【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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86_マスモンスターのマスは……

 暖色の光。

 最初は消しカスみたいな大きさだったのに、ぐんぐん大きくなっていく。

 音の出所もあの方向で──アレが本当にミニマスモンスターなんだ。

 

「ふぅ〜……荷物はまとめてあるよな?」

 

「はい」

 

 なぜか加賀美さんは服を脱いだ。

 

「後で説明はする、死んだらごめんな」

 

「…………はい」

 

 固唾を飲んで見守った。

 全容が見えるのにかかったのは1分ぐらい。

 オレンジ色の光に照らし出されてなのか、水中にばら撒いた石が輝いていた。

 その源である光を放つ存在が、目立たないはずもなく。

 

「──わ…………わ、わ、わ……!」

 

 その巨大さが飲み込めなかった。

 

 現れたミニマスモンスター。

 その肉体は赤い燐光を纏っていた。

 燃えているかのように。

 炎がないのは水中だからか。

 

 遠くてもわかる。

 見えるところだけでも40mはあろうか。

 顔の大きさも家を優に超える。

 口を開いたらそれだけで人が丸ごと飲み込まれる大きさ。

 

「まだだ……まだ……」

 

「わわわわわわわ!!」

 

 早いことなんてない。

 アレがこの空間に衝突したら、それだけでペシャンコだ。

 

「は、はやく! はやくぅ!」

 

「ダメだ! この距離だと威力が足りねえ!」

 

 顔は前に向けたまま何かを狙っている。

 でも僕も、必死だった。

 

「何を狙ってるんですかあ!」

 

「一撃で決める! それしかない!」

 

「ええ!?」

 

 意味不明。

 アレを一撃でなんて。

 

「やるぞ! 投げるぞ!」

 

「はい! はい! 分かったから! 来てるから!」

 

「いいか! 魚の締め方ってのは! 大体一緒だ!」

 

「は、はやくぅぅぅ!」

 

「どデカい鱒でもいっしょだあああっっ!!」

 

「うわぁっ!」

 

 大きく振りかぶった右腕を引きつけて、銛が放たれた。

 放った後に加賀美さんの身体が何回転もするほどの、体重を遥かに超える膂力。

 風が顔を叩いた。

 空気を貫いて、水との境目を穿って、水を掻き分けて、突き進んでいく。

 

「あっ」

 

 猛烈に進んだ銛は、進んできていたミニマスモンスターの目の辺りにぶつかった。

 ズブンって肉の中に沈んで見えなくなった銛。

 モンスターの身体がビクンと揺れると、動きが止まる。

 光も少しだけ弱まった。

 

「やったか!?」

 

「ど、どうなんでしょう…………あれ、なんかまた光り出した──うわっ!?」

 

 暗くなったかと思ったら一気に光が強くなっていく。

 何が起こるのかと身構えていたら、加賀美さんに押し倒された。

 ──ま、まさかここで襲われるの!? このタイミングで!? 

 

「耳塞げ!」

 

「へ!?」

 

「いいから!」

 

「は、はいっ!」

 

 加賀美さんに頭を抱きしめられた。

 わけもわからず耳を塞ぐ。

 モンスターを見ようとして──視界が赤に染まった。

 目を閉じても瞼を貫通してくるほどの光量。

 

「うわあああああ!」

 

「ぐぅぅぅっ……!」

 

 熱い。

 痛い。

 苦しい。

 頭が割れそう。

 心臓が破裂しそう。

 

 ──今度は、体全体が揺さぶられるような衝撃がやってきた。

 何度も、何度も、押し寄せる。

 

「あぐっ……ぐっ……!?」

 

 空気が揺れる。

 眩暈がして、視界が回る。

 揺れが激しくなっていく。

 平衡感覚が無くなって、立っているのか倒れているのかもわからなくなる。

 

「早く……早くしろ…………」

 

「うぅぅぅぅ!」

 

 目を閉じているのに、視界が回る。

 グニャグニャになっていくこの感覚に覚えがあって、はっきりと思い出そうとした瞬間。

 エネルギーの奔流が綺麗さっぱり消え失せた。

 

「うぅ……………………う?」

 

 熱も、痛みも、音も、光も、揺れも、全部無くなった。

 代わりに聞こえてくるのは…………風の流れる音? 

 頭の中がハテナで埋め尽くされる。

 

「か、加賀美さん……もう、目を開けていいですか?」

 

「………………」

 

「加賀美さう゛っ」

 

 筋肉でできた肉体が、全体重を僕の体に預けた。

 ちょうど喋ろうとしていたから言葉に詰まって、変な風になってしまった。

 これも何か意味があるのかな。

 まだ危機が終わってないとか。

 だけど、加賀美さんは何も言わない。

 

「…………かがみさん?」

 

「う…………」

 

「──はっ!?」

 

 嫌な予感がした。

 目を開けて、加賀美さんの下から出る。

 完全に外だった。

 元の小舟の上。

 静かな湖に浮いている。

 空は曇り気味の晴れで、少し暑い。

 戻ってこれたらしい。

 

「うっ……こ、これ……!」

 

 だけど喜ぶ暇もない。

 加賀美さんの背中のが焼けている。

 僕を庇ったせいだ。

 

「か、回復薬、を……」

 

「あ──は、はい!」

 

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