【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
ブリンク。
そう呼ばれる有名な現象がある。
加賀美明宏と三船黎人がやってきたマスダンジョンもブリンクを引き起こすことで知られている。
では、ブリンクとは?
明滅を意味するその単語が表すのは。
存在の消滅。
そして、別の場所への出現。
完全な座標転移であり、ブリンクそのもので死ぬ事はない。
その現象が最初に確認されたのは……天まで続くビル群からなるダンジョン、その最終到達地点。
第二期の世界に成り変わってから40年後のことだった。
魔素の濃度が高いことによる空間の歪みがワームホールを開いているのだとか、神の権能だとか、ダンジョン自体の意思によるものだとか、さまざまな憶測は飛んでいる。
ブリンクを使うと本来の自分は死んで、コピーが別の場所に現れるのではという懸念を耳にすることもある。
しかし、その現象が有用であるならば。
人々の心配の声をよそに、探索者はブリンクを受け入れた。
転移した先が即死級の環境で無いならば、そこを整備して、次に向かうべき場所の拠点として活用する事ができる。
ブリンクするのは決まった場所で、ブリンクポイントと呼ばれる。
マスダンジョンの特異なところは、ブリンクポイントが多数存在する事だ。
ダンジョンに入るのにブリンクが必要で、ダンジョン内で移動する為のブリンクポイントがいくつもある。
そして今の所、複数のブリンクポイントが見つかっているのはマスダンジョンだけだ。
「すぅ……すぅ……」
ブリンクは決まった場所で起きるものの、決まった時間やタイミングに起きるわけでは無い。
数時間待ちぼうけなんてことが良くある。
三船くんも、いつくるか分からないブリンクに糸を張っていたせいで精神的な疲労が早かったらしい。
5時間くらい経ったら、横で椅子に座ったまま船を漕ぎ始めた。
三『船』だけになあ!
「う……ん……」
首をガックンガックン揺らしてるやつに集中力もクソも無いので、荷物を背負わせたまま岩床に寝かせた。
横向きで寝辛いだろうに、目を閉じたまま寝息を立てている。
体力がだいぶ落ちてたんだろうな。
俺は不寝番というやつだ。
三船くんが満足に目覚めるかブリンクが来るまではこうしていよう。
1人の時はブリンクとか無視して寝るから関係無いけど、せっかく2人で来てるんだから交代でも悪く無いはず。
暇つぶしの道具なんて無い。
ダンジョンに余計なものを持ち込むのは流石にね。
そんな事しなくても、目の前に目を向ければ暇つぶしがいる。
「鯛か」
刺身にして食べたいところだけど、この銛はあの大きさの魚を想定して作られてはいない。
水中だと相応に分が悪いし、こちらにも気付いているからなかなか捕まえるのは難しいだろう。
もう少し細い銛か、釣り竿でもあれば話は変わってくるところだ。
ただ残念なことに、コイツには毛が生えている。
捕まえたとしても、極めて微妙な気持ちになりながら捌くことになったな。
……こいつが進化したら、相当気持ち悪いやつになるに違いない。
「ミナ…………ト……」
「────ふぅ」
残酷だが、これはこの世界の普通だ。
一々反応していたら心が疲れてしまう。
だけど、感傷的にもなるというものだ。
目の前で子供が傷付いて、夜も眠れぬ日々を過ごすなど。
どこかで誰かが傷つく世界と違って、この世界ではダイレクトに人が死ねる。
小学校から中学校、中学校から高校、そして就職するか大学。
就職という最終目標までのレール。
これに乗り続けるのは、意外と難しい。
俺は環境に恵まれたからそんなことにはならなかったが……自ら投げ捨てた。
見る奴が見ればブチ切れる。
なぜ大学まで行って、そんな道を選ぶのかと。
少なくともミナさんはキレてた。
俺は弁明する気もなかったけど、コウキさんの嫁になることを選んでそれなりに苦労もあったのだろう。
優しい人だ。
「……んん…………」
「…………」
少しだけ苦しそうな顔で寝返りを打った三船くんの顔を見ると幼気で、心配になった。
とはいえ、寝室じゃ無いから毛布をかけてあげられるわけでもない。
見るだけ無駄なので、ドームの外にいる魚を数えた。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない