【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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73_これはゴミ

「うーん……これはゴミっw」

 

「ええっ!?」

 

「こんなの使えないよ。ほら、汁が下から垂れてるし」

 

 どうしてもというから一つだけ持って帰った黒キノコは使い物にならなかった。萎びてる上、キノコの分泌する筈の爆液も殆ど出てこない。

 初めてだから仕方ないけど、雑に扱ってたからな。

 

「……これ、そこらへんに植えたら増えないかなあ」

 

「ソレで仮に増えたりしたらセクターから追放されるよ!?」

 

「そんな大袈裟な!」

 

 大袈裟じゃない。

 キノコに侵食された街を想像してみろ。

 まともな生活できるか? 

 こいつ、なんでそんな突飛な発想ができるんだ。

 小学生と同等レベルの残酷さだったぞ。

 

「そんなことないよー!」

 

 心外だ! みたいな顔して怒ってるのが逆に怖い。

 本気で言ってたってこと? 

 

「こっちの低レベキノコは使えそうだから預かっちゃうね」

 

 言い方よ。

 

「それにしても、アリサちゃんとミツキちゃんが組んでも意外と上手くいくもんだねぇ〜」

 

「上手くいってる……?」

 

 アリサがそれに反応するのは当然だった。

 

「ほんっとうにたいへ──」

 

 ナナオさんが遠い目をし始めた頃、ようやくアリサの溜飲が降りたのか解放されていた。下手な口出しは厳禁だね。

 ミツキは三船君達と一緒にご飯を食べている。

 ハシュアーと楽しそうに何か話しているな。

 俺も混ざりたいけど、席が埋まっている。

 誰かを膝の上に載せていいなら全然、いけますけど? 

 

 けど? 

 

「消えて」

 

 透明感の強い少女に毎度のごとくバッサリ切り捨てられた。こうなったら地べたに座るしかない。

 

「あ、あの……僕、立ってますよ?」

 

 みんなを立たせるわけにいかないからなんとかしようと考えているんだけどね。

 

「椅子持ってくれふぁ?」

 

 口に物を入れながらのミツキの提案を取り入れてカウンター席を二つ借りた。

 ハシュアー達は仕事帰りということでいいのだろうか。

 

「はい!」

 

「モンスター倒してきた」

 

 どうやら、アンダーに挑戦してきたらしい。

 その調子で第二階層に行けるようになるといいな。

 

「そういえばディーンさんが第二階層のことで話があるって言ってました」

 

 一回しか行けてないし、そこら辺の話かな。

 流石に俺も一回だけで済ませようなんて考えてない。

 どこに──

 

「今日はもう帰るって言ってたので、次に会った時じゃないかなって」

 

 ありがとう。

 それにしても、三船君はほうれん草ができて素晴らしいな! 

 

「えへへ」

 

「アキ! わたひもできふひょ!」

 

 お前はまず食べながら喋るのをやめろ。

 お淑やかさはどこに行ったんだ。

 探索者に感化されるのが早すぎるだろ。

 

「ごくん……上辺なんか関係ないよ!」

 

 上辺すら取り繕えない人間が人間である意味ってなんですか。獣になりたいんですか。

 

「でも、ミツキさんの食べ方すごく綺麗ですよ」

 

「ほらぁ〜! レイト君こう言ってるよ!」

 

「あわわわ……」

 

 当たってますよ! 

 思春期の男の子に当ててはいけないものが! 

 

「…………」

 

 出てますよ! 

 殺気とか冷気とか、女の子から出ちゃいけないものが! 

 シエルが狂う前にやめて! 

 俺が被害被るんだから! 

 

「み、ミツキさん離して……」

 

「うりうり〜」

 

 三船君の反応はなんとも微笑ましいけど、流石の俺もイラッとした。覚えとけよ、ミツキ。

 

「こわ〜い! レイト君助けて〜!」

 

「──」

 

 シエルさんが漆黒の瞳を向けてますよ! 

