【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「誘き寄せるにあたって、そいつを使う」
「あ、これ……」
メタエレメント。
さっきは触るなって言ってたけど、結局触るんだ──と思ったら荷物の中から軍手を取り出した。
2人分。
僕の分も準備してくれていたらしい。
「はい」
「あ、ありがとうございます」
「砕くから離れてて」
「分かりました」
どうやって砕くのかと見ていたら、地面すれすれのブローを放った。
人間の体と石がぶつかったとは思えない音が鳴る。
振り抜かれた拳は、結晶を根元から完全に砕き折った。
もしかしたら、意外と脆いのかもしれない。
そう思って銛でカンカンと軽く叩いてみた。
そんな音がする時点で硬いでしょこれ。
「あ、あの……軍手は?」
「軍手? 一瞬触れるだけなら嵌めなくても大丈夫だぞ」
「そうじゃなくて……怪我してないですか?」
「うん」
「軍手はなんのために?」
「そりゃあ拾うためっしょ」
軍手を嵌めると、ひょいひょい石を拾っていく。
何かに気をつけて拾ったほうが良いのかとも思ったけど、どうやらそんなこともないみたい。
僕も隣にしゃがみ込んでカケラを拾う。
「これどうするんですか?」
「撒き餌だよ」
「……撒き餌?」
石だよね?
という疑問は想定内だったのか、特に動じる様子も無い。
「恐竜とは少し違うけど……習性だろうな、こういうのを食うんだよ」
「キョーリュー」
「知ってる? 恐竜」
「…………」
記憶を探ってみたけど、出てくるものはなかった。
ちょくちょく感じる教養レベルの圧倒的な差。
その度に、生きている世界が違うと心の底から感じる。
「知らないのも無理ねえな、ほぼ残って無いんだから」
「一体なんなんですか? 恐竜って」
「数千万年前にこの星に存在した生き物だよ」
「すうせっ……」
「なんで消しちまうんだかなあ、勿体ねえ」
「消した?」
「消したのは化石だけど……知識も一緒に消えちまうよなそりゃあ」
遠い昔の話をしているみたいだ。
そして、加賀美さんは何かに怒っていた。
眉根が寄った顔は、いつもと違って近寄りがたい雰囲気。
だけど、僕の顔を見るとすぐに眉を揉んで、見慣れた顔に戻った。
気にしなくていいってことかな。
「とにかく、こいつを外に撒こうか」
「はい!」
パッ、パッ、パッと。
実際は大きい石もあるから、もう少し動きはモッサリしていたけど。
そうして撒き終えると、また、待つだけの時間がやって来た。
一つだけ確かなことがある。
いよいよ、討伐対象であるミニマスモンスターが現れるってことだ。
銛を持つ手にも力が入る。
心臓がバクバクと鳴って、落ち着いていることができなかった。
「ふぅ…………ふぅ…………」
「…………」
「来たら、銛を投げるんだよね……」
「…………」
「こう! ……こう!」
「…………」
30分もその状態は続かなかった。
逆に、よく30分も続いたと褒めるべきなのかも。
「ごめんなさい……」
気を張っていたせいか疲れちゃって、今は地面に座り込んでいる。
僕、思ってたよりも体力落ちてる……というか、さっきもコレ同じような事やったよね……
そんなバカなことをしている僕を見て加賀美さんは──
「はーっはっはっはっは!」
破顔。
豪快に口を開けて肩を揺らす姿は、怒っているようには見えなかった。
「……怒らないんですか?」
「怒る? いやいや、止めなかった俺にも責任はあるからな」
そうは言っても、勝手に動いて勝手に疲れたのが悪い。
「僕、向いてないのかな……」
「やってたら慣れるから気にすんなって」
「本当ですか?」
「うん」
「…………」
「まぁ休んどけって」
「ごめんなさい────っ!?」
「おー……来たな」
ドーム全体が揺れた。
不安になるような音が、水中から響いてくる。
まだ遠く。
だけど、こっちの方へと向かっているとわかる。
「か、加賀美さん……」
「うっし、やるか」
様子を伺うと、右肩をぐるぐると回していた。
やる気十分というかなんというか。
全く怯んでいない。
むしろ、不敵に笑っている。
銛をむんずと掴み、肩口に持ち上げる。
音の方を見るとその場に立ち止まった。
さっきみたいに突き刺す気なんだ。
「見てろよ〜」
「──あ、はい!」
当然、見逃す気はなかった。
倒すところをしっかり記憶に焼き付けるんだ。
……というかこの音、何?
水中の音って、こんなに聞こえるものなの?
オォォォォンって。
「…………デカいな」
「へ」
「音的に多分、いつもよりデカい」
「大丈夫なんですか?」
「たぶん?」
「…………」
一体、どんな恐ろしい怪物がやってくるんだろう。
まさかリヴァイアサンみたいなのが…………ん?
「なんだ、あの光……」
「──あぁ〜…………」
遠くに、ほのかに光る温かな光があった。
だけど、加賀美さんはそれを見て……明らかに良くない声を出した。
不敵な笑みを浮かべていた顔も、片頬だけが上がって引き攣ったようになっている。
「どうかしたんですか?」
「やんべぇわアレ」
「えっ」
「死ぬかも」
「嘘でしょ!?」
「マジです、ミスれば──運が悪ければ、死にます」
「えぇ!?」
「骨も残らん」
とんでもないことを言い出した。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない