【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
それは、なんでもない筈の一言だった。
大学生なのにダンジョンに潜っているなんていうのは、殊更に私たちの大学では珍しい事だ。
会話のタネになるのは必然だった。
ダンジョンに潜っている人の話にみんなが興味津々。
どんな怪物と戦っているのか。
怪我はしないのか。
身体能力はどれくらいなのか。
そして……どれくらい稼いでいるのか。
ビールで口を湿らせてからアキは答えた。
「えーと、先月が80ぐらいか」
それをあっけらかんに言っちゃうアキもアキだけど、みんなも普通、それ聞く?
女の子2人の目が一瞬で輝き出したよ。
そして──
「うわぁ! カガミくんってお金持ちなんだね!」
「金持ち? いや、金持ちはコイツだろ」
「……ま、まあミツキちゃんはお家がね? でも、カガミ君は自分で稼いでるんでしょ!?」
「カッコいいなー!」
「あ、そう? ありがとう」
何あの顔。
女の子にちょっと煽てられたらニヤニヤしちゃって。
男の子たちは面白くなさそうだけど。
「80って……ヤバすぎだろ……」
「バケモンだ……」
そんな声が聞こえてきた。
訂正させようとして、膝を触られた。
それは当然、隣にいるアキの仕業。
顔はエミ達の方を向いてるのに。
「拓也、お前もやってみるか?」
「えっ」
「良いバイトになるぜ?」
「い、いや〜……俺はちょっと……」
「えー! 良いじゃん、拓也君行ってみなよ!」
煽る女子達に、成川くんは少しだけイラッとしたみたいな雰囲気を漂わせた。
それでも表面上は取り繕っている。
「一応1人だけなら連れて行けるんだよ。どうだ、お前も男ならやってみないか?」
「お、男とか女とか関係無いというか……」
「……まあ、興味が無いなら良いか。なら、2人は?」
「「へ?」」
アキは結局、男子3人に声を掛けて全員から断られていた。
そこからお酒を飲む量が増えたと思ったら、ダル絡みを始めた。
やれ魚には腕が無いだのビルは浮かないだの、意味の分からない事を言う。
「ったく、男のくせに根性ねえなあお前ら」
「根性っていうか、命が大事なんですけど……」
「ああん? 命を捨てる覚悟も無い奴が何になれるんだ?」
空気中を、青くて細い電流が走ったような気がした。
そんな思想を持っていたという事を、私も初めて知った。
命を捨てる覚悟。
確かにモンスターがどこから湧いてもおかしく無いとは言われているけど、実際にそんな状況になった事は無い。というか、その状況に出会した事は無い。
そんな危険な場所だと思って生きてきたって事?
「お前らは焼肉を食べたくないのか?」
「はぁぁぁぁ……結局それかぁ……」
「うわ、加賀美くんって本当に牛肉が好きなんだ」
思わず頭を押さえた。
真面目な話が始まるのかと思ったら、いつものに繋がった。
酔っててもこれって……本当に、頭が痛くなる。
というか、酔ってるのかな。
「ねえ加賀美くん、牛肉ってそんなに美味しいの? ミツキちゃんはあんまり変わらないって言ってるけど」
「こいつ金持ちだから、あんまり分かってないんだよ」
「そ、そうなの?」
チラッとこちらを見てくるサークルメンバー達。
当然、反論の余地しかない。
「アキは牛肉食べた事ないんだから、絶対私の方が分かってるよ」
「それはどうかな」
「いや、無いでしょ」
「このビールに賭けて、俺はお前より牛肉を食べた事があると答えよう」
「しょぼっ」
そんな安酒賭けられたところで、なんにも感じない。
私のことを舐めているのだろうか。
……本当は酔ってないでしょ!
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない