横流しすること! 

 チェンも分かったな! 

 

「アイヨー、レビューマッテルヨー」

 

 連絡先は交換したので、抜かりなし。

 帰るぞアカネ。

 

「絶対お兄ちゃんみたいな人には引っかからないようにしよう……」

 




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