【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
一人用のソファーに座り込み、肘をつく。
ミツキと二人で撮った写真が壁にかけられていた。
小学生の時のものだ。
コウキさんを含めて3人で遊園地に遊びに行った時に、ミツキが恥ずかしそうにおねだりをしたので撮った。
4回くらい撮り直して、やっとまともな構図になった。
自分からおねだりをしたくせして、俺の背中に隠れたり、目を閉じていたり、撮り直すたびに俺はポーズを変えた。
声を掛けたのは俺からだったが、いつの間にかミツキが隣にいるのは当たり前になっていた。
ミツキが死んでしまったなら、それはとても悲しい事だ。
胸が張り裂けるような想いをするだろうし、コウキさんに死んで詫びないといけないかもしれない。
──それだけだろう。
三船くんのように消えそうな笑いを浮かべることは、きっと無い。
これでも、それなりに生きてきた。
親の死。
友の死。
ペットの死。
自分の死。
……子供の死は経験しなかった。
生き物。
生きているモノ。
対角線にある概念である以上、死とは切っても切り離せない。
それは崩されない事実だ。
だけど……この世界で俺だけは、死が終わりでは無いと真に知っている。
商工会の職員や歴戦の探索者のように、死に慣れたのとは違う。
二度と会えないのは悲しくても、別の場所で元気にやっているだろうと思うだけで少しは心が軽くなる。
だから、三船くんに本当の意味で共感してあげることができない。
今更ながら、俺は本当にこの役目に適しているのか疑問が浮かび上がってきた。
だけど、その心中を吐露できるのはコマちゃんだけだ。
一度引き受けた以上、そして子供の命がかかっている以上は責任は取る。
できないことはコマちゃんにやってもらうしかないな。
「ふぅ……」
コマちゃんを拾ったのはロイスんちの山だ。
穢れをぶち殺した時に山に入った時、段ボールに入っていたのを拾った。
スコティッシュテリア。
かつてのイギリス原産の犬。
昔から賢い犬だった。
小型犬といえばよく吠えるというイメージだけど、コマちゃんは語尾にエクスクラメーションマークがつくような吠え方は基本的にしなかった。
吠える時は、含みを持たせる。
猟犬だったからダンジョンに連れて行くことを決めた。
賢いんだからいけるだろうと踏んでいたからな。
そして──予想通り、コマちゃんは魔素に順応した。
変身能力を手に入れ、雄大な狛犬の肉体に変貌することが可能になった。
獅子の強い牙、馬のように逞しい脚、白い毛並み、まるでかまいたちの如き素早さ。
普通にモンスターです、本当にありがとうございました。
とまあ冗談は置いておいて、コマちゃんはアリサよりも長く俺と一緒にダンジョンに潜っている。
先輩ってわけだ。
順応はぐんぐんと進み、肉体の強化だけに飽き足らなかった。
ある時、コマちゃんの言っていることがなんとなく分かるようになった。
それはきっと、コマちゃんが苦労していたからだろう。
言葉が伝わらないのは不便だと、思っていたからだ。
翻訳されて伝わってくるわけじゃ無い。
言葉に込められた気持ちや意味が、ダイレクトに脳に入ってくる。
俺以外には分からないっぽいけどな。
何が言いたいかというと、俺はコマちゃんを信頼してる。
三船くんに対して俺が言葉で励ましを行ったところで、薄っぺらいものになるだろう。
俺が横で寝ていたところで恐怖でしか無い。
俺は彼に対して、長期的な働きかけしかできない。
だけど、コマちゃんならアニマルセラピーができる。
そう!
動物との触れ合いとは癒やしなのだ!
…………きっと、今はそれで良いんだ。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない