【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「あ、あの……」
「なんですかね」
「こんな場所で火を焚いても大丈夫なんですか?」
「大丈夫かどうかは死んでから決めようぜ」
「ええ……」
「冗談冗談、この場所は空気足りなくなる事ないから」
「…………はは」
加賀美さんの冗談は面白くない。
感謝はしてるけど、そこだけは間違いない。
「中国産だろうがなんだろうが、ウナギがいつでも食べられるって幸せだったのね……ほろり」
よく分からないことを言っている。
焚き火に、串刺しにしたウナギの肉を掲げて物憂げに焼きながら、ウナギとアナゴがどうとか。
アナゴは何?
「ウナギって、どんな味がするんですか?」
「えウナギはお前そりゃあ……ウナギだよ」
「近い味とか……」
「逆だろ。ウナギに近い味があるだけで、ウナギは何かに近いわけじゃ無い」
「いやいやそんな」
「………………あーあ、寂しいなぁ」
「──加賀美さん?」
「なーんちゃって」
「…………」
背中を向けていて顔も見えないけど──冗談めかして言っていたけど。
本当に少しだけ、声が沈んで聞こえた。
背中もいつもより、小さく見えるような……
だけど、そんなのは錯覚だった。
「そろそろ焼けるから、こっち座りな」
すぐにいつもの雰囲気に戻り、明るい声と顔で焚き火のそばへと誘う。
腰を下ろすとお皿が二つ。
自分の前と、僕が座ったところの前に一つずつ。
こんな余計なものを持ってきていたなんて。
「お皿なんて持ってきたんですね」
「皿は大事だぞ、飯に彩りと格を加えてくれるからな」
「でもここ……ダンジョンですよ?」
「役に立っただろ?」
「…………」
焼いたウナギが、半分に切られてお皿に盛り付けられた。
本当に大丈夫かな……毒とか。
「血抜きしたし、焼いたし、何の問題もない」
「うぅ〜……」
さっきまであんなに大きかったモンスター、ノーズイール。
1代目のモンスターを倒したら元の姿に戻るのは当たり前だけど、それを食べるのはちょっと……
勿論スーパーにだって売ってるし、僕だってそういうお肉とか野菜を食べた事はある。
でも……なんかちょっと……あれだよ……
あと、あんなに大きくて恐ろしかったモンスターと綱引きをして何事も無かったように振る舞う加賀美さんは、やっぱりちょっとおかしい。
……僕が研修生だからなんだろうけどね。
「いただきまーす」
「あっ」
そんなどうでもいいことを考えているうちに、目の前でウナギを口まで運んでしまった。
「──ううん! うまい!」
「…………」
「くっそ、醤油がなぁ!」
膝をバシバシと叩きながら、どんどんと口に入れる。
10mから1mくらいに縮んだけど、それでも十分な量のはずのウナギが見る間に消えていく。
お皿と加賀美さんの口の間で目が行ったり来たり。
加賀美さんは、そんな僕を見て苦笑いした。
「いいから食べなって」
「じゃ、じゃあ一口だけ……」
加賀美さんは演技をしているようには見えなかった。
それに焚き火で焼いているとき、脂が滴ってとても美味しそうだった。
小さく切って、口に運ぶ。
実はとんでもない味という可能性もあるから、うん。
「……どうぞ?」
「いただきます………………っ!?」
口に入れた瞬間、淡白な舌触りを感じた。
味も、とてもあっさりしている。
それなのにジューシーで、噛むほど脂が溢れてくる。
思っていたゲテモノの味とは程遠い。
正統派な旨みが口の中を支配した。
「もいひぃです!」
「だろ?」
「こんな美味しいもの…………」
その続きを言う事はできなかった。
心中に浮かぶ皆んなの顔。
途端に、甘さすら感じていた口の中が苦味に変わった気がした。
「…………」
「まぁ、とりあえず食べちゃいな」
加賀美さんは、少し悲しそうな顔で言った。
申し訳なくて、言葉が出てこなかった。
「…………」
口に運ぶと、やっぱり美味しい。
僕がこれまでに食べたことのある食べ物の中で一番だ。
でも……そうじゃない。
僕は、みんなと一緒にこれを食べたかったのに。
何で1人なんだろう。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない