【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
温泉を作ったからって生活が大きく変わるわけじゃない。ただ、興味本位で観に来る住民が増えるだけだ。
それも家族専用という看板を見ると帰る。
ジジババはそれに対して文句を言いにわざわざノックしてくるけど、石ころを持って粉砕しながら応対するとにこやかに帰っていく。
お利口さんだね^^
「態度良くないよー……近所付き合いとかあるんだし、少しくらい良いんじゃないの?」
「バカ、何言ってんだダメに決まってんだろ。1人良いって言ったら次から次へ湧いてくるんだぞ」
「うーん……ヒナタちゃんの言う通りなのかなあ……でもなあ……」
「落ち着けよ。そんな優しくしたところでなんも返ってこないぞ」
「でも、ヒナタちゃんは返してくれるでしょ?」
「なんの話だよ」
「高校生の時、落とし物拾って渡したことあったじゃない? あのあと、お菓子置いてくれたのヒナタちゃんでしょ?」
「…………知らねー」
「その言い方は覚えてる人の言い方です〜」
「うるせーな! 知らねーっての!」
懐かしい高校生時代の話に花を咲かせる2人。
最近、アリサも合わせて3人の仲が深まっているのを感じる。仲が良いと本当に安心するよね。
しかし、3人よれば姦しいとは本当に良くぞ言ったものだ。
「昨日は激しくて疲れちゃった……」
「もうちょっと静かにしてくださいよ。私、寝るまで時間かかっちゃったんですから」
「そんなこと言われても自分でどうにか出来るわけじゃないし……やっぱり前は色々我慢してたんだろうなあ。無理しちゃってたんだね、ムフフ……私の魅力の前では我慢なんて無駄だよね!」
「いや、それなら高校生の時点でだろうし…………普通にストレス溜まってるんじゃね?」
「「それだ!」」
俺もいるんですけどねえ。
3人いたら他の人間なんて見えなくなっちゃいますわよね。
まあいいですよ。
俺は武器防具の手入れでも続けますよ。
最初は何をすれば手入れなのかすら分からなかったけど、続けてると損耗が激しい箇所が見えてくる。そこらへんのバリを取ったりひっついたゴミをとったりするのが手入れだ。
錆を取る?
武器を研ぐ?
分解清掃?
あのさあ……俺は使う人間であって直す人間じゃないの。そういうのはヴォルフガングみたいなむさいやつに任せとけばいーの!
「ヒロさんはどう思います?」
「え?」
「夜じゃなくて昼間ってのも良いのかもねって話」
──あ、温泉のこと? 確かにまだ夜しか使ってないけど、栓を開ければ昼間だって当然に使える。俺が作ったから遠慮してたとか?
「いいと思うぞ」
「…………ふぅ〜ん」
何をニヤニヤしてんだ。
温泉好きすぎるだろ。
「まあ、ヒロさんが良いって言うならいーですけどお?」
「俺が良いとかってより、そもそもみんなのだからな。好きに使ってくれていいんだよ」
「…………なんすか?」
「え?」
「誘ってるんすか?」
「はい?」
温泉に?
……確かにアリサと一緒に入るのも良いかもしれない。あの長い尻尾を温泉で好きなだけ揉み洗いしてみたいというのは、人類共通の夢のはずだ。
「こっちこいっ」
「えっ、ちょっ」
道具もなんもかんもおざなりにして部屋に引き摺り込まれた。予想外に強い力で腕を引っ張るものだから、驚きで講義もまともにできなかった。
それでいて、何故かその場で抱きしめられる。
温泉わい。
「動かないでください」
言われた通りにしていると、服を剥ぎ取られてベッドに倒された。このままいきなりかと待っていたら、神妙な面持ちで見つめてくる。少しだけ真面目な雰囲気だ。
「昨日のあの子との話、聞いてました」
というと、どれの話だろう。話題は一個ではなかったので、具体的に言ってほしい。
「赤ちゃんの話です」
暗に、お前種無しやんwって言われた話のことであってるだろうか。
「それはちょっと穿ち過ぎだと思いますけど……多分その話です」
「あれがどうかした?」
「種無しとかは絶対に思わないですけど、確かになんでかなって。その……結構シてるのに私たちの身体に何も変化ないなってみんなで話したんです。2人で話してるのが聞こえてから」
「あー……」
「だから──」
「へ?」
「がんばりましょ?」
パクッと。
「くぅ……くぅ……」
「そんなすぐに解決するもんでもないだろうに…………」
先程までニャアニャアと鳴いていた姿はどこへやら、静かに寝息を立てている。愛しさもひとしおだ。
「まあ、なんか探しますか」
俺の精神はともかく、肉体は間違いなくこちらの世界のものだ。その肉体が不全なのだとすれば、どうしようもないとしか言いようがない。
数撃ちゃ当たるはずなので一層励むか、だけど義務的にやると良くないよな。
こういうの詳しい人いないかな。
「──で、なんで俺が呼ばれたんだよ。話も聞かせずに」
