【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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85_サイゴハイッショダヨー

「誘き寄せるにあたって、そいつを使う」

 

「あ、これ……」

 

 メタエレメント。

 さっきは触るなって言ってたけど、結局触るんだ──と思ったら荷物の中から軍手を取り出した。

 2人分。

 僕の分も準備してくれていたらしい。

 

「はい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「砕くから離れてて」

 

「分かりました」

 

 どうやって砕くのかと見ていたら、地面すれすれのブローを放った。

 人間の体と石がぶつかったとは思えない音が鳴る。

 振り抜かれた拳は、結晶を根元から完全に砕き折った。

 もしかしたら、意外と脆いのかもしれない。

 そう思って銛でカンカンと軽く叩いてみた。

 そんな音がする時点で硬いでしょこれ。

 

「あ、あの……軍手は?」

 

「軍手? 一瞬触れるだけなら嵌めなくても大丈夫だぞ」

 

「そうじゃなくて……怪我してないですか?」

 

「うん」

 

「軍手はなんのために?」

 

「そりゃあ拾うためっしょ」

 

 軍手を嵌めると、ひょいひょい石を拾っていく。

 何かに気をつけて拾ったほうが良いのかとも思ったけど、どうやらそんなこともないみたい。

 僕も隣にしゃがみ込んでカケラを拾う。

 

「これどうするんですか?」

 

「撒き餌だよ」

 

「……撒き餌?」

 

 石だよね? 

 という疑問は想定内だったのか、特に動じる様子も無い。

 

「恐竜とは少し違うけど……習性だろうな、こういうのを食うんだよ」

 

「キョーリュー」

 

「知ってる? 恐竜」

 

「…………」

 

 記憶を探ってみたけど、出てくるものはなかった。

 ちょくちょく感じる教養レベルの圧倒的な差。

 その度に、生きている世界が違うと心の底から感じる。

 

「知らないのも無理ねえな、ほぼ残って無いんだから」

 

「一体なんなんですか? 恐竜って」

 

「数千万年前にこの星に存在した生き物だよ」

 

「すうせっ……」

 

「なんで消しちまうんだかなあ、勿体ねえ」

 

「消した?」

 

「消したのは化石だけど……知識も一緒に消えちまうよなそりゃあ」

 

 遠い昔の話をしているみたいだ。

 そして、加賀美さんは何かに怒っていた。

 眉根が寄った顔は、いつもと違って近寄りがたい雰囲気。

 だけど、僕の顔を見るとすぐに眉を揉んで、見慣れた顔に戻った。

 気にしなくていいってことかな。

 

「とにかく、こいつを外に撒こうか」

 

「はい!」

 

 パッ、パッ、パッと。

 実際は大きい石もあるから、もう少し動きはモッサリしていたけど。

 そうして撒き終えると、また、待つだけの時間がやって来た。

 

 一つだけ確かなことがある。

 いよいよ、討伐対象であるミニマスモンスターが現れるってことだ。

 銛を持つ手にも力が入る。

 心臓がバクバクと鳴って、落ち着いていることができなかった。

 

「ふぅ…………ふぅ…………」

 

「…………」

 

「来たら、銛を投げるんだよね……」

 

「…………」

 

「こう! ……こう!」

 

「…………」

 

 30分もその状態は続かなかった。

 逆に、よく30分も続いたと褒めるべきなのかも。

 

「ごめんなさい……」

 

 気を張っていたせいか疲れちゃって、今は地面に座り込んでいる。

 僕、思ってたよりも体力落ちてる……というか、さっきもコレ同じような事やったよね……

 

 そんなバカなことをしている僕を見て加賀美さんは──

 

「はーっはっはっはっは!」

 

 破顔。

 豪快に口を開けて肩を揺らす姿は、怒っているようには見えなかった。

 

「……怒らないんですか?」

 

「怒る? いやいや、止めなかった俺にも責任はあるからな」

 

 そうは言っても、勝手に動いて勝手に疲れたのが悪い。

 

「僕、向いてないのかな……」

 

「やってたら慣れるから気にすんなって」

 

「本当ですか?」

 

「うん」

 

「…………」

 

「まぁ休んどけって」

 

「ごめんなさい────っ!?」

 

「おー……来たな」

 

 ドーム全体が揺れた。

 不安になるような音が、水中から響いてくる。

 まだ遠く。

 だけど、こっちの方へと向かっているとわかる。

 

「か、加賀美さん……」

 

「うっし、やるか」

 

 様子を伺うと、右肩をぐるぐると回していた。

 やる気十分というかなんというか。

 全く怯んでいない。

 むしろ、不敵に笑っている。

 

 銛をむんずと掴み、肩口に持ち上げる。

 音の方を見るとその場に立ち止まった。

 さっきみたいに突き刺す気なんだ。

 

「見てろよ〜」

 

「──あ、はい!」

 

 当然、見逃す気はなかった。

 倒すところをしっかり記憶に焼き付けるんだ。

 

 ……というかこの音、何? 

 水中の音って、こんなに聞こえるものなの? 

 オォォォォンって。

 

「…………デカいな」

 

「へ」

 

「音的に多分、いつもよりデカい」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「たぶん?」

 

「…………」

 

 一体、どんな恐ろしい怪物がやってくるんだろう。

 まさかリヴァイアサンみたいなのが…………ん? 

 

「なんだ、あの光……」

 

「──あぁ〜…………」

 

 遠くに、ほのかに光る温かな光があった。

 だけど、加賀美さんはそれを見て……明らかに良くない声を出した。

 不敵な笑みを浮かべていた顔も、片頬だけが上がって引き攣ったようになっている。

 

「どうかしたんですか?」

 

「やんべぇわアレ」

 

「えっ」

 

「死ぬかも」

 

「嘘でしょ!?」

 

「マジです、ミスれば──運が悪ければ、死にます」

 

「えぇ!?」

 

「骨も残らん」

 

 とんでもないことを言い出した。

 

 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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