【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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60_すれ違う人に白い目で見られる男

「いっぱい取れたねえ」

 

「取れましたねえ」

 

「なんだかんだで方目さんも手伝ってくれているし、今回は大成功だよ」

 

 ポンポンと背嚢を叩く。

 なによりも、アンチェンドワームの排泄物を手に入れられた事が嬉しいに違いない。

 

「ウンチだらけ……」

 

「方目さん本当にありがとう、助かったよ」

 

「どういたしまして……コレ、匂い落ちますよね……?」

 

「ちゃんとお風呂に入れば落ちるさ」

 

「服は?」

 

「…………わはははっ!」

 

 手が増えた──ということ以上に、方目さんを連れてきてよかったと思う。

 懐かしい。

 昔の、初々しかった方目さんが少しだけ戻ってきたような気がした。

 出会った当初はもう少し堅かったし、言葉遣いも丁寧だった。

 

 ──おっと、永井先生に置いてけぼりにされるところだ。

 思い出は心にしまっておこう。

 

「どーかしたの?」

 

「いえ、なんでもないですよ」

 

「嘘だぁ」

 

「俺が嘘なんかつくわけないでしょ」

 

「嘘つきはそう言うんだよ!」

 

「……ほら、荷物貸して」

 

「あ、ありがとう…………って、誤魔化すなぁ!」

 

 再び歩くこと20分。

 既に資料集めは終わっているが、どこかを目指していた。

 当然、わかっている。

 この世ならざる景色というやつを目指しているのだ。

 

 受付として探索者の相手をしていては味わえない世界。

 大学生が飲み会をしていても、髪色が変わる子をいじめても、学校から逃げても、社会に出て働いていても。

 人間の営みの全てを網羅しても、見たことがなかった世界だ。

 

「…………うわぁ」

 

「ここは精霊の泉と名付けた場所だ」

 

 単に美しいだけならば。

 俺だって色々なものを目にしてきた自信はある。

 

 コレはそうじゃない。

 ここは、人為的だとか、自然豊かだとか、そういう話をできる場所ではない。

 人間によって調整されたものは美しいし、自然が生み出した奇跡というのもまた美しい。

 ならばコレは、きっと神が調整して生み出した奇跡なのだろう。

 

「そうだね、その解釈は概ね合っているんじゃないかな」

 

「すごい……臭くなければ完璧だったのに……」

 

「それはすまない」

 

 クリスタルがあちこちに露出しており、内部から仄かな光を見せている。

 方目さんがクリスタルに触れた。

 触れた部分は指の形に淡い光を発し、小さな光の粒が空気中に放たれる。

 光粒の先を追った。

 

 空中に浮かんだクリスタルに粒が吸い込まれ、ランタンのように辺りを照らし出す。

 大小様々な塊が浮いていた。

 クリスタルにはガジュマルやパキラのような植物が根を張り、相互の間隔を保ちながら泉を取り囲んでいる。

 

 暫くポケーっと見ていた状態から、慌てて端末をいじり出した。

 

「写真写真……」

 

「方目さん、写真はダメですよ」

 

「あ、そだっけ」

 

「一応ね」

 

「そっかぁ……お母さんたちに送ろうかなって思ったんだけど」

 

 絵ならいいらしいけどな。

 目に焼き付けて帰るんだよ。

 

「──うん、美味しい」

 

 永井先生は畔にしゃがみ込むと、手で水を掬ってそれを躊躇なく飲んだ。

 

「よくこの状況で飲めるね……」

 

「慣れてますから」

 

「臭くて味なんか分からないでしょ」

 

「飲んでみたら?」

 

「……衛生基準とか大丈夫?」

 

「少なくとも俺たちはお腹壊したことないですね」

 

「…………じゃあ、少しだけ」

 

 恐々とカップで泉の水を掬う。

 ジッと、中を見つめているのは虫でもいないかと気になっているのだろう。

 やがて腹が決まったのか、口元に近づけた。

 チビッと口に含み、喉を通す。

 

「──おいしい」

 

「でしょう?」

 

「うん、持ち帰りたいかも」

 

「それくらいなら良いんじゃないですかね」

 

「そりゃそうだよね、だってウンチ持って帰ろうとしてるもんね」

 

「ははは」

 

 まぁそこはね、永井先生の長年の功績というか。

 

「水筒に入れちゃお」

 

 ゴポポポと空気が抜け、代わりに泉の水で満たされていく水筒。

 こうして、今回の試料採取は大成功に終わった。

 

「──うわ!? くっさ! 出てけ!」

 

「ミツキさん! そんなこと言っちゃ──くっさ!」

 

「お兄ちゃん家入ってこないで!」

 

「ガルルルルルル」

 

 せめてコマちゃんは味方してくれよ……

 家までずっと一緒だったじゃんよ……

 そもそも俺の家じゃんよ……

 

 ──なんで君たち集まってんの? 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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