 

「わっ、ご、ごめん……」

 

 俺の時と真面目さが違いすぎないだろうか。

 

「だ、だってシエルちゃん容赦してくれないし……」

 

 一つだけわかるのは、俺が舐められているということだった。

 

 アリサも合流して適当に肉を食っていたら別のセクターから流入してきた探索者に絡まれたので、ぶっ飛ばして飯に戻ったら仲間もやってきて大乱闘が始まった。

 まあ、俺の顔だけ見て低レベルだと侮っていた連中なので大したことはなかった。

 

 でもアレだ。

 実力主義の探索者の世界でも、プライドってもんはある。

 負けだからと言って尻尾を巻いて逃げるのは沽券に関わることだったようだ、少なくともこいつらに関しては。

 俺にどんだけボコられても立ちあがろうとするのは、かなりの気骨だ。

 

「なかなか男じゃないか? さっきのヤンキームーブさえなきゃ40点はあげられたな」

 

「くそっ……んだコイツ……」

 

「レベル30後半くらいで、パーティーレベルなら40? ちなみにドラゴンの討伐経験はおありで?」

 

「ピンピンしやがって……!」

 

 ピンピンも何も、あらゆる攻撃を肉で受ける必要があるから普通の探索者よりも耐久は高くなっているはず。彼らの攻撃は痛痒に達してない。

 

「てめえが例のカガミとかいうやつか!」

 

「発音が違うね。鏡じゃなくて加賀美」

 

 酒場でそのまま暴れるのもなんなので訓練所に来ていたけど、そろそろ三船君達が心配しているかもしれない。

 

「逃げんのか!」

 

「俺の可愛い弟達が待ってんの。お前らみたいなのに構ってあげられる時間はもう終わりなの、ごめんn──」

 

 扉を開けたら見覚えのある顔が。

 綺麗で、可愛くて、かっこいい顔だ。

 ケンカが気になってきてしまったのだろうか。

 当然、1人だけじゃない。

 みんないる。

 戦闘音で気付かなかった。

 相当こっそり来たなこれ。

 

「あ……えと……」

 

 聞かなかったことにしてもらおうか! 

 

「──」

 

 と言ったところで全てがなくなるわけもなく──道すがら、何度も振り返って俺のことを見てくる。

 何かを期待しているような瞳は、さながら散歩中の犬のようだ。コマちゃんはあんまりそういうことしないけど……犬はそういうもんなの! 

 

「えー……ふーん……レイト君達のことそんな風に思ってたんだね〜」

 

 子供とか孫っていうのは変だから弟って言ったけど、実際そんな感じの感覚だ。

 アカネと同じく手はかかるけど、素直な三船君。

 アカネと同じく手がかかって、ツンなシエル。

 手がかからなくて素直なハシュアー。

 列記するとこんな感じ。

 しかし、本人達に聞かれるのは気まずい。

 

 沈黙を選びましょう。

 

「ど、どんな感じなんですか?」

 

 沈黙は選ばせないと言いたいのか。

 すごくふわっとした質問を投げかけてきた。

 しかし俺は屈しない。

 

「どーせあれだろー? 顔が良ければなんでもいいんだろー? なんだっけ。あの……ロイス君! のこともそんな感じに思ってたんじゃないの?」

 

 カッコよければなんでもいいわけじゃない。

 俺だってちゃんと相手は選んでる。イケメンを見つけたら弟認定は怖すぎるだろ。

 

「怖いよ! あんた分かってないかもしれないけど、やってる事も言ってこともめちゃくちゃおかしいからな! ドワーフの俺だからハッキリ言うよ! やっぱおかしかったんだって! 最初からなんかおかしいって思ってたんだって!」

 

 俺が言ってるのは弟云々の話であって俺という人間そのものに対する評価は求めてない。

 あと、おかしいって言い過ぎだから。

 そんな連呼するほど積み重ねてないだろ、おかしいを。

 

「レイトさん言ってやれ!」

 

「え? え……別におかしくないよ?」

 

 三船君は微笑んだ。

 そうだよな、おかしくないよな。

 分かってる人はちゃんも分かってくれてるんだから。

 

 三船家に全員入らないよって言ってんのにミツキとアリサもついてきた。狭くない? 

 ソファーに入りきらないじゃん。

 

「あなたは立ってて。アリサとミツキはそっちの椅子に座って。私たちがソファー使うから」

 

 なんと、客人に対して全く優しくない。

 いつになったら俺に対するデレが出るんだろうか。

 そろそろ俺もシエルから優しくしてもらってもいいのよ? 

 

「…………」

 

 おおっと、凄まじく透明だ。

 俺のこととか一切見てない。

 もしかして壁見てる? 

 

「シエルちゃん、失礼だよ」

 

「勝手に人の家に押しかける方が失礼」

 

 正論スイッチ『シ』──シエル。

 

「もー……僕が立つから、加賀美さんが代わりに座ってください」

 

 それは遠慮します。

 

「え──ぼ、僕のお尻汚れてないよね?」

 

 そんなことは気にしてない。

 というか、三船君をどかしてまで座ろうとは考えてないし、シエルの隣に突っ込むのは自殺行為だ。

 

「おやつ置いとくね〜」

 

 ミツキは今日の依頼で得た金を早速使っている。

 お金使いが荒いのねん……

 

「アキの方がよっぽどだよ! 買えない時以外値段見ないじゃん!」

 

 俺は金使いが荒いんじゃなくてお金に縛られてないだけ。

 もっと大事なことがあるから。

 

「私だって、みんなが喜ぶかなー? って思っただけだもん!」

 

 稼いだ金を使い切る勢いでお菓子とかを買うのと、探索に必要な物資が高いからお金が減ってくのは意味違うだろ。

 

「そもそも、前から私がアキのお家の家計管理してたみたいなもんじゃん! ご飯とか!」

 

「人の家で喧嘩しないで」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 あーあ。

 

「アキのせいじゃん!」

 

 何しに来たかといえば、最近の三船君達の調子を確認しに来た。

 

「ほら! そういうとこがおかしいって──」

 

「落ち着こうね〜」

 

 三船君ありがとう。

 えーっと……そう、つまり今回はどんなことしましたかーって聞きたい。

 

「依頼は──」

 

「ふむふむ」

 

 今回は討伐だったらしい。

 レベル高め──17くらいらしい──のワームが多いから、それを減らすために頻繁に依頼が出されているんだそうだ。

 正直、10前半くらいまでは誤差みたいなものだ。

 あんだけ大きい生き物が動いてたらシンプルに危ないけど、レベル的な脅威は少ない。

 

 しかし口は挟まない。

 当人達からすれば至って本気だし、命の危険に挑んでいるのだから。

 それに、口に出すことで多少は今回の反省点も洗い出されるだろう。

 

「ハシュアーがさっきボーッとしてたのは、あの力を使って疲れちゃったからなんです」

 

 依然代わりなく、暴走の力は探索に大きく寄与しているようだ。しかし、気絶まではいかなくとも疲労は激しいと。

 つまり、体力不足が目に見えている。

 

「そうなんです。でも体力ってどうやって養うのかわからなくて……」

 

「ご飯いっぱい食べよう」

 

「シエルちゃんはこればっかりなんです。でも、ご飯食べると動き辛いし、いっぱい食べてるんですよ今だって」

 

「もっと食べればいい」

 

「そんな食べてもハシュアーが動けないって言ったでしょ?」

 

「甘やかしすぎ」

 

 子供の育成方針に悩んでいるみたいだ。

 しかしご飯を食べることは根本的な解決とはいえない。

 

「どうやったら伸びるんですか?」

 

 ズバリ、いっぱい走ることだ。

 

「もう十分走ってるって! 今日はこれ以上走れないって! 師匠にも散々走らされてるって!」

 

 じゃあ鍛えてはいるのか。

 それでダメってなると、根本的に間違ってるってことじゃん。

 力を使っても問題なくするんじゃなくて、力を使わない方向にシフトしよう。

 

「え……」

 

 なんでそんなことを……みたいな目で見られた。

 しかし考えても見て欲しい。

 パワーアップは確かに魅力的だけど、デメリットを減らす方が大事だ。ハシュアーの力に頼らないと勝てないなら、そもそも戦い方が間違っている可能性が高い。まずは少しレベルを下げた相手に挑んでみるとかいいんじゃないかな。

 

「おお! すごくまともだ!」

 

「確かに……腹立つけど」

 

「意外といいこと言うじゃん! レイトさん、そうしようよ!」

 

 俺って実はバカにされてるのかな……

 

 




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