【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「よお」
「やあ」
本日はお日柄もいいな。
女の子はいないのか今日は。
いつも女の子と一緒だろ。
「別に……いつも一緒にいなきゃいけないとかないし。そっちこそ今日は女連れじゃねーか」
「女でーっす」
ピースピースとテンションが高い。
ディーンと大事な話をしたいんじゃよって言ったら付いてくることになった。外出の時は一緒って言ってたもんね……
場所はディーンの家の庭。
布団を干しているところだった。
霧の中で干すと腐ると思うじゃん? でも、最近は霧も薄くなってきたし、次の季節が近い。
『声』だ。
空や風に大きな特徴はないけど、どこからか声が聞こえてくる季節。
不眠でテストの点数が落ちたなんて話もよく聞く。
生まれた年によっては最悪だな。
「また下に行きたいからさ、一緒に行ってくれよ」
好評につき、リピートいただいております。
三船君達に散々付き合わせてるから、これは仕方のないことなんだ。アリサ、わかってくれるね?
「……私あんまり知らないんすけど、ディーンは信頼できるんすよね?」
背中を預けるのは実力的にちょっと厳しいけど、人格的には信用してる。
探索者の民度を考えれば、俺に挨拶を返してくれるだけで褒めるに値するよね。
「うーん、確かに……じゃあ私も一緒に行きますけどいいですよね?」
うーっ!
どーだろうね!
「モンスターからは守れるだろうけどよ。万が一あそこの濃度の魔素溜まりに突っ込んだらやべえんじゃねえか? その身体見るに……変異しやすいんだろ?」
魔素溜まりに突っ込んだらまずいのはあーた達もそうだし、オイラだってまずいかもしれない。
つまり、否定する材料としては弱い。
「じゃあなんだよ」
アリサを危ないところに連れて行くのがシンプルに嫌っていうね。だってダンジョンだよ?
「その話するなら、もっと早いタイミングがあるだろ。探索者になる前とか」
「いや、出会った時には既に探索者やってたし」
「そもそもなんで第二階層について行きたいんだ?」
「ヒロさんが好き勝手に出掛けすぎだから」
「え?」
ディーンは意味がわからないのか首を傾げていた。
当事者じゃないとわからないよな、分かるわ。
「せっかく家大きくしたと思ったら一ヶ月もいなくなっちゃうし……あの赤い雲があった時の話だよ?」
「ああ……そういえばそうだったな」
「ディーンは他人事だからいいかもしれないけど、家族からしたらそんなふうに言ってられないからね!?」
「……それで?」
「だから、私たちが3人で交代しながら監視してるってこと!」
「ことって言われても……マジで?」
見てください。
これが真相を知った世間の反応ですよ。
「俺がドン引きしてるのは、そこまでしないと止まらないお前だよ」
「そうだよ! 世間様はヒロさんじゃなくて私たちの味方だからね! 女の子放って旅ばっかしてるってひどいんだから!」
「味方……でも、それでダンジョンに付いて来られて何か起きたらどうすんだ? 確かに心配なのは分かるけどよ、うちに迷惑かけるのは違うんじゃねえか?」
「…………」
「仕事とそっちの事情は分けてくれよ。そもそも、好き勝手ってのは旅の話だろ? 今回は俺たちに付き添いで来てくれるって話なわけなんだから、好き勝手なんかしないだろ」
その通りだ。
引率の立場として、俺には生徒をきちんと導く義務がある。そういう場面でふざけたり自分の好きなことを優先するほど腐ってるつもりはない。
「そういうわけだからアリサは待っててくれや。まだ実力的には早いだろ?」
第二階層は大体レベル20〜40が行く場所だ。
第一階層最強のタイラント──よりも強いモンスターがいる。
タイラントは単体の戦闘力のみで第一階層のトップにいるので、実際のところ第二階層でも通用する程度の存在ではあるけど、やっぱり第二階層からは質が違う。
求められてるものが増えるんだよね。
「…………」
「アリサ、これは本当に約束する。変なことしない」
「…………信じます……けど……うーん……」
「うーんってなに?」
「……いや! 信じます! 私はいい女なので!」
本当にいい女だから困る。
「ディーン! ちゃんと監視してね!」
「無理だろ……でもまあ、頑張るわ」
──────
俺たちは第二階層の入り口、これまでと比較すると壁がちょっと紫かな〜? ってところに来ていた。
「第一階層だけでも長いのが嫌なんだよな……」
前回同様、3人は既にやや疲れ気味だ。
ダンジョン内の移動で丸一日だから仕方ない。
そして前回同様にヒナミはまだ余裕がある。
大楯を背負っての前線戦闘に慣れていることもあり、基礎能力が一番高いのだろう。
「うんうん、いいね。ちゃんと鍛えられてる」
「ありがとうございまーす!」
「やっぱりいいなセイバートゥース」
「え?」
「俺、礼儀がなってる子が好きなんだよね」
「あー……そんな感じするかも」
ケイはまだ俺のこと若干嫌ってる節があるけど、ヒナミとシオリはなんだかんだで普通に対応してくれる。
ちなみにケイ──弓使い。
ヒナミ──盾使い。
シオリ──小剣使い兼アイテム使用担当兼警戒。
ディーン──槍使い。
本当にバランスが取れているというか多人数戦闘前提の編成な気がする。
……俺、やっぱり複数人で戦うの覚えた方がいいのかな。
今後同レベルのやつとパーティー組むってなった時に今のままじゃ我がぶつかりそう。時には自我を消し去る勢いで命令を遂行するマシーンになることも大事だのな、サラリーマンでなくとも。
「でもアレだよ? 私たちはディーンのものだから……気持ちには応えてあげられないかも?」
「……かーっ! 残念!」
軽い小芝居も挟みつつ、ヒナミにも休憩を促す。
余裕があるからと言って、疲労がゼロなわけではない。
誤差でもないものが彼女の体にもしっかりと蓄積されているだろう。何せここまでに2回戦闘を挟んでいる。
俺は戦ってない。
そもそも4人だけでここまで来られることは大前提の話なので、手を貸すべき場面じゃないんだよね。
ちなみに最初の戦闘でタイラントがいた。
大きなツノがカッコええんだ。
「嫌なこと思い出させないで……」
推奨レベル20だからレベル20の探索者なら誰でも倒せるかというと、それは違う。
食べるための戦いではなく戦闘者としての戦いをやつらは覚えている。なぜかと言えば、そういう生態だからとしか言いようがない。タイラントの幼体達が争って、強いやつだけが蛹化して羽化することができる。
だから、パーティーレベル23だか24だかでも単純に倒せるわけじゃない。実際苦労してた。そもそもパーティー内の最高レベルがヒナミのレベル22だしな。
そもそも、推奨レベルが20でも個体ごとの誤差がある。レベル18の個体だっているだろうし、レベル25の個体だっているだろう。
「あのツノのやつ嫌い〜……」
地面に角を突き刺して身体を揺すり、地震を起こすとかいう大技がある。岩盤ごと崩れることもあるので、防がないといけない。それを防げなかったせいで長引いた。
他にもツノから雷撃を放ったりするので、マジで第一階層にいるにしては強すぎる。顔も怖いし。
「でも倒せたんだから十分だぞ」
「そうだけど……加賀美さんがいない時だったらもう撤退だからね?!」
「今はそれでもいい。少しずつ強くなっていけばいいんだから」
「おお……」
疲れてるんだから仕方ない。
何もなければ2日3日平気で動ける探索者も、全力戦闘を2回挟んだ上で数十kmの移動があれば沈黙一辺倒だ。
「んぐぅ……んぐぅ……」
苦しそうに歯軋りしているケイの近くで焚き火を焚くと、幾分か柔らかな寝顔になる。前回、あまりにも煩かったから緊張をほぐす香木を買って来たんだよね。
俺もこんなことするとは思わなかったけど、ヒナタが良い匂いだって喜んでくれたから採用した。
しかし、俺だけが火の番をするわけじゃない。
こういう状況でも俺がいないことを前提に立ち回ってもらう必要がある。
まずはヒナミが番だ。
「全然疲れてないよね……」
「これでもレベル50だからな。そもそも戦ってないしへっちゃらだよ」
「…………私たちもレベル50になれるかな」
無駄口を叩いてるわけじゃない。
何もしてないと眠くなるばかりだからな。
話し相手くらいならいくらでも。
「真面目な話、レベルには壁があるらしいじゃん。どんな感じなのか知ってる?」
「いや、俺は壁とかは……」
探索者をやってて、レベル上がりづれ〜wって思ったことない。そもそも魔素が吸収される感覚もよくわからんし、いつのまにか強くなってる感じ。
日向達の家で何かがあって、それで一気にレベルが上がったのはイレギュラーだけど……それ以外だと特に何もわからない。
「凄いなあ……一級の探索者になる人って加賀美さんみたいな人なんだろうね」
「いや〜……」
「違うの?」
「俺にもダメなところがあってさ」
「……なんだろ………………分かんない」
しょぼしょぼと話している。
頭があまり回っていないのは確かだ。
火の番の本番でそんなことしてたらモンスターとか盗賊が来ても気付けないけど、今はいいだろう。
「俺、異能がないんだよね」
「──あっ」
どうやら、眠気が冷めたらしい。
「武器とかコマちゃんとか、外付けっていうの? そこら辺は割とと揃って来てるんだけど……俺は点でダメ」
「そっか……なんで異能がないの?」
「異能に関して完全に解明されてるわけじゃないから俺の持論なんだけど──」
強い感情の励起が異能や肉体の変異をもたらすってのが俺の見立てだ。
だからアリサは力を手に入れた。
それに、ピンチに陥った時に異能が手に入るってのは有名な話だ。あながち間違ってないと思う。
「あー……ピンチか…………」
「ほら、寝るな」
「──あ、うん」
「ヒナミは異能持ってるんだっけ?」
「いちおー、武器が手元に戻ってくるイノーはあるよ」
凄い羨ましい。
一応で済ませて良いものじゃないほど便利だ。
どんな探索者だって欲しいだろ。
「確かにアレも、ピンチだったな…………ど、どうしたの?」
「悔しい……虚しい……辛い……」
レベル50にもなって、なんで俺は生身と武器だけで戦っているんだ……!
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
-
いる
-
いらない