【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「……少し痩せた……な……?」
「はは……」
少し会わないだけで、三船君は以前にも増して元気を失っていた。
前も細っこい感じの身体に見えたが、より一層、そう見えて仕方がない。
力無く笑う顔。
中性的なイケメンが台無しだ。
足取りもおぼつかない彼は、説明する必要がないくらいに弱っていた。
ほのかな香水の匂いだけが、生気というものを感じさせる。
「……来てくれてよかったよ」
「そう、ですか……」
ふらついてしょうがないので、近くのカフェに入った。
フラフラと歩いているのが見ていられなくておんぶでの移動だ。
「…………」
街中でおんぶ。
抗う気力すらない原因は明確だった。
一々聞く必要も無い。
とりあえずプリンを頼んだ。
「……いただき、ます」
スプーンを持つ手すら頼りなく、ゆっくりと食べていく。
義手を買った日、帰りの時にはすでに様子がおかしかった。大丈夫というから一旦様子を見たけど、まさかここまでとは。
「…………」
一言も発しなかった。
三船君はシンプルに体力がなくて。
俺は特に話す必要性を感じなくて。
でもプリンを食べ終えると、律儀な三船君は口を開いた。
「ありがとう……ございます……」
「……うん、一旦うちにこようか」
「…………?」
「タクシーが来たら、行こう」
「……はい」
覚悟を決めたような顔で頷いた。
「そんな緊張しなくてもいいから」
「…………」
悟ったような、どこか諦めたような雰囲気を感じる。
変なことを考えてるのは分かった。
『んでなあ! この間女優の那須幹子がなあ! 乗ってなあ! もうえらい可愛くてなあ!』
「……ふぅ」
タクシーに乗っている間も、運ちゃんのよく分からん自慢話を聞いているのかいないのかよく分からない様子だった。
アンニュイにため息をつき、自分の腕を掴んでいる。
何を思っているのか、さっぱり分からない。
彼が成人なら高級ソープにでも放り投げるところだが。
家に着くと、御船君は改めてため息をついて入り口の扉を見つめる。
「いらっしゃい、三船君」
「…………お邪魔します」
「うん」
玄関ではコマちゃんがお行儀よく座っていた。
「ただいまコマちゃん」
「…………わふ」
「は?」
……お前、マジ?
ジックリと三船くんの様子を見てから、そう問われた。
何のことかわからず見ていると続ける。
「わふ」
殺されるぞ?
続けて物騒な質問が飛んできて流石に顰めっ面をしたが、質問自体は黙殺した。
三船くんの前だしな。
「うちの番犬のコマちゃん」
「……よろしく、コマちゃん」
「わん」
哀れな──
そんな不躾なことを言う悪いワンコを睨みつけると、そそくさとリビングに逃げていく。
「取り敢えず、手を洗おう」
外から帰ってきたら手洗いうがい。
当たり前だな?
さっきはプリンを食べただけだったので、アリサが作りおいてくれていたスープを温めた。
「……わん」
つくづく縁も業も深いやつだ……なんて言われても、なんのことだか分からん。
今日はやけに饒舌だ。
機嫌でも悪いのだろうか。
「あったかい……」
「美味しければおかわりもあるからな」
「はい」
アリサは金髪や元ヤンという性質に反して、意外と薄味の料理をする。
俺は嫌いじゃないぜ、こういうの。
歳を取ると濃いのがキツくなるからな。
慣れ親しんだなんとやら、だ。
人工肉のウィンナーやら、よく分からん野菜やらを入れてあるので、お腹にも溜まる。
家庭の味だ。
あーんして食べさせてもらったから間違いない。
「……」
食べながら、こっくりこっくりと船を漕ぎ始めた。
食べたら眠くなる。
当然だ。
「…………すぅ……すぅ……」
「限界、か」
何も解決していない。
三船くんを取り巻く環境は何も変わっていない。
俺は義手を買っただけ。
この子が大切な家族を失ったという状況は、依然として変わらない事実だ。
大人だったら仕事やら何やらやる事が多くて、ゆっくり悲しむのも後回しになったりするものだが、この子はそういうのがない。
ダイレクトに悲しみを受け入れなきゃいけない。
当然、そんなことは酷も酷。
色々限界なのだろう。
起こさないよう、そっとベッドに運んだ。
「う…………」
とても、穏やかな寝顔とは言えない。
悲しそうで、苦しそうだった。
コマちゃんを呼んで、そばに座らせる。
良い匂いがするから多少は落ち着くかもしれない。
「わふ」
コマちゃん、頼むぞ。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない