【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「それでは……本題に入りましょう」
「お願いします」
「今回は17体です」
「同時に?」
「はい」
「…………わかりました」
何を隠そう。
俺が何をしにきたかと言えば、モンスター退治をしにきた。
相手は黒いモヤモヤだ。
大きさはバランスボールくらい。
名前は無い。
秋川さんは「穢れ」とか言ってたけど。
宗教的な問題もあるのかもしれない。
神様の土地に現れたやつだからな。
商工会も名前とかつけられなかったんだろう。
まあそんなわけで、黒いモヤモヤを倒す仕事なんだけど……
『──────―』
「はい、終わり」
マジで楽。
もう本当に楽。
俺は何もしない。
山の中を歩いていると近付いてくるから、体当たりしたら消える。
綿菓子みたいな奴らだ。
俺は一応まっくろくろすけって呼んでる。
違いは、触れられても黒くならないってところだ。
「大丈夫でしたか……?」
「大丈夫、なんもないよ」
「ほっ……」
毎度、藪の中に入っていく時にロイスがめちゃめちゃ不安そうな顔してる。
昔、まっくろくろくすけとかに襲われてたところを助けたから、トラウマになっているのかもしれない。
ミツキと夏祭りに来て、俺だけ山に迷って遭遇したんだよね。
詳細は省くけど、ロイスが女だったらあの時は間違いなくヒロインだった。
実際はヒーロー枠だけど。
神様に仕える一族とかいう厨二病垂涎モノの枠。
親父さんに報告すると、深々とお辞儀をされた。
「助かりました」
「何もして無いですから」
「……本当に、助かりました」
近場の──というか、雇いの探索者とかができないんだよな。
わざわざ毎回ご指名だ。
秋川家の秘密だから、部外者に漏らすわけにはいかないんだとよ。
俺も部外者の括りからは外れていないと反論してはみたけど、例外らしい。
すでに一回遭遇したからだろうな。
ソフィアやロイスの顔を偶には見たいから、全然問題無いんだけどね。
「それで、コマちゃんの様子は……」
「少しだけ太りましたね」
「少しだけ太った」
「ええ、ミツキとアリサ……あーと、知り合いがご飯を良く作りにくるんですけど、甘やかすんですよ」
コマちゃんもコマちゃんで俺が気付かないうちに、料理してるあいつらの足元に行ってご飯をねだる。
ドッグフードの減りが遅いのなんのって。
獣医に見せると数値も体重も健康そのものだっつうから良いんだろうけど。
「元気なら良いんです」
「えぇ」
そうだね。
……さて! お仕事おーわりっ!
「今日は泊まっていってください」
「そうします」
「部屋はいつものところです」
「うぃ〜、お茶淹れますねー」
「どーぞ」
先ほどまでから一転、弛緩した空気が流れる。
真面目な空気はここまで。
モンスターだの神様だのなんてのは、この世界のただ一つの要素でしか無い。
オ、オデはこの世界を楽しむんだな!
この神社は凄いんだな!
夜はでっかいホタルが清流から空に飛び立って、空に浮かぶ神樹をライトアップなんだな!
俺はそれを縁側で見るのが好きなんだな!
「〜〜〜♪」
風呂上がり、縁側で麦茶を飲みながら鼻歌を歌っていた。
時間が溶けるように過ぎていくのを感じる。
ミツキと少しだけ通話をして再び神樹へと目を戻すと、ペタペタという足音が近付いてきた。
「──先輩!」
「よう、風呂上がったか」
「また見てるんですか?」
「何度だって見るさ」
「俺は子供の頃から見てるから慣れてるっちゃあ慣れてますけど…………でも、綺麗ですよね」
「うん、本当に綺麗だ」
きっと秋川家にとっては、これが原風景なんだ。
羨ましい──とは言わない。
これだけの名家だ。
色々としがらみも多いのだろう。
だけど、それを乗り越えてここまで生きてきた。
それは敬意を払うに値する生き様だ。
俺みたいな根っからの庶民とは違う。
想像すらできない人生。
そもそも神社の子供として生まれるってどうなんだ。
世間一般的な尺度として幸せなのかどうかすらわからん。
「先輩……」
「ん?」
「月が綺麗ですね」
「んぶっふ!」
「せ、先輩!?」
麦茶を飲んでいたから思いっきり咽せてしまった。
「えほっ! おえっほ! えほっ、えっほ!」
「大丈夫っすか?」
「…………大丈夫だ、うん、大丈夫」
「気管に入っちゃったんですか」
「そう、そういうこと」
びっくりした。
そういう事じゃ無いとは理解しているけど、流石にな。
……でも、そうか。
やっぱり月は綺麗だよな。
そうだよな。
みんな同じことを思うんだよ。
俺と変わらないんだ。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
-
いる
-
いらない