【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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8_これくらいじゃあ酔えないぜ

 それは、なんでもない筈の一言だった。

 大学生なのにダンジョンに潜っているなんていうのは、殊更に私たちの大学では珍しい事だ。

 会話のタネになるのは必然だった。

 ダンジョンに潜っている人の話にみんなが興味津々。

 どんな怪物と戦っているのか。

 怪我はしないのか。

 身体能力はどれくらいなのか。

 そして……どれくらい稼いでいるのか。

 ビールで口を湿らせてからアキは答えた。

 

「えーと、先月が80ぐらいか」

 

 それをあっけらかんに言っちゃうアキもアキだけど、みんなも普通、それ聞く? 

 女の子2人の目が一瞬で輝き出したよ。

 そして──

 

「うわぁ! カガミくんってお金持ちなんだね!」

 

「金持ち? いや、金持ちはコイツだろ」

 

「……ま、まあミツキちゃんはお家がね? でも、カガミ君は自分で稼いでるんでしょ!?」

 

「カッコいいなー!」

 

「あ、そう? ありがとう」

 

 何あの顔。

 女の子にちょっと煽てられたらニヤニヤしちゃって。

 男の子たちは面白くなさそうだけど。

 

「80って……ヤバすぎだろ……」

 

「バケモンだ……」

 

 そんな声が聞こえてきた。

 訂正させようとして、膝を触られた。

 それは当然、隣にいるアキの仕業。

 顔はエミ達の方を向いてるのに。

 

「拓也、お前もやってみるか?」

 

「えっ」

 

「良いバイトになるぜ?」

 

「い、いや〜……俺はちょっと……」

 

「えー! 良いじゃん、拓也君行ってみなよ!」

 

 煽る女子達に、成川くんは少しだけイラッとしたみたいな雰囲気を漂わせた。

 それでも表面上は取り繕っている。

 

「一応1人だけなら連れて行けるんだよ。どうだ、お前も男ならやってみないか?」

 

「お、男とか女とか関係無いというか……」

 

「……まあ、興味が無いなら良いか。なら、2人は?」

 

「「へ?」」

 

 アキは結局、男子3人に声を掛けて全員から断られていた。

 そこからお酒を飲む量が増えたと思ったら、ダル絡みを始めた。

 やれ魚には腕が無いだのビルは浮かないだの、意味の分からない事を言う。

 

「ったく、男のくせに根性ねえなあお前ら」

 

「根性っていうか、命が大事なんですけど……」

 

「ああん? 命を捨てる覚悟も無い奴が何になれるんだ?」

 

 空気中を、青くて細い電流が走ったような気がした。

 そんな思想を持っていたという事を、私も初めて知った。

 命を捨てる覚悟。

 確かにモンスターがどこから湧いてもおかしく無いとは言われているけど、実際にそんな状況になった事は無い。というか、その状況に出会した事は無い。

 そんな危険な場所だと思って生きてきたって事?

 

「お前らは焼肉を食べたくないのか?」

 

「はぁぁぁぁ……結局それかぁ……」

 

「うわ、加賀美くんって本当に牛肉が好きなんだ」

 

 思わず頭を押さえた。

 真面目な話が始まるのかと思ったら、いつものに繋がった。

 酔っててもこれって……本当に、頭が痛くなる。

 というか、酔ってるのかな。

 

「ねえ加賀美くん、牛肉ってそんなに美味しいの? ミツキちゃんはあんまり変わらないって言ってるけど」

 

「こいつ金持ちだから、あんまり分かってないんだよ」

 

「そ、そうなの?」

 

 チラッとこちらを見てくるサークルメンバー達。

 当然、反論の余地しかない。

 

「アキは牛肉食べた事ないんだから、絶対私の方が分かってるよ」

 

「それはどうかな」

 

「いや、無いでしょ」

 

「このビールに賭けて、俺はお前より牛肉を食べた事があると答えよう」

 

「しょぼっ」

 

 そんな安酒賭けられたところで、なんにも感じない。

 私のことを舐めているのだろうか。

 ……本当は酔ってないでしょ!

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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