やってきて早々に文句を垂れながらソファーに深く体を沈み込ませる。早苗ちゃんの出したお茶を啜って器をテーブルに戻す。不機嫌そうに見えるけど平常運転。
偉そう過ぎやしないだろうか。
「俺が偉くなかったら誰が偉いってんだ?」
「強かったら偉いってのはちょっと……まあ、良いですけども」
「おいやめろ。バカみたいだろ俺が」
リアルな話をすると、人類の生存権を強大なモンスター達と戦いダンジョンを潰すことで直接的に確保してきたコウキさんはシッカリと偉いわけだが、それをわざわざ言う必要もあるめえ。
「はいはい! リヴァイアサンと対話できる方が偉いですよね〜!」
おっさんの拗ね顔に誰が興味あるというのだろう。
さっさと本題に入りたいので無視した。
「──子供ができない?」
やっと真剣な顔で取り合ってくれた。
流石に娘のことだもんな。
「うむむ…………探索者と普通の人間で子供が産まれないってのは……お前も知ってるだろうが、無い話じゃねえ」
「ええ」
探索者の肉体の変容が生殖器にまで及んでしまうと、純人間と子供を成すことは難しくなる。そんなに変容が進んだ状態で子供が欲しいと思えるような理性を保っているかは別としてな。
「でも、お前みたいな──俺たちみたいに身体の形を保ったままなら普通に子供は作れる。まあ俺がミツキこさえたのはレベル高い時じゃなかったけどな」
肩を竦めて言うあたり、コウキ自身の体験はあまりアテにならないということだろう。
「誰か知らないですかね。探索者で若くてレベル高くて男で姿保ってて子供いる人」
「いねーよそんなの」
高位探索者なら全員と繋がりあるべ! みたいなことを自慢げに言ってた記憶があるんだけど。
「いや、それは……」
「イキってただけ?」
「……ちょ、ちょっとは」
「はあ……」
「何溜息ついてんだよ! お前だって探索者の知り合い少ねえだろ!」
「だからこうして頼りにしてたんですけどね」
「…………探索者が相手探したとて、普通のやつには避けられるし、見つけたとしてとすぐ死ぬしでムズイからな。お前がおかしいんだよ高頻度高難度で生き残るなんて……そりゃあ、できれば誰だってそうしたいに決まってんだ」
俺が優秀なわけじゃなくて、そういう層が探索者になるという事でしかない。知識が力になる事すら知らないし想像もできないような人間には、ダンジョンが金の湧いて出る泉か恐怖の象徴かのどちらかとしか思えないだろう。
「へっ……見上げた野郎だ! 謙虚さも探索者No. 1だな! そりゃあ女にも囲まれるってもんだ!」
「それを言うなら、俺が女を囲う側じゃないですかね」
「はあ? どう考えてもお前が囲い込まれてんだろ。自分の状況思い出してみろよ」
「…………なるほど」
言い得て妙とはこのことか。
流石に脳細胞の強度も違うらしい。
モヒカンも二度と治らないしな。
「なんだその目、どこ見てんだ? お? やんのか?」
「いいから子供できる方法教えてくださいよ。強制排卵薬とかないんすか?」
「何言ってんだ!? わけわかんねーしなんか言葉の響きがこえーわ!」
子供が積極的に欲しいわけじゃないけど、ミツキ達が欲しいなら作るのもやぶさかじゃない。
俺が原因で出来にくいなら出来るまで頑張ればいい。
俺が原因で普通には出来ないって言うなら、薬やらなんやらを頼るのが早い。
「…………そんなんで子育てできんのかよ」
「あのね。子供のおしめなんて何度変えたと思ってんだ。孫のだって変えたぞ。なんならミツキのだって──」
「聞きたくない! もういい! やめろ! お前の性生活の話なんか聞きたくない!」
昔、ミツキがお漏らししちゃった時の話をしているわけだが何を勘違いしているのだろう。このすけべ親父は本当に気持ちが悪い。気持ち悪いのでさっさと知恵を絞って欲しい。
「だーっ! うっせーな! そんな言われても出てこねーよ! 俺だって知りてーわ!」
「……そういえば、そろそろミツキの家族が増えるって話はどうなったんです?」
「…………」
「妹でも弟でも、増えるなら良いことじゃないですか」
「……そ、そうか?」
「ええ」
「…………た、たぶん出来たんじゃないかな……と」
「つわりが来ましたか」
「ああ」
まさか先を越されるなんてなあ。
え? じゃあこのタイミングで出来たら同い年の叔父と姪、的な? ややこし……
「早く俺たちも孫の顔見てえしよ、よく分かんねえけど頑張ってくれや」
一級探索者がよく分かんねえとか言い出したら誰にも分からねえだろ。頑張るけども。
頑張るかあ……いや、頑張るんじゃ無理だな。
もうちょっと調べよう。
明らかに当たらなさすぎ。
俺の遺伝子が雑魚すぎ乙じゃないことを前提にな。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない