【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】 作:goldMg
「いやー、助かった! 死ぬかと思ったぜ!」
「…………」
マジで死にそうだった。
やらかしたなあ。
まさか、あそこまで育ってたなんて。
溜め込みすぎだろ。
マスモンスター。
第一期では鱒と呼ばれていた魚が、魔素の影響を受けて変化した姿。
ダンジョンのボスははるか深くにいるらしい。
だけど、仮に奥地まで辿り着いたとしても、絶対に倒してはいけない。
莫大な量の魔素を無理やり取り込み、適応したマスモンスターは、殺したらその魔素を全て解き放つ。
簡単に言うと、爆弾だよ。
そんで第二、第三のマスモンスターを作らないために、定期的にミニマスモンスターの駆除が必要ってわけだな。
いつもはあんなんじゃねえんだけど……今回は凄かったな。
ともあれ1匹は倒した。
条件は達成しているし、細かい部分を三船くんにも説明してあげようか。
「──そう、だったんですね……」
「うん。だけどごめんな、まさかあんな馬鹿みたいに溜め込んでるなんて」
「生きてて良かったです、本当に死んじゃうかと思ったから」
「本当にごめん」
ちっとばかしキてしまったのか、暗い感じだ。
これは完全に俺のせい。
とはいえ、ダンジョン探索ってのは予想外の出来事の連続だ。
そうした出来事に出会したとき、上手くいなしていくのが腕の見せどころ。
あの爆発は、最悪の想定ほどでは無かった。
俺はどこも欠損していない。
三船くんも無事。
ミニマスモンスターも討伐完了。
80点だ。
本当は三船くんにも戦ってもらいたかったけど、そもそも適正から離れてる相手ではある。
「怖かったか?」
「……ん」
「あんなんばっかだぞ、探索者の仕事って」
「…………」
隣に座った。
畔に生える芝生が、少しだけちくちくとした感触を尻に与えてきやがる。
元気な奴らめ。
「まずは遮二無二やってみようぜ、俺も付き合うからさ」
「ムニムニ……」
「いや、遮二無二な」
意外と余裕ある?
「よし、帰るか!」
「……ん」
商工会に戻ると方目さんがいた。
いつもいるか。
「なんでそんな目で見るのさ」
男の勲章が増えたことを報告し、酒場で打ち上げ。
アリサ以外とこういうのやった事ないから、楽しみだったりする。
タクヤも付き合ってくんねえしなあ!
骨付き肉の丸焼きを2人で一つ頼み、あとはサラダとおつまみとエール。三船くんはアルコールは抜きだけどな。
こんな世界になっても、未成年の飲酒喫煙は禁止だ。
日本人の規律に対する真面目さってのは、文明が一度滅びたくらいじゃあ変えることができない領域に入っていたらしい。
「あ、これ美味しい」
丸焼きの皮の部分が好きなのか、チラチラと見てくる。
「いいよ食べて」
「……じゃ、じゃあ……もらい、ます」
食べちゃうよ? みたいな目をしている。
うーん、難しい。
まだ遠慮が消えてないなあ。
もっとフランクに接してくれた方が俺も楽というか、そこを目指している訳だ。
そうは言っても、子供にそれを求めるのが難しいのは分かってる。
16歳だ。
学年で言えば確か、高校1〜2年生。
本当に子供としか思えない。
そんな子がモンスターと戦う。
俺の感覚からは著しく逸脱している。
アリサもそうだった。
日本の漫画なんかだと子供が戦うってのはよくあったが、実際に見るととんでも無い。
戦うとか、戦わないとか、本来なら議論にも挙げられないような見た目をしてやがる。
背格好だけじゃ無い。
鋭い目付きはよわっちぃチワワみてえに全てに怯えてるからだし、乱暴な言動もただ余裕がないだけだ。
その点、三船くんは落ち着き自体はある。
自信がないだけなのかもしれないけど、可愛いもんだ。
今もパリパリと音を立てて皮を食べ、口元を手で隠す仕草はウチの愚妹よりもよほど行儀が良い。
「んふふ、美味しい」
「そっか……もっと食べな」
「はい!」
そうして2人でのんびりしていたところに、バタバタバタと足音が近付いてきた。
「うぇーい!」
俺を押し込んで横に座りやがったのは、例の如く方目さん。
「私も混ぜてよー!」
勝手に混ざってくるだけだろうが。
「おつまみ食べていーい?」
「ど……うぞ」
ど、と言った時には既に手に取っていた。遠慮という言葉とは縁遠い人である。
「ん〜、美味しい!」
そりゃあうめえだろう、人の金で食う飯はよ。
「……」
三船くんはスンッとした顔でお肉をもしゃもしゃし始めた。
ビビるよな、俺もビビるわ。
「やっぱ仕事終わりのエールが最高だねっ!」
俺のだけどな。
何食わぬ顔して飲んでるけど、やっぱり俺のだな。
「ぷはーっ! ねえ三船くん、どうだった? この人と行ってみて」
「え?」
「面白かった?」
「……よく分からないことが多かったです」
「うん」
「アンダー以外の依頼って、初めてだし……」
「うん」
「そもそも僕、叫んでただけですし……」
「うんうん」
「────」
窓の外を見ると、既に夕方も終わり際だった。
赤が黒に負けかけている。
夏もそろそろって感じか。
登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か
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いる
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いらない