【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「どうします?」
「当然行くさ」
ガサッと物音がした。
振り向くと、方目さんが慌てて立ち上がっていた。
「いくって……あそこに?」
「そうだよ」
「モンスターがいるのに……?」
『ブモォォォォォオオオ』
「ほ、ほら……やめときましょ?」
「ふむ、君の懸念も分かる。あれはナワバリを主張する鳴き声だ」
ヒクヒクと頬を引き攣らせ、崖上でこちらを睨みつけるオポッサムを指差す。
だが、その程度で帰るなら何故こんな場所までやってきたのかがわからなくなってしまう。
「大体……私も永井さんも、探索者ではないじゃないですか……?」
「そうだね。だけど、新鮮な資料が私を待っているんだ」
受付をやっているからこそ。
モンスターとの戦いでどれだけの人間が死んでいるかを身近に知っている彼女だからこそ。
真人間がモンスターと正面から相対することの愚かさを良く理解している。
食べてくださいと言っているようなものだ。
普通ならば。
「じゃあ、加賀美君が戦ってくれるの……?」
……ああ、なるほど。
「永井さん、どうやら彼女は若干正気を失っているようですね」
「わ、私じゃなくて君たちでしょ!?」
先生に目を向けると、頷いていた。
「うん、初めて来たから仕方ないね」
「探索者と普段から触れ合っている人だし、常識はずれなところがあるので大丈夫だと思っていたんですが……そんな事は無かったみたいですね」
「そんな事を言うものじゃないよ。私だって初めてモンスターと正面から見つめ合った時は、恐怖でおかしくなってしまいそうだった」
「……そうですね」
「君の──いや、なんでもない」
「…………」
「方目さん、これを飲みなさい」
永井先生は小瓶を取り出すとそれを手渡した。
不満タラタラの怪訝な目をしつつも、彼女は指示に従って中身を飲み干す。
「ぐえっ」
女性が出してはいけない声を発したぞ。
どれだけ不味いんだ。
「に゛……に゛か゛い゛……」
とんでもなく苦いようだ。
良薬は口に苦しと言うからな。
「な゛に゛こ゛れ゛……」
「脳水晶の髄液だよ」
「う゛え゛え゛」
喉を抑えて、手を伸ばしている。
水が欲しいらしい。
リュックから水筒を取り出して、手渡した。
「んぐっ、んぐっ、んぐっ……ぶはぁっ!」
豪快な飲みっぷり。
半分ほど飲まれてしまったかもしれない。
「うん、うん、大丈夫そうだね」
「…………なにが!?」
半ギレで先生を睨む。
先生は、軽くそれを流した。
「神の領域に入ったならば、常に監視されている事を理解しなければならない。これはすでに説明したね」
「そうですけど!?」
「うん。君は今、神様からの影響で少しだけ精神に異常をきたしていたみたいなんだ」
「──え?」
何を言われたのか脳みその中で反芻しているのだろう。
口を半開きにして、目をグルグルさせている。
「可能性としては説明したと思うけど……中々見極めは難しいね」
「彼女が疲労していた事も関係しているんですかね」
「それは確かにあり得そうだ」
「そうでなきゃ、モンスターと戦うなんてアホな事言うわけないですもんね」
「うん」
チラッと方目さんの様子を伺うと、頭を抱えていた。
余程苦かったのだろう。
「だけど、彼女は割と耐えている方だね。君島くん達は入り口で発狂していたし」
「あー……」
研究室の仲間を思い出す。
今回の手伝いで着いてくる学生達を選ぶ時、みんな目を伏せていた。
同級生は自分なら大丈夫と着いてきて、漏らしたり吐いたり全裸になったり奇声を上げたりしていたからな。
これからも哀れな新入生が一回は挑戦するんだろうな。
永井先生は、気を落とすなと肩に手を置いた。
「方目さん、恥ずかしい事じゃない。誰もが一回は……あー……通る道だ」
「…………」
なんだその涙目は。
俺のフォローでも求めてるのか?
先生のありがたい言葉を聞いたんだから、これ以上は必要無いだろうが。
「加賀美君、ここは一つ……」
しょうがねえな。
……えーと、何言おうかな。
「…………方目さん、俺も最初は全身から血を噴き出してのたうちまわったので気にする必要無いですよ」
「はぁぁ……」
んだよお!
アンタがフォローしろっつうから頑張って捻り出したんだろお!?
やれやれみたいな顔すんなよお!
先生なら生徒のフォローしろよ!
フォローのフォロー!
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない