【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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83_関係性は未だ変わらず

「──ふわあああ! すごいすごい! すっごいよ!」

 

「こんなにすごいのできちゃうんだ……」

 

「…………」

 

 飛び跳ねるミツキ。

 驚きから呆気に取られているアリサ。

 ヒナタは無言だが、腕組みをし、人差し指の腹で腕を叩いている落ち着きのなさからして興奮しているようだ。人目さえなければ今にもはしゃぎ出しそうな予感があったので、早速入ってもらうことに。

 男女風呂で各4人くらいまで入れるようにしたので問題ない。最初は3人娘+早苗ちゃんだ。

 シエルとテマリさんには待ってもらうことにした。

 

「う゛あ゛あ゛……」

 

「ぬ゛ぅ゛ん……」

 

 湯船に浸かると、自然と声が漏れる。

 ちなみに今のは先に体を洗い終えた三船君とハシュアーだ。

 俺も遅ればせながら湯船に全身を沈み込ませる。

 

「ふ〜……うん、悪くないな。2人は大丈夫か?」

 

「熱いけど熱すぎなくて、ちょーどいーです……」

 

「うおおん……」

 

 ハシュアーは湯に溶けていく。

 どうやら相当気に入ってくれたようだ。

 

「あんまり熱すぎても入る人が嫌だろうから、調節してもらったんだ」

 

「もうちょっと温かいのに入りたいなーって思ったらどうすれば良いんですか?」

 

「そりゃあれだよ。そこので調節すりゃ良い」

 

 ご丁寧に青と赤で色をつけてくれたので分かりやすい。

 

「これ、なんですか?」

 

「青が水で、赤が熱いの出るから。温くしたかったら青、熱くしたかったら赤な」

 

「へー……今はいいかな」

 

 そして温泉と言えば──

 

『あ゛〜』

 

『うわーい! 久しぶりの温泉だ〜!』

 

『はしゃぐんじゃねえよ……』

 

 壁越しに聞こえる声も乙やね。

 

「え……ええ……!?」

 

「ぶくぶくぶく」

 

 ただの板張りに遮音性などあるべくもない。

 俺たちの声も筒抜けだっただろう。

 もう少しプライバシーの観念が進んだ世界だと色々言われるかもしれないけど、ここならなんの問題もない。

 それに入るのは家族か親密な知り合いだけだ。

 

「気まずいですよ……!」

 

「ぶくぶくぶく」

 

 確かにアリサ達の入浴時の会話を聞くの気まずいか。俺もシエルが入ってる時は入らないように気をつけようかな。

 ここは一つ、気を逸らせそうな話を。

 

「最近はいい感じ? レベルとか上がった?」

 

「上がりました!」

 

 それはよかったと言いたいところだったけど、もう一つ前から気になっていたことがあった。話題をぶった斬るようで悪い気はするけど、今を逃したら言えないだろう。

 

「…………おもってたんだけど、別に敬語じゃなくていいぞ?」

 

「え──」

 

「いやっ、ほらっ、俺たちも2年目に入るじゃん? いつまでも敬語だと距離あるし……全然、嫌ならいいんだけど……」

 

 なぜこんなに緊張するのか理由は分かってるけど、分かったところでどうしようもない。関係性を変えようとするのはいつだって心に緊張が走るものだ。

 

「──わ、わかりま……わかった」

 

 神妙に頷く三船君の姿に、タイミングを間違えなかったことを確信した。

 

「レベルアップ、おめでとう」

 

「ありがとうございます! …………じゃなくて、ありがとう?」

 

「そうだな」

 

「う、うーん……違和感があるんですけ──あるんだけど……」

 

 そのうち慣れるだろう。

 いつまでも敬語のままじゃ寂しかったしな。

 こっちの方が嬉しい。

 それに、以前から気分が高ぶってる時なんかは敬語が外れてたんだから、そこまで突然すぎるわけでもない。

 

『おーい、アキヒロいんのかー?』

 

「三船君とハシュアーもいるぞ」

 

『お、そ、そうか……』

 

 なんか変なことを言おうとしていたらしい。

 先に牽制しておいてよかった。

 

「湯加減どうだ?」

 

『そこそこだな』

 

『もーちょっと熱くてもいいかも!』

 

『これ捻ればいんじゃない? ……つめたー!?』

 

 ワイワイとはしゃぐのは数分も経てば収まり、う゛〜だのあ゛〜だの言うだけになってしまった。

 

「わふ……」

 

 コマちゃんもいつの間にか現れて温泉を満喫している。犬は温泉とか行かないけど、コマちゃんは普通に好きだよな。ロイスんちがアレだし。

 

「わふ……」

 

 特に意味のない犬の息漏れ。

 コマちゃんからしても温泉というのは素晴らしいもののようだ。泉質を確認してくれた時も協力的だったしな。

 

「うおーん……」

 

 暫く入って体も温まったので出ようとしたら、向こうはまだ入るという話が壁を越えてきた。シエル達が待ってるんだし、温泉もちょっと詰めればあと2人くらいいけるだろ。

 

「まだ出てきてないのに良いの?」

 

「待ちくたびれたろ?」

 

「……うん。でものんびり入りたいから待つ」  

 

「そか」

 

 本人がそう言うならいいんです。

 テマリさんも一緒に待つらしいので、暇つぶしがてらコマちゃんを置いていくことにした。

 不服そうだけど拒まない。

 俺たちは早く家の中に入らせてもらうよん。

 

「──はあ、家の近くに温泉があるの……いいですね!」

 

 おっと。

 

「あ……い、いいね!」

 

 b

 

「なんか、すっごく慣れなくて変なん……だけど……」

 

「そのうち慣れるよ」

 

 少し経ったら、なんだか部屋がジメジメし始めた。

 あれ、おかしいな。さっきはタイミングを間違えなかったことを確信した(キリッ)とか思ってたのに。

 

「……前のままでも僕は別に……距離とかなかったのに……加賀美さんは、あったんだ……」

 

 大慌てで弁明した。

 シエルとかのフランクな口調と比べた時にどうしても距離がな〜? みたいな。

 そろそろ敬語取っても良いかなーみたいな? 

 でも三船君的にはやっぱり敬語が一番慣れてて、親しみも込められるらしい。

 よく分かんないけどそうらしい。

 

「別に……良いけど……」

 

 とんでもなく不貞腐れているようで、俯いて頬を膨らませている。顔を見ようとしても背中を向けられて何もできない。

 別に悪いことはしてないので謝りようがない。

 結局、三船君のやりたいようにしてもらうことにした。

 俺の意見よりは本人の意見の方が大事だよな。

 

 ──き、きまずい! 誰か早く風呂から戻ってきてくれ! 

 

 心の叫びも虚しく、やってきたアリサ達は俺たちの間で視線を左右させると無視して台所に向かってしまった。関わる気なさそうで、時折顔を覗かせるだけ。そのまま料理の匂いが漂い始めた。

 そんなところに、また少し経ってやってきたのは──

 

「会話が下手」

 

「ぐっ……」

 

 まさかシエルにそんなことを言われるとは思わなかった。

 去年はぶっちぎりでシエルが会話下手ランキング第1位だったのに。

 

「レイト、お茶飲む?」

 

「……うん」

 

 なんとなく、さっきまでのやり取りが尾を引いているのを感じる。やっぱり、歳上がいきなりあんなこと言っちゃダメだったか……でも何処かで言わないと何も変わらないじゃないか! 

 緊張だってしてたのに……また今度、あと3年くらい経ったらもう一度オファー出してみるか。

 

「そうゆうの、デリカシー無いってやつだよ」

 

 妙な言い回ししやがって……お前なんか初対面で三船君に探索者やめろとか言ってただろうが! 俺のこともズタボロに言ってたし……それは良いんだけど、シエルよりはずっとデリカシーがあると思うぞ。

 

「レイト、どう思う?」

 

「…………シエルちゃんの方がデリカシーある」

 

 飯を食べ終えると、なんとなしに解散の雰囲気が漂い始めた。最後に三船君に一度だけ謝ると、ちょっとむくれつつも許してくれた。

 やっぱりご飯の力は偉大なんだ! 

 

「まさか数日で温泉ができるとは思わなかったね」

 

「職人がいればこんなもんだろ」

 

「そっちじゃなくて」

 

「どっち?」

 

「アキが家にいるようになってから数日でってこと」

 

 人のせいにするな──と言いたいところだけど、あの岩をひっこぬけるのは俺だけなので必然的に俺が直接の原因ということになる。

 ヒナタがあんなこと言わなきゃ……

 

「私のせいにすんなよ。岩切るだけで済ませときゃよかっただろ」

 

 なんとも冷たい。

 自分だって原因の一つのクセに……

 

「まっ、温泉が増えたんだからいーじゃねえか。これからは風呂使わずに温泉入りゃいいわけだし」

 

「お肌スベスベになった気がするもんね! ヒナタちゃん!」

 

 温泉に対して肌がどうとか、正直な話をすると期待したことはない。そんなことより普段の生活リズムの方がよっぽど大事だ。

 しかし、生活リズムの中に温泉が入ってくるとなると話は変わる。あるのかしら、効果が。

 4人はあるに決まってるみたいな態度だけど。

 

「──肌ですか? よくわかりませんね」

 

『娘』だけは全く気にしていないようだ。

 確かに君の肌は常にスベスベだもんね。

 ドラゴニアだからかい? 

 

「そうなんですかね」

 

「興味ないな」

 

「よく分かりませんし……それならもっと面白いこと知りたいですけど」

 

「なに?」

 

「いっぱい交尾してるのに、なんで子供できないんですか?」

 

「…………」

 

「……あ、もしかして隠してたんですか?」

 

「いや……隠してたわけじゃないけど、わざわざヒトに言うことじゃないというか……」

 

「じゃあ私には教えてくれても良くないですか?」

 

「ドラゴニアなら良いとかじゃなくてね」

 

「はあ、まあ別に良いんですけどなんでなんです? 子供」

 

 なんでと言われましても。

 

「卵がなかなかできない番はドラゴニアにもいたので、そういうのかなって最初は思ったんですけど……3人ともってなると違うのかなって」

 

 ドラゴニアにも不妊とかあるんだ。

 

「片方が発情期じゃない時に交尾するとそうなる事があるっておじいさまが言ってました。でも、あなた達っていつも発情期ですもんね」

 

 なんだろうね、この全く否定できない感じ。

 

「家の近くに来ると、いつも匂ってくるんですよね。流石に頻度が高いというか……まあ、メスが多いから仕方ないんでしょうけど」

 

 なんかごめんなさい。

 でもメスって言うのやめてください。

 

「メスとオス、何も変ではないですよ? あ、でも気になってた事があって…………なんでいつも夜なんですか? 昼とか朝じゃなくて、夜な理由がわからなくて」

 

「あー……」

 

 夕飯の後の性教育きち〜w

 




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